NHK交響楽団定期演奏会 尾高忠明指揮
土曜日のすさまじいまでの神奈川フィルのコンサートを体験してしまった私は、以来音楽を聴かず、ふぬけて過ごしました(仕事はしてますよ)。
そして今夜、尾高さんのさわやかな初夏のブラームスを聴くことができて、「ふぬけ」から脱却できた
N響のサントリーホール定期は会員でないと聴くことができない。
今回、いつもお世話になってますpocknさんから、チケットをお譲りいただくという、幸運に恵まれ、しかも1階席の最高の席でごさいました。
テレビでおなじみのN響の皆さんをこんなに間近に見るのも初めて。
pocknさん、今頃ベルリンでしょうか、ウィーンでしょうか?コンサートレヴューも楽しみにしてますよ!
ブラームス ピアノ協奏曲第2番
pf:ネルソン・ゲルナー
交響曲第2番
尾高 忠明 指揮 NHK交響楽団
(5.20@サントリーホール)
ブラームスの長調の明るい2曲をプログラムのに据えた今宵。
N響はさすがにうまい。
ホルンのソロによる出だしも危なげなく、輝かしいし、随所に活躍する管楽器のソロも素晴らしい。
ことさら美しかったのが3楽章の藤森さんのチェロ!
かつて、ルツェルンがやってきたとき、ポリーニがいまひとつ乗ってなくて、その「あれっ?」という雰囲気を救ったのが、ブルネロのため息の出るような美音によるチェロだった。
藤森さんのチェロ、最初のソロからきれいで耳がそばたったが、そのあと、ゲルナーのピアノが繊細このうえない音色で入ってくる。演奏によっては眠くなってしまうこの楽章、わたしはピアノとオーケストラが醸し出す親密でしずやかな雰囲気にウットリとしてしまった。
最後に再びチェロのソロにクラリネットが絡み合う場面はもう枯淡の境地にあった。
最初に初夏のブラームスと書いたけど、こちらは、晩秋に枯れ葉を踏んで歩むかの気分だった。
アタッカで入る終楽章も幸せに満ちた心躍る音楽であり演奏。
アルゼンチン生まれのゲルナー氏、以前ルイージ&N響と共演したラフマニノフの2番をCDR化して車を運転しながら度々聴いているが、とても流れがよく技巧のすござを感じさせない素直で美しいピアノだった。
今日のブラームスは、それに加えて沈着、かつ磨きあげられた感のある一音一音が、ブラームスの2番にとても相応しく感じられた。
尾高さんの指揮も、こうしたピアノと拮抗しつつ、明るく伸びやかなバックをしっかりつけていてお見事で、後半のふたつの楽章が前述のとおりの素晴らしさだった。
交響曲第2番は、久しぶりに聴く。
何故かって、2007年の5月に聴いた「シュナイト&神奈川フィル」の演奏があまりにも素晴らしかったものだから、それ以来封印してしまった曲だから。
あの時は、じっくりしたテンポの中でよく歌い、南ドイツ風の明るさが横溢し、最後は歓喜の爆発した超名演奏だったんだ。
エルガーやラフマニノフを通じて、尾高さんをこのところずっと聴いている。
かつては安全運転的なイメージがあったが、気品と劇性がうまく調和して、ライブでとても燃える演奏を聴くようになってきた。
今宵は、最初からのびのびと、心から歌い、弾むように指揮をしていた。
後ろから見てると、尾高さんの動きは独特だけれど、その眼や顔は最初から最後まで柔和に微笑んで指揮をしていた。
N響も真剣にこれに応えていて、出てくる音楽は明るく、聴く私たちを幸せな気持ちにさせてくれるものだった。
ただ、ホルンがバランス的にやや突出していたように思われた。
低音の充実とヴァイオリンの輝きに、最後の熱狂はシュナイト&神奈川フィルの方が上だと思われたが、ヴィオラとチェロ、トロンボーンといったこの曲を下支えする中音域の充実と弾むリズムの良さは、尾高&N響がよかった。
演奏終了後、尾高さんとコンマスの堀さんが、楽しそうに笑顔を交わしていたのが、この演奏のすべてを物語っていたかもしれない。
ともかく、気持ちいい、爽やかな演奏会でありました。
そしてもうひとつ、ふぬけからの脱却。
大洋ベイスターズが、田代監督代行のもと、久々の勝利。
マリーンズは大洋の次に応援しているんだけれど、湾岸対決ゆえベイを当然に応援。
うれしいね、しかもおじさん「アラフィー工藤」が頑張ったもの。
同じアラフィーとして、頑張らなくっちゃね
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コメント
yokochanさま、ただいまです。N響の定期に行ってくださってありがとうございました。尾高さん指揮のN響は、前に急遽代役で(コウトだったですか)ブラ1をやったときの素晴らしい演奏の記憶が鮮明に残っているだけに、このブラームスプロはいい演奏になるのではと思っていましたが、特にピアノコンチェルトは充実していたようですね。よかったです。尾高さんの次の登場がまた楽しみですね。
ウィーン&ベルリン レポートも更新を始めました。こちらもどうぞ!
投稿: pockn | 2009年5月31日 (日) 01時41分
pocknさん、おかえりなさいませ。
おかげさまで、素敵なブラームスを堪能いたしました。
サントリーのN響定期は世襲制にもなりそうな独特の雰囲気がありますね。うらやましい席でございました。
来年の尾高さんのラフマニノフとブルックナーが今から楽しみです。
そして、垂涎のレポートも楽しく拝見しております。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2009年5月31日 (日) 20時46分