R・シュトラウス 楽劇「ばらの騎士」 クライバー指揮
昨日HMVで、購入したホヤホヤのCD。
そして、今日、封を切るのももどかしいくらいに、ワクワクしながらCDを取り出しトレーにセット。
拍手が始まり、その拍手が鳴り終わる前に指揮棒が振り下ろされ、湧き上がるような上気したホルンの第一声が響き渡る・・・・・。
あぁ、なんて素晴らしいんだろう。
その場に居合わせたら、もうそれだけで涙が出てしまうかもしれない。
ついに出ました。カルロス・クライバーのR・シュトラウス「ばらの騎士」正規ライブ!!!
「ばらの騎士」ばかり、何度も登場させて辟易とされている方もいらっしゃいましょうが、ここは、カルロスに免じてご容赦のほどを。ちなみに、今回でオケ版も含めて9本目の記事。
何がすごいかって、まず、カルロスのオペラ・ライブは映像を除いては初めてということ。
それも、ミュンヘンで毎年のように指揮していた名物「ばらの騎士」。
それから、映像で残されたカルロスのばら騎士は、79年のミュンヘン、94年のウィーンとあるが、今回の73年といえば、そのクライバーが鮮烈なデビュー作「魔弾の射手」を録音した年である。その翌年には、ウィーンフィルとの「第5」録音や、バイロイトでの「トリスタン」などが控えていて、ともかくクライバーの登場が音楽ファンを狂気させていた時期なのである。
加えて、亡き名バス、リッダーブッシュのオックスが聴けることも大きい。
さらに、録音の鮮明さ。ライブ感溢れる立派すぎるステレオ録音。
元帥夫人 :クレーア・ワトソン オクタヴィアン:ブリギッテ・ファスベンダー
ゾフィー :ルチア・ポップ オックス男爵:カール・リッダーブッシュ
ファーニナル:ベンノ・クッシェ マリアンネ:アンネリー・ヴァース
ヴァルツァッキ:デイヴィット・ソー アンニーナ:マルガレーテ・ベンツェ
警官 :アルブレヒト・ペーター 家令 :ゲオルク・パスクーダ
テノール歌手:ゲルハルト・ウンガー
カルロス・クライバー 指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団
演出:オット・シェンク
(73.7 @ミュンヘン)
72年にプリミエを迎えたシュンクの伝統的なプロダクションは、79年の映像でも確認できる。74年には、クライバーの初来日として、日本でも上演された。
この年の公演、私はまだ高校生になったばかりでオペラ観劇デビューにはまだ2年を待たなくてはならなかった。(サヴァリッシュのワルキューレやドンジョヴァンニも最高のキャストで上演されたのに・・・・)
先に書いたとおり、冒頭から音楽はいきいきと弾むようにオーケストラピットから湧き出てくるようで、耳にすっかり馴染んだシュトラウスの音楽に鮮やかな彩りを与えているかのようだ。奔流のように溢れては劇場に飛び散るような音たちに、私は聞き惚れるばかり。
各所に散りばめられたワルツのふんわりと柔らかな肌ざわりと、豊かな歌心に抜群のリズム感。あまりに有名なオックスのご機嫌印のワルツで、こんなに体を一緒に動かしたくなってしまうことってかつてないこと・・・。
そして、1幕後半のマルシャリンの独白の聞かせどころ、あまりの儚い美しさに茫然と聞き惚れ、目頭が熱くなった。時計の音を刻む場面の冷凛とした雰囲気なども息を飲むほど。
2幕の騎士を待ちわびる時めく音楽の高まり、そして、ついに騎士登場の場面のさらなる最高潮。姿も声もオクタヴィアンになりきったファスベンダーの颯爽とした姿が目に浮かぶ。映像はなくても、あのお姿が脳裏に焼き付いている。
銀のばら贈呈の場面の陶酔的な美しさ(ルチア・ポップ!!!)、その後に再び歌われる二人の束の間の愛の二重唱の息苦しいまでの素晴らしさ(私はイタリア2人組に見つかるまでの、この場面がたまらなく好き)。
2幕も3幕も、拍手とかぶりながら指揮棒を振り下ろすクライバー。
曖昧で錯綜する複雑なオーケストラの3幕冒頭。見事なアンサンブルで応えるシュターツオーパーのオケ。毎度このオーケストラは放送響と並んでその暖か味ある音色がいい。
相当な練習を積んだことであろう、ユーモアも溢れる自在なカルロスの指揮のもと完璧。
オックスが大騒ぎで賑やかに出ていったあと、シュトラウスの精妙な筆使いの冴え渡る最高の大団円を迎えると、音楽も徐々に様変わりしてゆく。
三者三様の心持ちを支える素晴らしいオーケストラ。時におののくように、時に期待と、そして別れの寂しさを堪えるように。
