ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」 エッシェンバッハ指揮
以前にも紹介済みの、あまりにも有名なこちらの天ぷらそば。
明治3年の創業というからすごいですな。
丼からはみ出す、ピンとはった海老天が2本。
カラリとゴマ油で揚がったその海老を頬張れば、もう口は至福に緩む一方だ。
こんなウマい食べ方を誰が考えたんだろ
ブルックナー(1824~1896)の交響曲シリーズ。
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」でございます。
3番に引き続き1874年に作曲され、リンツにて初演されたが、またまた改訂癖が出て、第3楽章は全く違う曲となり78年に完成。
さらにまた手を加え80年までかかった。
これが第二稿と呼ばれるもので、今標準的に演奏されている版。
ハース版やノヴァーク版は、こちらの第二稿となっているが、ほかの諸稿については、さっぱりわからないし、あまりにもややこしいから、もういいでしょう!
原始霧の弦のトレモロの中から、ホルンが柔らかく響いてくると、そこは中世ドイツの森のよう。この前段で主要主題が出揃い、輝かしいクライマックスとなる第1楽章。
ホルンがオケの上に響き渡る最終場面は、ブルックナーらしくもなくかっこいい。
そして、深い森を逍遥するような第2楽章は、大いに渋く、孤独を味わうこともできる。
ピチカートに乗ってヴィオラが歌う場面はとても美しく好きな場所。
ホルンや金管の活躍するリズミカルな3楽章は、森へ向けて駆け抜ける狩人たち。
トリオは相変わらずのどかなものだ。
そして、長大な終楽章は、なかなかに難解で、その分味わいが深い。
これまでの楽章の集大成的な存在で、寄せては返す波のようにクライマックスが次々に訪れ、何度も息を詰めるような思いになる。
この楽章の最後にもホルンが活躍する。
唯一タイトルを冠したこの交響曲は、ブルックナーの中でも一番ポピュラーで、演奏頻度も高い。
私もご多分にもれず、この曲から入門した。
カラヤンが第9以外に初めて録音したブルックナーで、4番と7番の3枚組のEMI盤。
その4番のみをカセットに録音し聴いたのが初。
いま思えば、壮麗にすぎる演奏だが、中学生の私には、小難しい曲が輝かしく響き、快感だった。
その後は、7→9→8→3→5→6→2→1・・・・、こんな塩梅で聴き進めていったのではないかと思う。
どうしても、4番で入門しても、そのあと後期の名作から中期、そして初期へとなってしまうのが、マーラーと違う大器晩成オヤジのブルックナーの聴き方である。
今回の演奏は、クリストフ・エッシェンバッハとパリ管弦楽団によるCD。
これは、実にユニークなブルックナーであった。
まず遅い。全曲で73分30秒。
最速のアバドで60分あまり。それは早く感じないほどの透徹した演奏だったが、このエッシェンバッハは、どう聴いても遅い。
一概にエッシェンバッハは入念な演奏をするから、常に演奏時間は長い。
全部が遅いわけではなく、要は時に立ち止まって入念な解釈を施す場面が多々あるからなのである。
各楽器がそれぞれに歌う場面も、他の楽器を抑えてしまって、その楽器をクローズアップしたようにじっくりと歌わせる。2楽章では、それが実に美しい効果を生んでいるし、終楽章の難しいエンディングも相当のタメを含みつつ堂々としたものになっている。
デフォルメに過ぎると感じるむきもあるだろうが、私はこんな指揮者の個性が好きである。
そう何回も聴ける演奏ではないかもしれないが、こうしたブルックナーがあってもいい。
そして、エッシェンバッハの個性に加えて、パリ管の軽めの音が全体がネットリしてしまう印象から救っている。
ライブ録音ゆえのホールの特性もあろうが、管楽器の軽さと金管の輝かしさ、弦の薄味さなどが、私には妙に快感である。
このコンビの解消は残念。「リング」全曲上演など、ワーグナーもかなり演奏していたから、「フレンチ・リング」の録音を期待していたが・・・・・・。
若き日のピアニスト、エッシェンバッハ。
すごく敏感そうで、詩的な感じ。
このあと、すごく長髪になり、小沢との皇帝では、ロックミュージシャンのような二人が、とてもかっこよかったんですけれど。
ちゃんと、ありますが、こういう風な感じがあぶない。
まぁ、人のことは言えませんがね。
そして、ご参考までに。
抱腹絶倒のパロディ映画「オースティン・パワーズ」
マイク・マイヤーズ。
詰め襟風の衣装までが・・・・。
以前からずっと思っていた。
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コメント
丼からはみ出た尻尾に強く反応いたしました。
