ディーリアス ヴァイオリン協奏曲 サモンズ&サージェント
名古屋に出張。
出張先では車を使うことが多い。
自慢じゃないけれど、沖縄以外の全都道府県を自ら車で走行したことがある。
おかげで、普通じゃ行かない場所に行ったり、そこを経由したりする。
今日は、スーパー「バロー」で食料を仕込み、公園の駐車場でお昼を過ごすこととした。
地図を見ると、長久手に古戦場公園というのが近くにあるじゃない。
長久手の戦いなんて教科書の世界だけれども、名古屋や関西にはこうした史跡が家の横や街角に何気にあったりする。こんな光景をみちゃうと、「関東なんぼのもんじゃい!」というお気持ちよくわかります。近くにはそれこそ住宅街の中に「血の池公園」なんて恐ろしげな名前のきれいな公園があったりするわけです。
こちらの紅葉は、古戦場のもの。美しいです。
ディーリアスのヴァイオリン協奏曲は、かなりの愛好曲で、以前ホームズとハンドレーの演奏を取り上げたことがある。
尾高&札響の素晴らしい演奏会のあとに、強い音楽は聴きたくない。
出張疲れもあることだし、心の襞に染みいるようなディーリアスがいい。
ディーリアスは、もちろん素晴らしい音質のCDで聴くのがいいが、紗幕のかかったような古めの録音で聴く味わいも、また格別だ。
私の場合、初ディーリアスは曲名もなにも書いてなかった無地レーベルの業務用のレコードだった。中学生の頃だった。ジャケットというか厚紙で作られたレコード入れには、手書きで「ビーチャム・デリアス」と書いてあった。
レコードは傷だらけで、ノイズもひどい。レコ芸の付録の要覧で、ロイヤルフィルとの有名な1枚と推測し、曲名も自分で探しだした。
大昔の話。だから私のディーリアスはパチパチノイズも一緒に刷り込まれているのである。
そんなまさに私にとってのノスタルジック・ディーリアスが味わえるのが今日の1枚。
ラプソデックで形式的にも自由なこのヴァイオリン協奏曲、夢の中を緩やかに散策するような25分間。以前の記事でも書いたが、曖昧で明確な旋律もない、感覚的なその音楽に私はいつも身を任せるだけ。夢の中は夕暮れの光景が浮かぶ・・・・・。
ヴァイオリンのサモンズは1886年に生まれ、1950年に没した英国ヴァイオリニスト。
デイーリアス(1862~1934)と20歳違い、独学でヴァイオリニストになったというからすごいものだ。
1944年の録音ながら、遠い彼方の音ではなくて、結構明快な音で聴きやすい。
そしてサモンズのヴァイオリンの温もり感と懐かしさは、ディーリアスにぴったりで、サージェントとロイヤル・リバプールの幽玄なバックも素敵すぎ。
サモンズは、ホテルで弾いているところをビーチャムに見出され、彼のオーケストラのコンサートマスターに抜擢されたとある。
このCDには、美しいピアノ協奏曲や、有名な小品や耳を澄ませたくなるような桂曲も収録されている。いずれも1940年代の味のある録音で聴ける。
冬の様相が急速に色濃くなって来るその前に、もう1枚!
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コメント
こんにちは。
ホームズとハンドリーの録音を持ってます。
ホントにはっきりしない曲で、
つかみどころがないですが、
変容・融解・流転してゆく響きに惹かれます。
他のどの作曲家とも似ていない、
独自の世界が魅力的ですね。
投稿: 木曽のあばら屋 | 2008年11月23日 (日) 22時42分
木曽のあばら屋さん、こちらにもありがとうございます。
ホームズ&ハンドリー盤をお聴きですか。
初めてこの曲に接したときは、つかみどころがなく戸惑いました。ですが、何回か聴くうちに、徐々にこちらの気分に絡まってくるのがわかりました。
そんな接し方がいいのかもしれません。
まさに、おっしゃる通り、こんな作曲家はいませんね。
年とともに、ますます、その世界に惹かれてゆく思いです。
投稿: yokochan | 2008年11月24日 (月) 01時29分