« ショパン バラード第1番 ツィメルマン | トップページ | ブルックナー 交響曲第1番 スゥイトナー指揮 »

2008年12月10日 (水)

ショスタコーヴィチ 交響曲第1番 ハイティンク指揮

1 こちらは、手製の「ドライカレー」。
焼き飯を作る要領で、カレー粉を適当に振り混ぜる。
ガラムマサラもあれば、さらにエスニック風となります。
野菜などは、冷凍ものを使ってしまう。お肉はできればチキンか、ビーフがよろしい。
問題は、ひとつしかないフライパンで、目玉焼きとライス、どっちを先につくるか。
目玉焼きをきれいにつくるには、キレイなフライパンと時間配分とが必要。
よって、目玉焼きを先に作り置きしてから、ドライカレーを炒めます。半熟たまごを崩しながら、ライスとともにいただく、その至福の瞬間、皆さん、わかりますよね!
あぁ、食いてぇ~

Shostakovich_sym1_haitink

ドライカレーとは、まーったく関係ないけれど、ショスタコーヴィチ(1906~1975)の交響曲シリーズ始めます。

同時進行をもくろむブルックナーのアントン氏に比べると、こちらドミトリー氏の交響曲は才気とナゾが入り混じった複雑な系統である。
69歳で亡くなってしまったのに、多作家だった。
15番目の交響曲のパロディーのあとには、いったいどんな世界を見せてくれたのだろうか。
これもまた、永遠のナゾなのであ~る。

そんなナゾおやじの、出世作である交響曲第1番は、ペテルブルク音楽院の卒業作品で、19歳(1925年)の作品である。
(ここでもブルックナーを引き合いに出すと、苦心の末の第1番は40過ぎ。)
生真面目な4楽章形式からなるコンパクト・シンフォニーで、ストラヴィンスキーやプロコフィエフといった先輩諸氏の影響を聴くことも、そしてマーラーのアイロニーをも見出すこともできる。
正直、あれ?これショスタコ? という場面も多々あって、タコさんらしくない無難な1番なのである。ワルターも大いに演奏して広めた1番であるが、継ぐ2番では、早くも路線変更してしまう一筋縄ではいかないナゾぶりを発揮するわけである。

この1番での聴きものは、第3楽章の深い哀感で、オーボエと独奏チェロの旋律がなかなかに悲しい。そこに何度も鳴り響くトランペットのモットー。
そして、レントから渦巻くように盛り上がる終楽章の頂点で、オケは全休止してしまい、先のトランペットのモットーをティンパニが響かせる。この怪しげな瞬間。こんな場面こそ、ショスタコを聴く楽しみである。その謎解きは、各自ご自由に・・・・。
最後は、そんな思いを振り切るかのように盛り上がってズドンと終わる。

ロンドンとアムステルダムでショスタコーヴィチ全集を作り上げたハイティンクは、よく言われるように、楽譜に書かれた音楽そのものを純度高く再現してみせた模範生のような演奏である。洗練されすぎてしまった感もあるが、私はすべての番号において、ハイティンクの演奏に信頼を寄せている。
ロンドンフィルの番だったこちらの演奏は、カッチリとした交響曲としての枠組みの中に、ショスタコーヴィチの折衷的な音楽を収めこんで、完璧な演奏を行っている。
この曲はこれでよいのだろう。
ティンパニの音を明晰にとらえた、デッカ録音も素晴らしいし。

はてさて、不思議交響曲なり。

|

« ショパン バラード第1番 ツィメルマン | トップページ | ブルックナー 交響曲第1番 スゥイトナー指揮 »

コメント

yokochan様今晩は。
私はショスタコーヴィチの交響曲の最高傑作は第1番なのではないかと思うことがあります。もちろん8番や13番の偉大さはよく分かっているつもりですが…弱冠19歳の作品なのにどの楽章も個性的な響きがします。ワルターやクレンペラーが狂喜してこの曲を振ったのも分かるような気がします。私はロジェストヴェンスキーで中学生のときにこの曲を初めて聴きました。9番とカップリングされているやつです。レニー&シカゴも聴きましたが、テンポがあまりにも遅すぎて感心できませんでした。最近はバルシャイの全集に入っている演奏を最も好んで聴きます。ハイティンク盤は未聴ですが、素晴らしい演奏なのでしょうね。

投稿: 越後のオックス | 2008年12月21日 (日) 00時57分

越後のオックスさん、こんばんは。
この1番は、実はちょっと苦手なんです。
ですから、ハイティンクやヤンソンスのようなシンフォニックな演奏を好みます。
ロジェヴェンやコンドラシンも聴いてみないとけないようですね。
それにしてもワルターはどんな演奏だったのでしょうか?

投稿: yokochan | 2008年12月21日 (日) 01時35分

1958~1961年の間にロスで行われた、ステレオ録音企画に、ワルター指揮によるショスタコーヴィチの『第1番ヘ短調』を入れて呉れればとの思い、実は愚生の胸中にもございます。もし実現して居れば、甚だ貴重な遺産たりえたと‥。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月20日 (金) 10時12分

ワルターのタコ1、イメージわきませんね。
2番以降が、ぶっとびすぎなので、CBSもショスタコ自体に躊躇したのでしょうか・・・

投稿: yokochan | 2019年9月22日 (日) 16時36分

当時の政治上の冷戦相手の御用作曲家と見なし、首脳陣がオールユダヤのCBSが、敬遠した訳でもないでしょう。レニー&NYPは『第5』『第7』『第9』『第1ピアノ協奏曲』を収録してますから‥。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月30日 (月) 11時14分

東海岸と保守的な西海岸とでも違ったのかもしれませんね。

投稿: yokochan | 2019年9月30日 (月) 18時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ショスタコーヴィチ 交響曲第1番 ハイティンク指揮:

« ショパン バラード第1番 ツィメルマン | トップページ | ブルックナー 交響曲第1番 スゥイトナー指揮 »