わたくしの故郷は浅草や上野がある区です。
当時こちらのおそばも何のありがたみも感ぜず頂いておりました。
今や遠く離れてみて、感謝しつつ頂かなかったことにバチが当たったのだな、と思う次第です。
投稿: moli | 2009年1月15日 (木) 00時28分
もう松も明けてしまいますが。。。
今年もよろしくお願い致します。
天そば、すっごく旨そうですね~。
ワタシは天丼派ですが、今まで旨い天そば喰ってないだけかも。お店行ってみようと思います。
ブルックナー、ワタクシは4⇒7⇒9⇒8⇒5ときて、3で止まってます(汗)。いつ6・2・1・0・00まで到達するやら。。。特に好きなのは5番です。4番は現東響音楽監督スダーン盤をよく聴いてました。タ○レコ行くと新品で500円を切る価格です(笑)。
投稿: 左党 | 2009年1月15日 (木) 01時02分
yokochanさま お早うございます
天ぷらソバ、豪華ですね〜。
そばのおつゆは、濃い口醤油でしょうか?関西人の私には、あの色が〜、爆〜。
ブルックナー、私もカラヤン盤の9番、EMI盤の4番、7番から入りました。DGとEMIではかなり音が異なっていましたよね〜。今、CDで聴くとそれほど変わらないように思うのですが〜。
そういえば、今年はまだブルックナーを聴いていません〜。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2009年1月15日 (木) 08時31分
久しぶりのブルックナーと蕎麦ですね、産まれも育ちも大阪人の僕ですが蕎麦は濃口がうまいですね。ブルックナーも濃厚な演奏が好みに合うみたいで、日頃からそのタイプの演奏を愛聴しております。さりとて人様に奬めるのは、あっさりとした演奏が、聴きやすいようで自分では聴かないようなCDを推薦しております。それにしてもインバルの原典版第一稿を初めて体験した日の衝撃は今でも忘れるものではありません、楽章ごと全く別ものにはただただ仰天した次第です。
投稿: SAKURA男 | 2009年1月15日 (木) 15時17分
moliさま、こんばんは。
そーですか! 台東区でらっしゃったのですね。
私は、社会人になってからですが、取引先が浅草にあったりした関係もあって、よく訪問して昼食を楽しんでます。
独特の人情と文化がある人懐こい街ですね。
今や外人もたくさん訪れる国際観光地となりましたが、ちょっと路地に入ると風情ある店がたくさんありまして、私には魅力満載のエリアでございます。
ふるさとのよさは、離れてみるとよくわかるものですね。
投稿: yokochan | 2009年1月15日 (木) 23時10分
左党さん、こちらこそ、よろしくお願いいたします。
天そば、たしかにおいしいのです。酒のアテでも、かなり楽しめますし!
でも私は、ころもが汁を吸ってしまう前のサクサクをかぶり付くのが好きでして、蕎麦をすするまえに、天ぷらを食べてしまいますね。
浅草で天丼といえば、大黒屋でしょうか。あれもうまいです。あちらは、ビールですな。
いやはや、酒と食べることばかりで・・・・。
ブルックナーは、聴くほどに味わいを増す音楽に思います。
是非じっくり探究して下さい。
それにしても安い!牛丼なみですな(笑)
投稿: yokochan | 2009年1月15日 (木) 23時17分
rudolfさん、こんばんは。
やっぱり真っ黒い汁はダメですか。
私は、関東人ですので、蕎麦汁はこれでなくてはいけません。
でも、うどんは絶対、関西ですよ!!
今、無性に食べたくなりました(笑)
やはりrudolfさんも、カラヤンのブルックナーからですか。たしかにレコードでの印象はレーベルの違いが大きいですね。でもイエス・キリスト教会の響きのほうがフィルハーモニーよりは相応しいように思います。
投稿: yokochan | 2009年1月15日 (木) 23時23分
sakura男さま、どうも御無沙汰をしております。
やはり、大阪の方でも濃い口を好まれる方がいらっしゃるのですね。私は蕎麦とうどんは使い分けしてます。
関東は蕎麦文化なものですから・・・。
濃いブルックナー、いいですね。
エッシェンバッハの濃さは、まさにそうなんですが、オケが微妙に中和剤となった不思議なブルックナーでした。
ご紹介いただいたマリナーなんてのも、あっさりブルックナーの典型でしたねぇ。ありがとうございました。
私はFM放送でインバルを聴いたとき、まさに別物の曲に思い、少しも「ロマンティック」じゃないと思ったものでした。ありふれた普通の4番より、いまだに刺激的なインバルの演奏ですね。
投稿: yokochan | 2009年1月15日 (木) 23時30分