« モーツァルト 「コシ・ファン・トゥッテ」 ベーム指揮 | トップページ | 武満 徹 「秋庭歌」  »

2008年10月20日 (月)

ホルンボー 交響曲第4番「シンフォニア・サクラ」 A・ヒュー指揮

Odawara_catsle 夜の小田原城
酔いにまかせて歩いて行ってみた。
幼稚園の遠足、小学校の遠足、それ以外はそういえば行ったことがなかったかもしれない。
高校時代、この街に通ったのに、そして、お堀の周辺は始終歩いていたのに、本丸まで行ったことがなかった。
地元とは、そんなものかもしれない。

久々に汗をかきつつ訪れた小田原城。堀の近くの市民施設では合唱の練習か、いいハーモニーが聞こえる。天守閣の元には、高校生の男女が楽しそうに集っている。
おいおい、君たち、私の後輩かい?
おじさんはね、・・・・なんて声をかけたら今時大変なことになる。
城址公園は動物園にもなっていて、長寿のゾウさんもいたところ。夜間は動物の匂いがする不思議空間。
高校時代を過ごした場所を探索し、酒を飲むって、大人の楽しみかもしれないね。

Holboe_sym4不連続、歌入り交響曲のシリーズ。
シリーズを開始して、調べ進むうち、予想外にあるこの形式。
ほとんどがマーラー後の近世で、ドイツばかりでなく、欧米亜各国の作曲家が盛んに取上げている。
その大半が未知の作品であり、作曲家も名前を知っている程度。
年代順にここまで来るなかにも、音源が見つからずに、はしょった作品もいくつもあるし、あと数回の中にも省かざるをえない曲もあるのが実情。

そんな中で、北欧作曲家はBISレーベルのおかげで、録音に恵まれることが多い。
その一人が、デンマークの作曲家、ヴァン・ホルンボー(1909~1996)。
同郷の先輩作曲家にカール・ニールセンがいるが、ホルンボーもニールセンとは接点があって、学生時代の恩師でもあり、その作風に多大な影響を受けた関係でもある。
ルーマニア人のピアニストと結婚したこともあって、同地で過ごしたこともあり、東欧風の響きもその音楽には響く。
近世・現代の作曲家ではあるが、この1枚を聴いて、他の作風も調べる限り、難解な音楽ではなく、先輩ニールセンやバルトーク、ストラヴィンスキーの響きが色濃く、北欧・東欧と新古典主義の融合の作風に聞こえる。
ただし、これも表面的な印象に過ぎず、なにせ、13の交響曲、20の四重奏曲、数曲の交響作品、オペラ・合唱曲など、多作家だっただけに、その全貌を知ることはCD1枚ではとうてい叶わない。
今回の交響曲第4番を聴いていて、先だって聴いた「ブライアンのゴシック交響曲」と同じような響きも聴き取ることができたのが面白い。

1942年の作曲で、全6楽章。時は第二次世界大戦の真っ只中。曲は、独軍収容所で死んだ弟に捧げられたもので、合唱を伴なう宗教的な内容となっている。
急緩急、交互に訪れる6楽章。作者自身による詩はかなり深刻なもので、最初は恐れと怒りに人類が覆われる暗い様相を歌うが、徐々に平安を望み、神の栄光を称えてゆく。
音楽も冒頭から激しいが、こちらも徐々に明るく澄んだ雰囲気に様変わりしてゆく。

最初の激しい音楽は、大河ドラマの「独眼流正宗」のようで、戦国武士が突進するようなイメージで、ちょっと和風。暗から明へ、その勇ましい音楽も、神を称える朗らかな明るさに徐々にとって変わる。
何度も聴いて、耳に馴染んでくると、なかなかに良い曲であります。
ほかの交響曲もよさそうであります。

ウェールズ出身のオーウェル・ヒューズはホルボーンの交響曲を連続録音している。
英国系の指揮者は、ニールセンやシベリウスを伝統的に得意にしているが、ヒューズもその一人なのであろう。鋭く、キレのよさと、しみじみ感が両立した演奏である。
オーケストラが本場デンマークのオーフス交響楽団
実力派と聴いた。オーフスは、ちょっと調べたら、中世の街並みを再現した場所もある美しい街のようである。
北欧3国には、どうも惹かれるものがあります。

|

« モーツァルト 「コシ・ファン・トゥッテ」 ベーム指揮 | トップページ | 武満 徹 「秋庭歌」  »

コメント

ホルンボー、私もアカペラ合唱曲集を1枚持っています。
作風は、なかなか決め付けにくい感じですね。
北欧系の作曲家は本当に多いので追いかけるのが大変です。(まず財力がないと・・・笑)

投稿: ピースうさぎ | 2008年10月21日 (火) 18時09分

ピースうさぎさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ホルンボーとは、なかなか読めないし、デンマークですからなかなか情報の少ない作曲家ですよね。
BISにまっとうにお付き合いをしてると破産してしまいます。シャンドスもそうです。その点ナクソスは偉大な存在ですね。
マイナー音楽はお金がかかりますが、その分。魅力はあります。悩ましいことであります・・・・。

  

投稿: yokochan | 2008年10月21日 (火) 23時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ホルンボー 交響曲第4番「シンフォニア・サクラ」 A・ヒュー指揮:

« モーツァルト 「コシ・ファン・トゥッテ」 ベーム指揮 | トップページ | 武満 徹 「秋庭歌」  »