« モーツァルト 歌劇「魔笛」 ハイティンク指揮 | トップページ | ラヴェル 「クープランの墓」 エッシェンバッハ指揮 »

2008年12月 3日 (水)

ブルックナー 交響曲第0番 マリナー指揮

Iketani_1_2 基本の「せいろ」1枚。
こちらは、海苔が律儀に別に添えられてきて嬉しい。
ざるそばを頼むと、海苔がすでに振りかけられてきて、そばと一体化してしまい、一緒くたになってしまう。

ここでは、好みに応じてふりかけるなり、別に口に含むなりで、楽しめる。
銀座の「いけたに」は、よく訪問するお蕎麦屋さん。
お酒もつまみも豊富であります。

今日から、じっくりと、「蕎麦とブルックナー」のシリーズに取組みます。
以前の「ラーメンとマーラー」シリーズを受けての試み。
書いてる自分からして、夜半にこんな画像を見ちゃうと堪らないのに、ご覧いただく方々の小腹を刺激してしまい、誠にに申し訳なく存じます。

歌入り交響曲を数々聴いてきて、ブルックナーに久しぶりに出会うと、その朴訥さと、多くを語らない受動的な音楽がきわめて新鮮に感じられる。
歌はなくとも、自然と神への讃美は、しっかりと伝わってくる。
人間くささはどこにもない。
これから番号順にいろんな演奏で聴いて行こうと思うのだが、マイナーな番号ほど心がときめく。冬の澄んだ空気には、マイナー番号の緩徐楽章のアルプスの自然の光景を思わせる音楽が似合う。

Sym1_marriner ブルックナー(1824~1896)の9曲の名品の前に、習作交響曲がふたつある。
よく言われるように、自作に自信がなく、批判されるとすぐに改定したり、ひっこめたりする奥ゆかしいブルックナー。
生涯独身の裏には、ローリータ好きというサガもあった(あぁ、こんなこと書くと悪趣味のTBが来るであろうな)
でもそんな、おやじアントン君が実に微笑ましいではないか。
極めて熱心なクリスチャンで、自己批判も強かったゆえに、習作には番号が与えられず、1863年頃、39歳で作曲したものの公表しなかった。
のちに改定を施したものの、初演は没後であったという。
こうして、かつて類をみない交響曲第0番が誕生した。
もうひとつ、ヘ短調の交響曲があって、私の若い頃は、「交響曲ヘ短調」としか呼ばれなかったが、今は「交響曲第00番」、なーんて、呼ばれている。
インバル盤をもっていたが、見当たらないし、印象が薄いので、このシリーズでは割愛します。

この「0番」、では、とるにたらない凡作かというと、そうではない。
立派にブルックナーしてる。隅から隅までブルックナー。
着実なトレモロによるブルックナー開始、金管主体のコラール風旋律、ゲネラルパウゼの多用。執念的なまでのリズムの反復、やたらに熱い終楽章。全部そろってます。
 そして嬉しいことに、2楽章のアンダンテ楽章の美しさにおいても、1,2,6番に通じるようなマイナー系の美質を合わせもっている。
正直、12分あまりの2楽章にはまいってしまう。
一輪の花を愛でるような、楚々とした気分の中に、祈りと情熱の感情が込められている。
 3楽章の中間部も、のちの諸作と同じようにのどかで、のびのびとした興に満ちている。
終楽章があまりにあわただしく、そっけないのは、マリナーの指揮のせいだけではあるまい。あっけないくらいに、音楽は突き進んで、そっけなく終わってしまう。
このあたりのスケール感や完結性は、もっと後の作品でないと味わえない。

マリナーのブルックナーなんて!
第9に続いての、サプライズ・セレクトだが、ブラインドで聴いたら絶対にマリナーとわかるまい。気合を込めた唸り声までしっかり収録されている。
確かに、重心は上のほうにあって、心持ち軽めの演奏ではあるが、その気合いたるや並々のものでなく、オケと一緒に息の長い旋律を歌っているかのよう。
ある意味、シュトットガルトのオケに乗っかってしまっているようなところがあって、ブルックナーの雰囲気を巧まずして導き出してしまった演奏に思う。
パウゼもしっかり取られているから、間のすくないアッサリ・マリナーらしくない、というより、楽譜をしっかり捉えての演奏だからであろうか。
録音は83年。成熟した現在から去ること、25年前。
ドイツの放送オケという、英国の手兵とはまた違ったフレキシブルで反応のいい団体との素晴らしい結びつきの1枚だ。

|
|

« モーツァルト 歌劇「魔笛」 ハイティンク指揮 | トップページ | ラヴェル 「クープランの墓」 エッシェンバッハ指揮 »