舞台を左から右に、そうゾフィーのところへ移動するマルシャリンのドレスの絹ずれの音がいやでも舞台の情景を思い起させ、そしてこれから始まるあまりに美しい3重唱に胸が締め付けられる思いがする。
あの人を正しい愛し方で愛そうと思っていた・・・、まさかこんなに早くその日が・・
マルシャリンが静かに歌いだすとき、私の涙はダム決壊状態に。
この場面、クライバーが導きだす、ホルンの強奏と豊麗かつ甘味な響きに陶酔するばかり。若い二人の鈴音のような二重唱に続き、急転直下のこ洒落た結末に息つく間もない。
まったくもって素晴らしいキャストの中にあって、リッダーブッシュのオックスが期待通りに素晴らしい。当時、舞台に録音にひっぱりだこだったこの不世出のバス歌手は、美声に加えて豊かな声量とタフなスタミナを兼ね備えた完璧な人だった。
オックスの一応貴族の出自を思わせる気品と、いやらしい品のなさ、この両方を幅広い歌唱力をもって見事に歌っている。そして声の威力にも唖然とする。
リッダーブッシュ、最高のザックス歌手という私の思いに加えて、モルとともに、最高のオックス歌手といいいたい。
映像と同じファスベンダーとポップのコンビには、もう何もいうことはありませぬよ。
声の相性とミックスの具合がえも言えず天国的であります・・・・。
ワトソンについては、ちょっと評価しずらいところ。少し古めかしい場面もあるが、とてもデリケートで入念な歌で、耳をそばだてさせる魅力がある。
先にあげた心震わせる最後の3重唱の素晴らしさ。ファーニナルと登場し、「Ja,Ja」と歌う声の儚さは何ともいえない。
ジャケットは、クライバーの書き込みのある「ばらの騎士」の総譜。
2幕で、ゾフィーがペルシャのばら油を一滴垂らした銀のばらの香りをかいだところ。
まるで、天国からの あいさつのよう
香りが強すぎて 耐えられないくらい
胸がきゅんと引っ張られるよう・・・・
カルロスの子息マルコ・クライバー氏の書いたCDの解説の表題、「天国からのあいさつ」とある。
"Ist wie ein Gruβ von Himmel"
スロヴェニアにあるカルロス・クライバーのお墓。
2004年7月13日が命日。
もう4年になる、いやまだ4年か・・・、
追悼音源があまり出ないこともあってか、もっと月日がたってしまった感もある。
そして、今日、あまりに素晴らしい「ばらの騎士」を聴くことが出来た。
オルフェオには、この先も貴重な放送音源の正規発売に頑張って欲しい!
「ばらの騎士」の過去記事
新国立劇場 シュナイダー指揮
チューリヒ歌劇場 ウェルザー・メスト指揮
ドレスデン国立歌劇場 ルイージ指揮
神奈川県民ホール(琵琶湖) 沼尻竜典指揮
新日本フィル公演 アルミンク指揮
ドホナーニ指揮のCD&4つの舞台のレビュー
バーンスタイン指揮のCD
ヴァルヴィーゾ指揮のCD(抜粋)
プレヴィン指揮の組曲版CD
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コメント
こんにちは。
久しぶりにHMVを覗いてみたらこのCDがありました。購入しようかと迷ったままこちらに移ったら何とエントリーされているではありませんか!
貴殿のコメントを拝見して早速注文しました。
楽しみです\(^_^)/
投稿: 天ぬき | 2008年10月26日 (日) 15時56分
天ぬきさま、コメントありがうございます。
私としては珍しく速攻買いでした。
そして、天ぬきさまを後押ししてしまいました。
ちょっと興奮して誉めすぎの感ありますが、待ちにまった正規盤です。歌手も録音も期待以上でした。
どうぞ、お楽しみください
投稿: yokochan | 2008年10月26日 (日) 23時05分
yokochanさま こんばんは
もうクライバーの「薔薇の騎士」届きましたか?
私も注文していますが、まとめ買いをしていて、まだ届いておりません。
yokochanさんのレポを見ていて、届くのが楽しみです〜。
オルフェオの正規盤ですし、録音も良いと思っています。楽しみです〜。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2008年10月27日 (月) 18時16分
rudolfさま、こんばんは。
私は、発売早々に店頭で購入しました。
2CDまとめて10%offでしたので、ネットより少し安く買えました。そんなこともとてもうれしい今日この頃です(笑)
ともかく素晴らしいCDが出来上がりました。
期待していいですよ!
投稿: yokochan | 2008年10月27日 (月) 22時35分