私の好きなオペラアリア メゾソプラノ・アルト編
水仙の花が咲き始めた。
うつむきぎみの花が美しい。
洋名ナルキッソスは、ギリシア神話のナルキッソスに由来するらしい。
そう、水面に映った自分に惚れてしまって焦がれ死ぬっていうあのお話。
だからうつむいて咲くんだそうな。
花言葉は、自己愛とかうぬぼれ。
花ひとつに、よくまぁ、いろいろとあるもんだわな。
ちょうど今、R・シュトラウスの「アリアドネ」の序幕のツェルビネッタの美しい陶酔的な歌を聴いていたものだから、その音楽になんとなく、この花が相応しく感じてもしまった。
ソプラノとテノールをやったから、その他の声部をやらないのは片手落ち。
今日は、メゾ&アルトの声域でのオペラ・アリアのマイフェイヴァリットを取り上げてみます。
オペラでは、ソプラノがヒロインとして主役を張った作品が多い。
テノールは、その相手役であったり、タイトルロールのヒーローであったりする。
メゾ&アルトとバリトン・バスの役柄は、なかなかに主役が少ない、というかむしろ、主役に対峙する役柄や憎い役柄が多かったりする。
でも彼女たち、彼等が、オペラという舞台に大いなる華を添えているからこそ、主役級が映えるし、最近の演出では主役を食ってしまう場面も多々見受ける。
メゾ&アルトの名曲は、ヘンデルやモーツァルト、ロッシーニに多い。
バロック期のものは、カストラートの存在があった故だろうが、モーツァルトはあらゆる声部に素晴らしいアリアを残したし、ロッシーニはメゾ&アルトが主役になっている。
それと、プッチーニとR・シュトラウスは、ソプラノ偏重で、この声域にあまり積極的でなかったように思える。
ワーグナーは、ドラマティックで広い声域を役に求められるから、メゾ領域の歌手がソプラノのタイトルロールを歌うことも多々ある。
1.モーツァルト 「フィガロの結婚」~「恋とはどんなものかしら」 シュターデ
2.ロッシーニ 「チェネレントラ」~「悲しみと涙のうちに」 バルトリ
3.モーツァルト 「ティトゥスの慈悲」~「私は行くが・・・」 バルトリ
4.サン・サーンス「サムソンとデリラ」~「あなたの声に心は開く」 カラス
5.ワーグナー 「パルシファル」~「幼子のあなたが」 マイアー
6.チレーア 「アドリアーナ・ルクヴルール」~「苦い喜び、甘い苦しみ」 コソット
7.ヴェルディ 「ドン・カルロ」~「むごい運命よ」 ヴァルツァ
8.ヴェルディ 「マクベス」~「日の光が薄らいで」 コソット
9.ビゼー 「カルメン」~ハバネラ ベルガンサ
10.マスカーニ 「カヴァレリア・ルスティカーナ」~「ママも知るとおり」 シミオナート
あと5つ
11.ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」~ブランゲーネの警告 ルートヴィヒ
12.R・シュトラウス 「ナクソスのアリアドネ」~作曲家のモノローグ トロヤノス
13.J・シュトラウス 「こうもり」~「お客を呼ぶのが好き」 ファスベンダー
14.チャイコフスキー「エフゲニ・オンーギン」~「私はあなたと違って」 オッター
15.ワーグナー 「神々のたそがれ」~ヴァルトラウテのモノローグ ルートヴィヒ
以上、気がつけばてんこ盛り。
ズボン役あり、おっかない女あり、二重人格あり、嫉妬に狂う女あり、忠実な待女あり。
ともかくバラエティ豊かな、この声域での役柄は、こうして挙げてみると魅力的なものばかり。
このなかからふたつあげるとなると、今なら「チェネレントラ」と「デリラ」。
ケルビーノとカルメンは、これらの中でも名曲中の名曲。
ロシア、フランス、ベルカントものに弱いワタクシですから、片寄りは大目に見ておくんなさいまし。
もう1枚。
この正月に実家の庭に咲いてました。
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コメント
今年も楽しく拝読させていただいております。
どうぞよろしくお願いいたします。
ああ、嬉しいです!