コメント

おはようございます。

「いけたに」その店名はよく耳にしています、が残念ながら訪れたことはありません。最近は銀座とはすっかり疎遠になってしまいました。たまに行くときでも東銀座というか築地界隈の蕎麦屋です。「更科布恒」「成富」「さらしなの里」「東風庵」あたりです。
夜ではなくて開店と同時に飛び込む口開け専門です。

ブルックナーは好きなのですが0番って聴いたことがないんです(^^ゞ

投稿: 天ぬき | 2008年12月 3日 (水) 09時42分

 yokochan様今日は。
0番は、後の偉大な交響曲たちのミニチュアみたいな感じがしますね。確かに彼の個性は出揃っているのですが、まだ小粒と言いますか…私はインバル盤でしか聴いたことがないのですが…マリナーのブルックナーがそれほど熱気のある演奏であるというのには驚きです。ブラインドで聴かされたら私なんか「クーベリックの新発見のライヴだろ?」なんて答えて大恥をかいてしまいそうですね。00番はスクロヴァのCDで聴いたのですが、聴いてもあまり印象に残らない曲でして…ロマンティック以前のブルックナーの交響曲で私が好きなのは1番と3番です。1番はリンツのオケの明るい音色が印象的なデニス・ラッセル・デイヴィス盤が、3番はティントナーが77分かけて演奏している最初のバージョンを57分(!)で演奏してしまったノリントン&ロンドン・クラシカルプレイヤーズの超特急演奏が好きです。2番は名盤の誉れ高いジュリーニ盤で聴いてもよく分からないので私とは反りが合わないのかもしれません。

投稿: 越後のオックス | 2008年12月 3日 (水) 16時22分

天ぬきさま、こんばんは。コメントありがとうございます。
昼の「いけたに」は知りませんが(笑)、確か昼もやっています。銀座にあって決して法外でない価格と雰囲気。
天ぬきさまのお書きになった店はいくつか行ったことがありますが、どこもいいですね。
蕎麦はいいです!

第0番、聴きやすい曲ですので、是非どうぞ。

投稿: yokochan | 2008年12月 4日 (木) 00時48分

越後のオックスさま、こんばんは。
マリナーの思いのほか熱い演奏にうれしくなりました。
マリナーの個性はなかなかとらえどころがなく、昨年の来日でもかなり思い切った演奏を聞かせてくれました。
昔から何かと好きな指揮者なのです。

ブルックナーは、どれもこれも同じようですが、後期のものは当然として、私はマイナー1・2・6が好きなのです。
R・ディヴィスやノリントン、おかげさまで次のターゲットになりましたね。

投稿: yokochan | 2008年12月 4日 (木) 00時53分

「蕎麦とブルックナー」なかなかおつな組み合わせですね、コテコテの大阪人の僕には、きつねうどんですかね(意味不明)0番は録音も少いせいか決定盤と言える演奏はないようです。僕の愛聴盤はスクロヴァチェフスキと朝比奈ですが、あまり共通項は無い演奏同士ですが、琴線を刺激する何かがあるようです。そのあたりインバルの演奏には別の世界が存在してますね。「蕎麦とブルックナー」シリーズ、期待してますよ。

投稿: SAKURA男 | 2008年12月 4日 (木) 10時46分

SAKURA男さま、すっかりご無沙汰しております!
このCDでは、完璧なまでにお世話になっております。
ついに登場しました!
仕事の都合上、以前のようには伺えなくなってしまい心残りではありますが、インバルとはまた違う世界を楽しめるのもうれしい思い出です。
そうそう、おやっさんのリングが、アカデミー賞を取りましたね。
今回の弊ブルックナー・チクルスにも、朝比奈オヤジさんには登場いただこうと思っております!

投稿: yokochan | 2008年12月 5日 (金) 00時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/151893/43281063

この記事へのトラックバック一覧です: ブルックナー 交響曲第0番 マリナー指揮:

« モーツァルト 歌劇「魔笛」 ハイティンク指揮 | トップページ | ラヴェル 「クープランの墓」 エッシェンバッハ指揮 »