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2008年11月14日 (金)

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会 ヤンソンス指揮

Rco_2008 マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏会を聴く。
もともと日本贔屓で来日も多いヤンソンスが毎年秋にふたつの手兵を交互に連れてやってくるようになって5年目。私も5年連続しっかりお付き合いしてます。

そして今年は創立120年の名門コンセルトヘボウの番。

今回はプログラムがいまひとつ私を刺激しない曲目ばかりで、悩んだけれど、秋にはヤンソンスが定番となっているのだし、みなとみらいホールでコンセルトヘボウの音がどう響くかが聴きたくもありで、チケットを購入した次第。

今回来日の全演目は、ドヴォルザーク8番、メンデルスゾーン「イタリア」、「ティル」、「ラ・ヴァルス」ブラームス3番とヴァイオリン協奏曲。
もう少し本格的な曲目が欲しかったなどといったら叱られようか?
本国ではトゥーランガリラとかやっているのになぁ・・・・・。
なんて贅沢なことをを不満たらたら思っていたらとんでもない!
今回も聴かせ上手ヤンソンスの術中にしっかりとはまってしまうことと相成りました。

意外なくらい客席は埋まらなかった。(最近の神奈川フィルのほうが埋まる!)
これは、平日の横浜と、高い外来チケットによるものか?

でもヤンソンスのコンサートに特有のワクワク感と高揚感がホールに徐々に充満し、熱気溢れる拍手とブラボーの坩堝となった。
これぞライブで聴くヤンソンスの楽しみ!

 ドヴォルザーク 交響曲第8番
 R・シュトラウス 交響詩「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
 ラヴェル     「ラ・ヴァルス」
   (アンコール)
 ドヴォルザーク スラブ舞曲op72-2
                (11.14 @みなとみらいホール)

いきなりドヴォ8。出だしは、ちょっと固いと思った。名手兼美人のエミリー・バイノンも最初は音がつまっていたように感じた。あまり埋まらなかったホールがショックだったのかしら??
テンポを上げ主部に入ると俄然音楽は精彩を帯びてきて、はずむリズムにイキイキとした表情付けがビシバシ決まりとても楽しい気分になってきた。
この曲はフルートが活躍するから、バイノン女史は大活躍。舞台横の席だったので、彼女とヤンソンスを交互に見ながら大いに楽しんだ。彼女の木質感あふれるきれいなフルートの音色にはいつも参ってしまう。
彼女に代表されるコンセルトヘボウの木管はぬくもりと躍動感が際立つ名手揃い。
そしてですよ、弦の美しさ。伝統的なベルヴェット・トーンはややスリムになったけれど健在だと確信。それが、ただでさえきれいな響きの「みなとみらいホール」で聴けるのだから、こりゃもう耳のご馳走である。ともかくキレイ。LA席でオケの横で聴いたものだから、弦の残響がホール右手に拡がってゆくさまが快感である。
 のどかで夢見るような第2楽章。強弱を思い切りつけて歌を際立たせた素敵な3楽章。
お約束の最後の盛上げが、わかっちゃいるけどすごかった終楽章。
1楽章でもそうだったが、最後のティンパニの強打は実に効果的で、まさにエンディングの天才ヤンソンスの面目躍如!
女性の声でのブラボー第一声が見事決まった!

Rco2_2  休憩後の後半は、演奏時間にして30分もない。
でも物足りないどころか、ものすごく濃密な30分だった。
ティルは、私がこれまで聴いたティルの中で最高ではないか!
デリケートな響きから強大なフォルテまで、ダイナミクスの幅が極めて大きい。
最後のクライマックス、オケが駆け上がるように全奏で上昇音形を奏でる場面の完璧なアンサンブルと凄まじいまでの迫力には痺れた!すごすぎ。
そのあとの処刑と静かな回顧の場面との対比も見事で、急転直下のエンディングもまた完璧なまでに爽快だった。味のある演奏とは違うが、五感を刺激されるような痛快なティル。