歌えませんがわたくしはアルトです。
地味で目立たず(?)な立場ですが『魅力的』とお褒めいただけて光栄です!!!
投稿: moli | 2009年1月10日 (土) 07時18分
moliさま、こちらこそ今年もよろしくお願いいたします。
目立たないようでいて、多くの素敵なアリアがある声域です。
こうして真剣に書き連ねてみて思いました。
私の愛するプッチーニやR・シュトラウスにソロが少ないのが残念ですが、スズキや作曲家(アリアドネ)は好ましい役柄ですし、そう、何といっても「オクタヴィアン!!」でございます。
舞台でのカーテンコールは、オクタヴィアンがいつも最後に出てきます。
マルシャリンじゃなくて、オクタヴィアンなんですね。
>地味で目立たず<(笑)どころか、まさにヒロインですね!
投稿: yokochan | 2009年1月10日 (土) 11時49分
yokonan様。着眼点、さすがです。年をとってくると、ソプラノの絶叫が辛くなり、メゾ以下の声域が好みになってきますよね。今度は『当然』バリトンなんですよね?ヴェルディ(魅力的なアリアのてんこ盛り!)やヴォータン、ザックス、オックスが出るんだろうなぁ。ドン・ジョヴァンニ、フィガロもそうだし。楽しみです。
投稿: IANIS | 2009年1月10日 (土) 18時27分
すんません、"yokochan"と打つべきところ、"yokonan"と打鍵してしまいました。
蛇足ですが、実際にオペラを体験してくると、メゾやアルト、バリトンにバスの豊かな声量に感動させられます。少々主役の恋人たちが"?"でも、恋敵たちやライバルが万全なら公演は何とか持ちこたえると考えるようになりましたが、yokochanさん、どないでしょ?
投稿: IANIS | 2009年1月10日 (土) 18時35分
あけましておめでとうございます。
わたしは、聴くのは耳に優しいバリトンが大好きです。(女だから?)
きのうウィーン「メサイア」演奏旅行から帰ってきました。オペラ座で「ボリス・ゴドノフ」を観てきましたが、バス歌手のフェルッチオ・フルラネットが素晴らしかったですよ~。
投稿: はざくら♪ | 2009年1月10日 (土) 20時46分
IANISさん、まいどこんばんはです。
>年をとってくると、ソプラノの絶叫が辛くなり、メゾ以下の声域が好みになってきますよね<
まったくおっしゃるとおりにてございます。
ギンギンのソプラノも選ぶようになってきたかもしれません。いやはや・・・・・。
次の部門は、当然にしてB&Bsですが、あまりにも多すぎなフェアイバリットにどうしようもなく困ってます。
BrとBsを分ける手もありますが、それでいくとMSとAに失礼だし・・・。
乞うご期待!
実際の舞台観劇を通じて、われわれ日本人の目も肥えてきました。音楽中心から、徐々に演劇性重視に入ってきたものと思います。
主役級偏重から、舞台を彩る登場人物への関心へと移りつつあるとも感じますね。
でも、演出においてはドイツのような音楽と乖離してしまった面白さ本位の風潮になってほしくないです。
東南アジアのソープのような蝶々さんは勘弁して欲しいっす。
投稿: yokochan | 2009年1月10日 (土) 22時57分
はざくらさん、ご無事での帰国なによりです。
そして、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
ウィーンでのメサイア演奏、ブログでとくと拝見しました。
バレンボイムのニューヤーコンサートのあとのホットな、ムジークフェラインでの演奏会だったのですねえ!!
スゴイです。
極寒のウィーン、とても憧れます。
美術館にカフェ、あと百貨店も楽しい。
国立歌劇場も夢のようです。
ボリスは、ロシアものでは最愛の作品だけに、うらやましいかぎりです。
バリトン特集、名曲揃いで悩んでおります・・・。
投稿: yokochan | 2009年1月10日 (土) 23時17分