« エルガー 「エニグマ変奏曲」 シノーポリ指揮 | トップページ | リスト 交響詩「レ・プレリュード」 シノーポリ指揮 »

2008年12月31日 (水)

R・シュトラウス 「最後の4つの歌」 ステューダー&シノーポリ

22

東京、丸の内の年末の様子。

かつての昔は、東京駅前だけれど、単なるオフィス街で、味もへったくれもなかった。

でも有楽町方面とつないでみれば、まっすぐに、素敵な街だった。
三菱系のオフィスビルを左右に、フォーラムとビックカメラをつないで、ショッピングと文化の織りなすナイスなストリートにございます。

さてさて、今年の終わりに、ワタクシのライブ音楽を振り返りましょう。
2008年は、オペラが18本、それ以外のコンサートが17本、合計45の音楽会に行った。ちょっと多すぎる。2009年は、少し減らさねばと思う大晦日。
オペラは、ワーグナーが5、R・シュトラウスが6、プッチーニが2と偏りがうかがえる。
では、それぞれの5傑を。

 オペラ部門
  ①チャイコフスキー 「エフゲニ・オネーギン」 二期会
  ②ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 パリ・オペラ座
  ③ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 東京シティフィル
  ④R・シュトラウス 「ばらの騎士」 横浜
  ⑤プッチーニ 「トゥーランドット」 新国立劇場

 その他の部門
  ①「パトリシア・プティボン」ソプラノリサイタル
  ②「シュナイト指揮 神奈川フィル」 田園
  ③「シュナイト指揮 神奈川フィル」 ブラームス第4
  ④「尾高忠明指揮 札幌交響楽団」 エルガー第3
  ⑤「ヤンソンス指揮 コンセルトヘボウ」 


こんな感じで、オネーギンを選んだのは、コンヴィチュニーの演出が抜群に面白かったのと音楽のよさが初めてといえるくらいに実感できたこと。
パリのトリスタンは、演出はイマイチだったけど、演奏、とくにオケが素晴らしかった。
それに負けないくらいにワーグナーの真髄を聴かせてくれた飯守&シティフィル。
二期会のワルキューレも飯守さんはよかったけど、シティフィルの方が勝っていた。
演出の面白さで、ホモキのばら騎士とブロクハウスのトゥーランドット。

プティボンは、その愛くるしいお姿からは想像できないくらいに強い声だった。
そして見聴きする人々を心から楽しませてくれるプロであった。
シュナイト&神奈川フィルの名演の数々は、どれもこれも挙げたいくらい。現田氏のラフマニノフもよかったけど、この体制の終焉は寂しいぞ。
尾高&札響は世界的にみてもエルガー演奏の最高の存在と確信。
そして、今年もヤンソンスはうまいものだったなぁ。

無念の訃報も今年はあった。
リチャード・ヒコックス、ヴァーノン・ハンドリー、ホルスト・シュタイン・・・・合掌。

Vier_letzte_lieder_studer

去年もそうだったけど、今年もラストは、R・シュトラウスの「最後の4つの歌」で締めよう。
深まる秋や、しんとした冬の晩に聴くのが相応しいこの歌曲集。

「春」「9月」「眠りにつくとき」「夕映えに」

もうタイトルだけで、これらの深淵な音楽が聴こえてきそう。
1948年、その死を1年後に控えて、シュトラウスは達観した澄み切った心境を音楽に託した。

「かくも深く夕映えのなかに、私たちはなんとさすらいに疲れたことだろう、これがあるいは死なのだろうか」

昨年も同じ詩を引用したが、厳しかった今年1年、とくに心に沁みる。
わたくし、疲れました・・・・・。(飲み過ぎか??)

この美しい曲は、やはりシュヴァルツコップやヤノヴィッツ、ノーマンの言葉への思いを込めた歌が素晴らしく、それらは別格。
一方で、透明できれいな声のソプラノで聴くのも無類の喜びである。
80~90年代にかけて大活躍したアメリカのソプラノ、チェリル・ステューダーも、そうしたクリスタル系の声の人だ。
明晰さとあたたかさを兼ね備えた真っ直ぐな声は、いまも魅力的である。
言葉の歌いこみという点では諸先輩に遠く及ばないが、その素直な歌声から、シュトラウスの透徹した、軽やかな世界が垣間見ることができる。
 シノーポリドレスデン・シュターツカペレの作り出す音も、ステューダーと同じく、濃密さよりは透明感の方が勝っていて、ほんとうに美しい。

このCDは、あとワーグナーの「ヴェーゼンドンクの詩」と「トリスタンとイゾルデ」が収録されており、私にとって、最高の1枚なのだ。
ドレスデンのオケで聴くトリスタンは筆舌に尽くしがたく素晴らしい。
何気に、シノーポリ特集やっております。

26 皆さん1年どうもありがとうございました。
また数時間後にお会いしましょう。
ではでは。

 

|

« エルガー 「エニグマ変奏曲」 シノーポリ指揮 | トップページ | リスト 交響詩「レ・プレリュード」 シノーポリ指揮 »

コメント

yokochanさん、こんばんは!
この録音のことは、まったく知りませんでした!
確かステューダーは「愛の死」をテイト指揮のEMI盤で録音していたと記憶していますが、ドレスデンで聞くことができるならば、とても素敵なことでしょう。
来年もよろしくお願いいたします。素敵な年をお迎えくださいますように!!

投稿: Niklaus Vogel | 2008年12月31日 (水) 23時25分

yokochanさま こんばんは

間に合いました。寝ていました、爆~。
演奏会、オペラの数、素晴らしいです。
私も少しは行きたいのですが~

色々なレポ、本当に愉しく読ませていただきました。
来年の宜しくお願いいたします。

良い年をお迎えくださいね~。

ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2008年12月31日 (水) 23時40分

Niklaus Vogelさん、こんばんは。
そして年が明けました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
この1枚はまったく素晴らしい曲と演奏者です。
ステューダーはおっしゃるように、EMIのテイト盤でも歌ってますね。あちらはオケがバイエルンですので、それも素敵な1枚でした。
今年もいい音楽がたくさん聴けるとよいですね。

投稿: yokochan | 2009年1月 1日 (木) 02時00分

rudolfさん、こんばんは。
そして本年もどうぞよろしくお願いいたします。
こうして振り返りましたら、ちょっと聴き過ぎでした。
タダじゃないのですから、ちょっとセーブすることが、今年の目標だったりします(笑)

今年も、お互い、いい音楽とたくさん出会えるといいですね。

投稿: yokochan | 2009年1月 1日 (木) 02時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: R・シュトラウス 「最後の4つの歌」 ステューダー&シノーポリ:

« エルガー 「エニグマ変奏曲」 シノーポリ指揮 | トップページ | リスト 交響詩「レ・プレリュード」 シノーポリ指揮 »