トリが「ラ・ヴァルス」というコンサートは初めて。
ラヴェルの作品の中で一番好きな曲が「ラ・ヴァルス」だ。
シュトラウスとラヴェル、オーケストレーションの魔術師二人を並べて聴くのも思えば贅沢な楽しみである。前半の自然感豊かなドヴォルザークと、この二人のテクニシャンとの対比を
狙ったヤンソンスは心ニクイことをするもんだ。文句いってすいましぇん。
 ウィンナワルツのオマージュとしてのヴァルス。
分割された低弦が混沌とした雰囲気を作り出し、徐々にワルツが組成されてゆく。
そのさまを見守りながらも、高まり行く舞踏音楽に心が弾む。
いいぞ、マリス! そんな声を掛けたくなる素晴らしさ。
私は音楽とその雰囲気に酔い、酩酊状態になった。体も動き出しそう。
贅沢を言えば、完璧すぎる演奏に、こうした曲では、もう少し色合いが欲しいと思った。
ワルツとワルツのつなぎがスムーズだけれど、実はそこにほんの少しの間が欲しかった。

Landmark アンコールは感傷的なスラブ舞曲でしんみりと。コンセルトヘボウの絹のような弦の音色全開。あぁ、もっともっと浸っていたい。
アンコールはこれ1曲で終わり。オケのメンバーの譜面を見ていたら、まだ次があったようだけれど、ヤンソンスは解散をうながした。
楽章の合間で咳き込んだりしていたし、体調は万全ではなかったのかもしれない。
明日は京都、あさっては名古屋で終了。ハード・スケジュールであります。
それでも鳴り止まない拍手に一人登場して歓声に応えるヤンソンス。
毎回、サインを頂戴していたが今回は帰路が長いし、マリス氏も早く休んで欲しいから、イルミネーションのきれいなランドマークを抜けて駅へ急いだのでした。
 来年は、バイエルン放送響と一緒にやってきておくれ。

ヤンソンス過去の来日公演記事

「コンセルトヘボウ管弦楽団2004 悲愴」・・・ブログ開設前
「バイエルン放送交響楽団2005 幻想」
「バイエルン放送交響楽団2005 ショスタコ5番」 

「コンセルトヘボウ管弦楽団2006 新世界」
「コンセルトヘボウ管弦楽団2006 マーラー1番」
「バイエルン放送交響楽団2007  マ-ラー5番」
「バイエルン放送交響楽団2007  ツァラトストラとブラームス1番」
「バイエルン放送交響楽団2007  ブルックナー7番」

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コメント

こんばんわ(^^)。
ワタクシもホントに楽しくて、充実感たっぷりのコンサートでした♪ヤンソンスさんもオケの皆様も、なかなかお茶目な感じがして、それも楽しかったですね。

拙ブログからもTBさせていただきましたぁ<(_~_)>。

投稿: 左党 | 2008年11月16日 (日) 22時34分

左党さん、こんばんは。TBありがとうございました。
楽しいコンサートはヤンソンスならでは。
蜜月ぶりがうかがえましたね。
オケの面々も微笑みあったりしてました。
歴代指揮者のように長いコンビを組んで名コンビとして1年置きに必ずやってきて欲しいものですね。

投稿: yokochan | 2008年11月16日 (日) 23時42分

はじめまして。
5年連続聴かれているとは、もう恒例ですね。
サントリーホール行って参りました。
TBさせていただきました。

投稿: steph | 2008年11月18日 (火) 00時00分

こんにちは。

>トリが「ラ・ヴァルス」というコンサートは初めて。
 
昔、1981年にオーマンディ/フィラデルフィア管が来日した折のプログラムがそうでした。
前半がベートーヴェンの「レオノーレ第3番」と「英雄」、後半がドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」と「ラ・ヴァルス」という変則的なものでした。
しかし最後にラベルを置いた意図は十分に伝わる演奏会だったと記憶しています。

投稿: 天ぬき | 2008年11月18日 (火) 11時08分

stephさま、こんばんは。
コメント並びにTBありがとうございます。
バカなもんで、好きになると徹底的に聴いてしまいます。
まして毎年来日してくれるものですから、聞かずにはいられなくなってしまいました(笑)
そして、満足の楽しいコンサートに横浜からの帰路も弾む思いでした!
またどうぞよろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2008年11月19日 (水) 01時24分

天ぬきさま、こんばんは。
コメントありがとうございます。

オーマンディとフィラデルフィアをお聴きになったのですか。
羨ましい!
それにしても、魅力的だし、ユニークなプログラムですね。
ベートーヴェンのあとに、牧神とラヴァルスなんて考えただけで、わくわくものです。
かつては外来オケのプログラムは盛りだくさんでしたね。
ことにオーマンディとフィラ管、ショルティとシカゴの2団体の演目を今見てみると驚きのタフネスぶりです。

投稿: yokochan | 2008年11月19日 (水) 01時28分

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