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2008年12月27日 (土)

ブルックナー 交響曲第3番 ザンデルリンク指揮

1 寒い晩には、あったかい蕎麦を。
そして、飲んだあとに以外にもいける「カレー蕎麦」。

銀座「いけたに」のカレー蕎麦は、病みつきになるくらいにおいしい。
蕎麦屋さんのカレーは、粉っぽくなってしまい、それが逆に和風でおいしいのだけれど、こちらは、しっかりとしたカレールゥがベースになっていて、かなりドロンドロン。
注意深く食べないと、シャツやネクタイに黄色い斑点がついてしまう。
言葉にするのは難しいけれど、蕎麦に合うカレーでもあり、きっとライスでも充分にいけちゃうナイスなカレー蕎麦でございます。
香り高い一品で、これを食べると店内はカレー臭に満たされ、オヤジたちは競っておれも、おれも状態になってしまう。はははっ

Sym3_sanderling

ブルックナーのシリーズ、今晩は交響曲第3番
俗にワーグナー交響曲ともいわれるけれど、それは敬愛する大ワーグナーに、この曲を献呈し、快くそれを受けてもらったから。
 ワーグナーが、この曲のどこに愛着を感じ評価したのだろうか。
トランペットの出だしが、ワルキューレのジークムントの場面を思わせるし、そんな勇壮な場面とうらはらに、1・2番と同じく、大自然の声に満ちているから、自分にないベートーヴェンのパストラル的な要素を感じ取ったからであろうか。
1873年に作曲された年、ワーグナーは「リング」の完成に向けて取り組んでいる最中で、ルートヴィヒ2世を得て得意満面の時である。
そんなワーグナーに気にいられて、ブルックナーもさぞや嬉しかってであろうよ。
ところがやっぱりブルックナー。ウィーンフィルに演奏不能として初演を断られると、すかさず改訂。数年後、ウィーンでようやく初演にこぎつけるが、自身の指揮がへたくそだったりして散々の演奏だったため、ショックに陥り、その後数回にわたって改訂が行われた。
だからいろんな版があって、この曲もややこしい。
通常は、第二稿をもとにしたノヴァーク版やエーザー版が用いられるようであるが、私はどの版がどうなっているかなどは、実はさっぱりわからない。
インバル盤は、ほかの諸曲もあきらかに違うと理解できるけど、ノヴァークだハースだのは、さっぱりにございます。

例のごとくもやもやのなかから、トランペットが一筋の光のように鳴り始める。
その後、大いに盛り上がるものの、あとは自然と祈りへの讃美を織り交ぜたような豊かな音楽が展開される。
 法悦的なまでに歌に傾注してしまう第2楽章。
これまた、ブルックナーの緩徐楽章好きの私を刺激する。
楚々とした場面が勝っていた1・2番に比べると、酩酊したかのように自己の内面の高まりをさらけ出しているように思う。抑制感がないようにも思えるが、後期の神々しさへの過渡的な場面であろうか。
かつて、アバドがウィーン・フィルとこの楽章を演奏したライブを録音していて、それがまた歌うことへの信条がブルックナーの響きと見事にマッチした名演であったのだ。
 湧き立つようなスケルツォは、爆発的な部分と中間部の舞曲風な部分との対比が面白い。のどかな田舎は、ここにもある。
激しく始まる終楽章、熱いなかに柔和さも折り込んだ音楽は、1・2楽章からすると、後年の交響曲ほどの充実感がないかもしれない。
でもその1楽章のモティーフが高らかに回帰するコーダの素晴らしさは感動もの。

この曲を始めて聴いたのは、高校生のとき。
デッカに久方ぶりに録音した、あまりに有名なベームとウィーンフィルのレコードが初めて。その時は全然ワーグナーじゃないじゃん、と思ったもんだ。
録音ものちの4番の素晴らしさからすると、ちょっとこもり気味の印象を受けていて、3番はどうも冴えない交響曲だと思っていて苦手だった。
CD時代になって、ベームを買いなおしたら、なんと素晴らしいじゃないの。
まるでライブのような生々しさに満ちている一方、1・2楽章の自然の描写が素晴らしく感じられた。
 そして、突然登場したザンデルリンクライプチヒゲヴァントハウスのCD。
1965年の録音ながら、その存在が忘れられていた音源で、しかも廉価盤となって出たものだから喜んで購入。
これがまた素晴らしい演奏なのだ。
コンヴィチュニー亡きあとのノイマンの時代。マズア前の、まだまだ重厚でいぶし銀のサウンドを誇っていた頃。
そんな絵にかいたようなドイツ魂が聴かれるこのブルックナー。
以外やザンデルリンクは柔軟で、やわらかな響きも好む人だから、ガチガチの音ばかりでなく、2楽章などの息を飲むような美しさは並々のものでないし、終楽章の高揚感もスゴイ!

2_2 「いけたに」のカレー蕎麦を、ほじくり返して、麺をたぐるとこんな感じであります。
 どーすか?
おいしそうでしょう


 

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コメント

おはようございます。

カレー蕎麦(うどん、も)大好きで品書きに載っていると思わず注文してしまいます。
私はオーソドックスですが「まつや」のが好きです。
あとは、最近はご無沙汰なのですが扇大橋の「長兵衛」でしょうか?
ブルックナーの3番との出会いは昔のFM東京の番組、「マスターワークス・コンサート」だったでしょうか、そのテーマ音楽に終楽章が使われていて耳にしてからでした。早速同じ演奏、セルのLPを購入したものでした。

ザンデルリンクは最後のコンサート(2001年、ベルリン放響)に3番を選んでいました。愛着があったのでしょうか?その演奏はMDで録りました。横着してDATで録らなかったのを後悔しています。

投稿: 天ぬき | 2008年12月28日 (日) 10時09分

天ぬきさん、こんにちは。
「まつや」はしばらく行ってませんが、いつも「もり」と「ごま蕎麦」ばかりで芸がありませんでした。
カレーも試してみたいものです。「長兵衛」も行ってみたいですねぇ~。食いしん坊でございます。

セルの3番も有名な1枚ですね。
そしてザンデルリンクの最後のコンサートもこの曲だったのですか。引退しましたが、長命の方ですね。
最近、放送録音が続々CD化されてますが、手が出ません(笑)

投稿: yokochan | 2008年12月28日 (日) 13時42分

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