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2009年4月22日 (水)

マーラー 交響曲第9番 アバド指揮

Myoukenji1 茅ヶ崎は、大岡越前守忠相ゆかりの地。
先週には、大岡越前祭があったという。
家康が関東に入府したときに、大岡家は茅ヶ崎に知行地をもらったことがその由来で、その代々の菩提寺が、市北部にある「浄見寺」。
車で走行中、発見し寄り道。
その庭がこちら。
静謐で心が静まりましたよ。

Abbado_mahler9_bpo 今日は、マーラー交響曲第9番
こんな中身の濃い大曲、平日の晩に気軽に聴けないけれど、今回はアバドの指揮で、どうしても取りださざるをえなかった。
最近のエントリーは、お気に入りのシンフォニーが続いております。
チャイコフスキーの5番を除いては、以前の記事に書いた「私の好きな曲ベスト」の交響曲部門ノミネート曲なのです。
それを、私の現役フェイバリット指揮者で取り上げるという、はなはだ自分勝手な特集なのだ。
その指揮者は、弊ブログをご覧いただいているとおわかりのメンバーで、登場回数も多い人たちなのですよ。
ハイティンク、プレヴィン、マリナー、アバド。あとは最近微妙になりつつあるけどヤンソンス。ヤンソンスだけ、ちょっとスターっぽいけど、基本は真面目で静かな指揮者が好き。
真面目にコツコツだけど、時に熱いものを吹きあげるような情熱を秘めている。

アバドとは、通算もう36年の付き合い。
ずっと変わらず聴いてきた。
ウィーン・フィルと来たときも、振ってるだけとかオーケストラに乗っかってるだけとか言われ、散々の評価を受けてしまった。
アバドの指揮の基本は、オーケストラとの協調と、音楽を一緒に作り上げることに喜びを見出そうとするコスモポリタン的な連帯意識。
それらを無心なまでに訴求し、病の淵から復活した今、最高の高みに達している。
 アバドは勉強家だから、ベーレンライター版をとりいれたり、ピリオド奏法も少しやってみたりと、進取の精神の若さを保っているが、本人は、そんなことはどうでもいいと思ってやっているのかもしれない。
 そこに音楽があるから、音楽が好きだから、そんな純粋な思いだけで貫かれている、いつまでも前向きなアバドなんだ。

ベルリンフィルとのこの録音は、1999年9月のマーラー・ツィクルスでの演奏会ライブ。
この頃はすでに病魔に冒されていて、翌年の演奏会は大半がキャンセルされてしまった。
そして、2000年11月にびっくりするくらいに痩せてしまい、目だけが鬼気せまる気迫に満ちた様相で「トリスタン」をひっさげて文化会館に現れた。
スカラ座の「シモン」、ベルリンの「トリスタン」、いずれも文化会館のピットでのアバドの指揮ぶりは、わたくし生涯忘れ得ぬ思い出でございます。

久しぶりに、アバドへの思いを書き連ねてしまった。

肝心のマーラーの第9。
深刻になりすぎず、精緻。しかしよく歌い、表情は明るい。
そんなアバドのマーラー。バーンスタインやテンシュテットのような陶酔的な演奏とは対極にあるすっきり系の演奏。
でもその細部は、ベルリンフィルの驚異の名技性とアンサンブルを得て、完璧なまでに研ぎ澄まされ、ところどころ、おやっと思うような表情付けがあったりするものだから気がおけない。
そして、ウェーベルンをも思わせるような1楽章の終わりの無常観に明晰な歌を聴かせてくれるところは、まさにオペラのアバド。
それは、終楽章も同じで、終始よどみないテンポで歌うこと!
アバドのトリスタンも、音楽をつきつめて、歌に特化した先に生れた、しなやかかつ緻密な演奏だが、そのアバド・トリスタン的な世界を感じさせる光明あふれる浄化の世界。
「死に絶えるように・・・」とマーラーが楽譜に記した言葉。
そして、その死の先の浄化を大いに意識させるのが、このアバドの演奏。
そう、死の先は終わりでなく、そこに救いがあるのです。
そんな明るいアバドのマーラーの第9。

ルツェルンでのマーラーは、ひとまずお休み状態だが、是非ともこの第9をやってほしい。
それと、トリスタンの1幕・3幕。そしてヴェルディのレクイエムに、マタイ、大地の歌・・・・。

Chigasaki_2_2 先の浄見寺を出ると、そこには、こんな鮮やかな桜の花が青空に映えて待ち受けていた・・・・・・。

このアバドのライブ、最後の音が消えてから38秒にもおよぶ静寂とその後のじわじわと盛り上がる拍手が収録されている。

 

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コメント

アバドのマーラーの第9のDVDをようやく見ました。アップしたので、TBさせていただきました。

投稿: schweizer_musik | 2011年5月17日 (火) 20時00分

schwaizer music先生、TBありがとうございました。
読ませていただき、思いはルツェルンに飛んでゆき、感動してしまいました。
ディスクを手に入れなくてはなりません!

投稿: yokochan | 2011年5月19日 (木) 11時38分

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