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2008年10月 4日 (土)

ルチア・ポップ R・シュトラウス オペラ・アリア集 シュタイン指揮

1a 私の姉が作ったフラワー・アレンジメント。
丸いのは何だろうと調べたら、「ピンポンマム」という花らしい。

菊科の愛らしい形のこの花、丸いから姿の違う花々と合わせると見映えがとてもいい。
今は色んな色が開発されて、まさに七色以上あるみたい。

Popstein_strauss 今日は私のとっておきのCDを。
ブラティスラヴァの歌姫、亡き「ルチア・ポップ」が、これまた先頃物故してしまった「ホルスト・シュタイ」の指揮で録音した「R・シュトラウスのオペラ・アリア」。

こんな素晴らしいコンビによる、理想的なR・シュトラウスは、どこを探してもない、そして永遠に生まれることのない組み合わせによる1枚。

何度もここに記したことだけれど、1993年に54歳の若さで癌で亡くなってしまったルチア・ポップ。
あまりの無念さに、それを思うだけで15年が昨日のように感じる。聴くものは誰しも好きになってしまう、素適な歌声を持っていた。
ヘルマン・プライとともに、その早すぎる死が惜しみてもあまりある・・・・。

R・シュトラウスは、ポップがモーツァルトとともに、最も得意とした作曲家であり、彼女がウィーンで愛されたのも二人の作曲家のチャーミングなロールでオペラ座をわかしたからであろう。
これまた何度も書いているけど、コロラトゥーラからスタートし、スーブレット、そしてリリコスピントへと声を強くしていった彼女。
シュトラウスなら、ゾフィーから元帥夫人へ、ズデンカからアラベラへ、そしてもしかしたらツェルビネッタからアリアドネもあったかもしれない。ダフネや伯爵夫人(カプリッチョ)も歌ったくらいだから・・・・。こんな風に、あれこれ思ってしまうのも、彼女の声でその役柄を想像して夢想してしまうから。

 R・シュトラウス 「カプリッチョ」 月光の音楽と伯爵令嬢のモノローグ
           「ばらの騎士」 元帥夫人のモノローグ
           「アラベラ」 1幕フィナーレ、2幕二重唱、3幕フィナーレ

             S:ルチア・ポップ
             Br:アラン・タイトゥス、ワルター・ツェー

        ホルスト・シュタイン指揮 バンベルク交響楽団
                          (88年3月録音)

これら3つのシュトラウスのオペラは、私の最も好むシュトラウス作品で、これらにあと「アリアドネ」「影のない女」「ダフネ」「ダナエの愛」が私のフェイバリットであろうか。
この3作品にポップが残した唯一の録音が実はこのCD。

女声を愛したシュトラウス、そのオペラの大半がヒロインが主役。
シュトラウスのオペラは、そのほとんどが男性を差し置いて、ヒロインが諦念や達観の高みに達し、澄み切った心境のうちにフィナーレを迎え、あまりに素晴らしく霊感に満ちた歌と音楽で幕を閉じる。
これら3作も、まさにその世界。

月光の光を浴びて、音楽と詩、ふたりの芸術家のどちらも選べない伯爵令嬢の胸の内
シュトラウスが書いた最後のオペラ「カプリッチョ」は洒落たセンスと透明感に満ちた夕映えのような名作。ポップの令嬢はもうまさに理想的な歌で、情熱に揺れ動く細やかな感情の機微を歌い出していて、その素晴らしいオーケストラの背景とともに、私は涙が止まらないほどの感動に震える・・・・。
シュヴァルツコップとヤノヴィッツ、トモワ・シントウに継ぐ名令嬢になったかもしれないのに。
シュタインはウィーンフィルとのザルツブルクライブもあるが、このバンベルクでの演奏も軽妙で美しい演奏だ。

時間の経過に心が揺れ動くマルシャリン。
これを歌いだすポップは、ゾフィーの20年後の自分。
まだまだ若いのに、じつはそうじゃない。去ってゆく恋人も見える・・・
ポップの元帥夫人のライブは、きっとミュンヘンあたりにあるのではないか?
いずれ驚きの登場を待ちたいもの。
このCDで残念なのは、オックスを追い出したあとのモノローグだけで、オクタヴィアンが戻ってきてからの場面がカットされ、1幕の最後の静かな音楽につなげられて終わってしまうところ。どうせならオクタヴィアン役も探してきて、カットなしで録音してほしかった。

