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2008年11月11日 (火)

ショスタコーヴィチ 交響曲第13番「バビ・ヤール」 ハイティンク指揮

Acde1f0 昼時の駐車場で見つけたねこ。

かなりくたびれた、おんぼろねこ。

見ていて気の毒なヤツで、眼が悪そう。車が近づいても動かない。

「もー、あたしは疲れました・・・、そっとしておいて下さいまし」

そんな雰囲気ただよう、今日のにゃんこでしたぁ。

Shostako13_haitink 歌入り交響曲シリーズ、いよいよショスタコーヴィ(1906~1975)の登場。
ショスタコーヴィチの歌入り交響曲は、第2番、第3番、第13番、第14番と4曲あるが、初期のふたつは短く、アヴァンギャルド風で実験的でもあって、イデオロギーが横溢し??の気分となる。
晩年に向かう、13番、14番は、ショスタコーヴィチの最高傑作とも言える巨大な作品で、ふたつとも「死」と「恐怖」を描いた問題作でもある。
そのふたつがショスタコの交響曲の中で、4番と並んで、もっとも好きな作品。

1962年、スターリン体制終結後のフルシチョフ体制化の作品で、「体制の雪どけ」で固く閉ざしてきたリアルな音楽を書き始めた頃。
エフゲニー・エフトゥシェンコの詩「バビ・ヤール」のいくつかの部分と、さらに、この作品のためにあらたに書かれた詩の5篇からなる。
「バビ・ヤール」は、キエフ郊外にある谷の名前で、ナチスがユダヤ人はおろかウクライナ人、ポーランド人、ロシア人までも大量虐殺した場所という。

ショスタコーヴィチ 交響曲第13番「バビ・ヤール」作品113

①「バビ・ヤール」この曲の白眉的な1楽章。ナチスによる暴虐が描かれる。
独唱は、自分がユダヤ人ではないかと歴史上の人物たちを上げて歌う。アンネ・フランクの悲劇についても言及される。リズミカルで不気味な行進調の音楽が2度ほど襲ってくる。
ファシストたちの到来である・・・・。
②「ユーモア」、ユーモアを忘れちゃならねぇ。支配者どもも、ユーモアだけは支配できなかった。辛辣かつ劇的な楽章、オーケストラの咆哮もすさまじい。
③「商店で」、獄寒のなかを行列する婦人たちを称える讃歌。
これも皮肉たっぷりだが、音楽は極めて深刻で寒々しい・・・。
④「恐怖」、これまた重い、重すぎの音楽。恐怖はどこにでもすべりこんでくる。その恐怖はロシアにおいて死のうとしている。・・・・が、詩(DSは作曲であろうか)を書きながらとらわれる、書かないという恐怖にかられる。仮面を被った痛切きわまりない音楽に凍りそうだ。
⑤「出世」、終楽章は一転おどけた、スケルツォのような音楽だ。
ガリレオ、シェイクスピア、パスツール、ニュートン・・・、世の偉人たちが生前そしられ、誹ったものたちは忘れられ、誹られた人々は出世した・・・・。
「出世をしないことを、自分の出世とするのだ」
皮肉に満ちた音楽、最後はチェレスタがかき鳴らされ静かに曲を閉じる。

不思議な作品ではあるが、その緊張感と皮肉に満ちた1時間はとても魅力的。

ハイティンクの純音楽的な解釈は、あまりにも立派すぎて、この交響曲の威容を伝えてやまない。コンセルトヘボウのカロリーの高い響きもまことに素晴らしく、快感すら覚える。
彼らがブルックナーやマーラーを演奏するように、真摯に楽譜に取り込んだ結果がこれ。
より鮮烈な解釈や、緻密な解釈の演奏もほかにあるが、ハイティンクの一本筋の通った演奏は誰をも納得させてしまうだろう。
 冷静かつ音楽的なリンツラーのバスも素晴らしい。
この人はこの曲のスペシャリストで、デュトワとベルリンフィルのFMライブでも歌っていた。

  ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ
                     同 男性合唱団 
                     Bs:マリウス・リンツラー
                       (84.10録音) 

次回予定している、「ショスタコーヴィチ・シリーズ」では誰の演奏をとりあげようか、楽しみ。「オーマンディ盤」の過去記事はこちら
    

 

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コメント

おはようございます。
このCD、はじめて買ったショスタコーヴィチのCDでした。中学生だったと思います。とても大好きな曲です。もうこの盤以外の演奏を受け入れられないぐらい聴きまくったのを覚えています。リンツラーさんもすばらしいですし、男声合唱の切迫感も大好きでした。

投稿: Shushi | 2008年11月12日 (水) 04時40分

Shushiさま、こんばんは。
コメントありがとうございます。
中学生でこの曲をお聴きでしたか。私なぞ、30過ぎてからでしたが、ショスタコの中では1、2を競うほど好きな曲になりました。
ハイティンクのショスタコが1枚1枚出るたびに購入しました。
西欧指揮者として初の全集は今でも完成度が高いですね。
リンツラーと男性合唱、もう背筋が伸びるくらいに素晴らしいですよね!

投稿: yokochan | 2008年11月12日 (水) 22時14分

yokochan様今晩は。ハイティンクの全集、ことに完結編になった13番は非常に評価が高いですよね。私は二十歳のときにハイティンク盤でこの曲を初めて聴きました。「何という暗い曲だ!」と思いました。当時の私にはまだまだ理解できる曲ではなかったのですね。三十過ぎてからブリリアントのバルシャイ指揮の全集で聴いてやっとこの曲の面白さが分かったような気がします。確かに作曲者の最高傑作の一つかもしれませんね。ハイティンクさんが嫌いなわけではありませんが、バルシャイの全集は私にとって特別な存在です。15曲どの曲も非の打ちどころがほとんどありません。苦手だった8番や11番や13番の素晴らしさを教えてくれた私にとっては「恩盤」です。yokochan様はバルシャイのショスタコ全集はお嫌いですか?

投稿: 越後のオックス | 2008年11月14日 (金) 18時12分

越後のオックスさま、毎度ありがとうございます。
いやぁ、実は世評高いバルシャイ全集、私は持っていませんし、聴いたことがないのですよ。お恥ずかしいかぎりです。
全集としての恩恵は、私の場合ハイティンクでして、1枚1枚じっくり集めて聴いてゆく歓びは今のレコード業界では味わえないものでした。
全集としては、あとはヤンソンスも1枚1枚そろえまして、半分まで聴きました。
ハイティンクとヤンソンスは、アバドにつぐ私のフェイヴァリット指揮者ですから、楽しみも大きいです。
ちなみに、あとプレヴィンとマリナーが好きですな。
軟派系かもしれません(笑)
いずれにしても、ショスタコの次のターゲットは、バルシャイとインバルなんです。
でもCDの置場を思うと暗澹としてしまいますが。。

投稿: yokochan | 2008年11月15日 (土) 02時37分

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