ブルックナー 交響曲第1番 スゥイトナー指揮
こちらは、越前の「おろし蕎麦」にてございます。
一昨年の冬に訪れた福井県。
北陸3県は、会社人時代、担当エリアだったので、金沢を中心によく行っていた。
今思えば贅沢なもので、行けば金沢の片町で散々飲みまくっていたもんだ。
どうしても金沢に泊まることが多かったから、福井や富山は昼食ぐらいしか記憶がない・・・。
そして福井といえば、越前そば!
福井市内にもおいしい店はあるけれど、武生や今立あたりの普通のお蕎麦屋さんが、実にうまい!
こちらは、今立のとある蕎麦屋さんだけれど、蕎麦粉10割に近い極太ぼっそり麺に、けずりとネギをかけ、おろし汁をそこへぶっかけ、ずずぅ~とすする。
ピリ辛感と、あっさり感、そして蕎麦の触感がえもいわれぬハーモニーを現出する。
かつて、昭和天皇が食され、お気に入りとされた越前のおろしそば。
その店にも、大雪のなか行ったことがある。量が少ないので、酒を飲みつつも、いったい何杯食べてしまったろうか。バブリーな思い出でございます。
ブルックナー(1824~1896)シリーズ。
交響曲第1番ハ短調は、ブルックナー人気の中にあっても、マイナー番号作品である。
0番、1番、2番、6番のマイナー軍団がそれ。
ブルックナー受容の初期こそ、4・7・8番にかたよっていたものの、その後は、まんべんなくブルックナーを聴いてきたので、今ではこれら4兄弟の美質を見出して好んで聴くことが多い。
リンツでオルガン奏者を務めつつも勉学に励み、1865年、「トリスタン」の初演に立会い、大いなる感銘を受け、ビューローとの接点もできたブルックナー。
翌66年に、この第1交響曲を完成させ、68年に初演。自身の指揮のまずさもあって、いまいちだった。さらに後年、オーケストレーションを書き改めてウィーン版が初演時のリンツ版に対して出来上がった。
ただ、この1番の場合は、あまり変化は聴かれないと思う(と思います)。
作者自身がようやく付けた1番の番号。きっと後年まで愛着があったのであろう。
先の0番と、とてもよく似ている。楽章の配置や、それぞれの形式・楽想までそっくり。
でも、それぞれが彫りが深くなり、旋律の運びも自信に満ちている。
田園情緒もまた、さらに深く美しくなり、それがまた魅力の一端となっていて、私の好きな場面ともなっている。
何度も書いているが、マイナー軍団の緩徐楽章の一幅の絵のような儚い美しさは、後年の大交響曲にはないもので、私は一度しか訪れたことがないが、車窓から見たスイス・アルプスの光景を思い起こさずにはいられない。
まるで、評論家のK・Uのような表現だけれど、ことブルックナーのこれらの緩徐楽章には魅せられっぱなしの私なのである。
弦の刻みで軽やかに始まる1楽章は、心地よいテンポによる推進力あふれる楽章だが、その第2主題はゆったりとテンポを落として、こちらも田園情緒を味あわせてくれる。
そして、私にとっての核心部分の2楽章は、半音階的な出だし、そうワーグナーを思わせる部分から始まるが、すぐに調和のとれた平和なムードが横溢し弦の柔和な旋律やオーボエの愛らしい旋律が次々に出てきて、至福の世界を醸し出してゆく・・・。
あぁ、素晴らしい。これもまた天国的な音楽といえるだろうな。
独特のブルックナー・リズムあふれる3楽章は、他の諸作と同じように、のどかなトリオ部分がまた楽しい。
「火のように」と付された終楽章、強烈さでは、以外やこの1番が随一かもしれない。
その発端は、0番でも見られるし、このあと3番まで続くパターンではあるが、それでもこの1番のまさに火を噴くような一心不乱ぶりは、40超えとはいえ、晩成ブルックナーの音楽表現への若き発露といえるかもしれない。
1番で、最高に好きなのは、やはり思い入れも手伝って、アバドとウィーンフィルの第1回目のデッカ録音で、ロッシーニのような軽快でリズミカルな部分と滴るような歌が素晴らしい。
そして、後年聴いたのが、活動晩年のスゥイトナーとベルリン国立歌劇場管弦楽団の伸びやかな演奏。
インスブルック出身のオーストリー人が、ガチガチのドイツのオケを柔和で自主性あふれるオケにしてしまった。バレンボイムはその反動を利用し、ベルリンフィルのような機能性を併せ持った有機的な万能オケにしてしまった。
スゥイトナーという存在があってこその今のベルリンシュターツオーパーだと思っている。
| 固定リンク
コメント
yokochanさま お早うございます
ブルックナーの連番シリーズ、それに、ショスタコービッチの連番シリーズも楽しみにして、読ませてもらっています。
ブルックナー まだ0番、1番の面白さはまだまだです。私も、アバド盤、スィトナー盤を持っています。
スィトナーさんは、取り立てて何をしているわけでもないですが、音楽は深いというか、良い音楽をしていますよね〜。スィトナー・ボックスで、このCDも持っています。
もう一度、近いうちに聴き直してみようかと思っています。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2008年12月11日 (木) 05時43分
rudolfさま、こんばんは。
異質な二人のシンフォニストのシリーズを始めてしまいました。かなり苦労しそうです(笑)
スゥイトナーのブルックナーはマイルドでとても好きです。
やはり同郷のオーストリア人なのでしょうか。
無作為の演奏がとてもブルックナーに合ってます。
全曲録音が達成できず、残念ですね。
この1番、ぜひじっくりお聴きください。素敵な演奏です。
投稿: yokochan | 2008年12月12日 (金) 00時17分