初めての恋におののき、娘時代に別れを告げるアラベラ
ポップの「アラベラ」は、日本でもサヴァリッシュの指揮、ヴァイクルのマンドリーカで上演され、私は行けなかったもののNHKのFMとテレビの記録を大切にしている。
1幕では、ズデンカの歌もちょっとだけだが、一言歌っている。いい寄る男たちではなく、一目みたあの人が・・・という切ない歌の背景に流れるシュトラウスの音楽の刻々と色が変わるかのような素晴らしさがまじまじとわかる。
階段で歌われる最後の二重唱も、出だしのあまりに美しく静謐な音楽が私は極めて好き。
そのあと、情熱の高まりと明るく前向きで洒落たエンディング。
アラベラはポップの当たり役でもあり、その声質がもっとも合っている。
おなじみのタイトゥスが神妙にマンドリーカ役をつとめている。

ほんとうに素晴らしい1枚。
欲をいえば、先ほどの「ばらの騎士」の構成と、曲順。
「カプリッチョ」は最後に持ってきて欲しかった。
廃盤であることがまったくもって信じられない。

 ルチア・ポップの過去記事

 「オペラ・アリア集」
 「ミュンヘン・オペラ・ライブ」
 「R・シュトラウス ばらの騎士」
 「R・シュトラウス ダフネ」
 「マーラー 子供の不思議な角笛」

 

 

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コメント

yokochanさま お早うございます

ルチア・ポップさん 私も大好きな歌手の一人です。
こんなCDが出ていたんですね
昨日から検索してみましたが、HMVにもアマゾンにもありませんでした。廃盤なんですね;;

「アラベラ」は、実に美しかったですね〜。ゾフィー、エルザは聴くことができました。マルシャリンを聴きたかったですね〜。確かスザンナも聴いたように思うのですが〜。プログラムなどを実家に送ってしまっているので、確認のしようがないのですが〜。
「マイスタージンガー」のエーヴァ、チケットは買っていたのですが、行けなかったんですよ。

再発売されると良いのですが〜。

ミ(`w´彡) 

投稿: rudolf2006 | 2008年10月 5日 (日) 08時49分

rudolfさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
さすが、rudolfさん、たくさんのポップの舞台をご覧になってらっしゃって羨ましい限りです。
私はマイスタージンガーのみです。(たぶん?)

そして、こんな素敵なCDがまったく廃盤なのです。
シュタインの追悼か何かでいずれ復活するのではないでしょうか。

投稿: yokochan | 2008年10月 5日 (日) 13時41分

こんばんは。

 わたしは、ポップの実演は、yokochanさんと同じマイスタージンガー、フィガロの伯爵夫人、カルミナ・ブラーナの3つで、全部サヴァリッシュの指揮でした。

 キッパリ言いますが、いちばん好きな歌手です。映像では、ベーム指揮のスザンナが、他のどの歌手にも替えられません。亡くなったことは…、思い出したくありませんでした。

投稿: にけ | 2008年10月 8日 (水) 23時44分

にけさま、こんばんは。コメントありがとうございます。
同じ時期に聞いた経験をおもちなのですね。

神様の不条理ぶりに、ちょっと恨めしくもなりますね(涙)
きっぱりおっしゃっていただき私も気持ちいいです。
私も大好きな歌手ですから。
このシュトラウスは何度聴いたかわかりません。
音楽の素晴らしさとともに涙をこらえることができません。
シュタインまで亡き人になってしまいました・・・・。

投稿: yokochan | 2008年10月 8日 (水) 23時58分

おはようございます。遅いコメントで申し訳ありません。やっとコメントする時間が出来ました。私もこのCDが欲しくて欲しくたまらないです。ポップの伯爵令嬢は素晴しいのでしょうね。昨日タワレコで探してみましたが当然のようにありませんでした。どこかで掘り出せるといいのですけれど。いつも貴重な情報を勉強させていただきありがとうございます。

投稿: Shushi | 2008年10月12日 (日) 04時46分

Shushiさま、コメントありがとうございます。
貴ブログも私を刺激する曲が満載でずっと気になっています。
このCDは初出以来すぐに廃盤で、見かけません。
なんとかオリジナルジャケットでの復活が行なわれるといいです。シュタインの指揮も素晴らしいものです。
好きな音楽家がひとりひとり消えてしまい寂しいです。

投稿: yokochan | 2008年10月12日 (日) 16時33分

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