R・シュトラウス オーボエ協奏曲 クレメント&ケンペ
まだあります、紫陽花。
最近、紫の色を見かけなくなったのは気のせいか?
R・シュトラウス(1864~1949)のシリーズ。
今日は小気味いいオーボエ協奏曲を。
そして何気に、このところ管楽器の作品や協奏曲ばかり続いているのもお気づきでしょうか。
オーボエ協奏曲というと、バロック期の作曲家たちにバッハ、モーツァルト、R・シュトラウス、ヴォーン・ウィリアムズあたりが有名でありましょうか。
シュトラウス晩年の1945年の作品。
いつも引き合いに出すオペラでいうと、最後の「カプリッチョ」を1941年に完成させ、あとは管楽のためのソナチネや同時期に「メタモルフォーゼ」が作曲されている。
この協奏曲のあとの大作は、「最後の4つの歌」になるわけだ。
ガルミッシュにあったシュトラウスのもとに、元フィラデルフィア管のオーボエ奏者のランシーが米軍慰問団として訪れ、作曲を依頼した。
オーボエを外した木管楽器に弦楽というすっきりした編成による古典的な作風。
晩年のシュトラウス特有の軽やかで澄み切った境地に達した枯淡の音楽。
切れ目ない3つの楽章は、いずれもさらさらと流れるようなよどみのない旋律に満たされていて、地中海的な明晰さと、高原の爽やかな明るさに充ちた桂作。
それにしても、オーボエのソロはずっと、ずっと続いている。
フレーズひとつひとつが長い。
これがソリスト泣かせだ。
しかも、オケが小じんまりと精妙かつ軽いものだから、ソロが突出して目立つ仕組みになっていて、さすが老境の世界に遊んだ達人の筆によるものと感心してしまう。
そして、第2楽章などは、オペラの一節のよう。
そう、女声を好んだシュトラウスらしくソプラノの主役が最後の大団円で澄み切った心境のままに語るような場面だ。
「ダフネ」しかり「ダナエの愛」「カプリッチョ」のように・・・・。
この楽章はほんとに素敵。
今日のオーボエは、マンフレート・クレメント。ゲヴァントハウスから、西側へ転出し、ミュンヘンで長く活躍した名手は、いかにも南ドイツ風の明るくもコクのある味わい深い音色。
リヒターのカンタータなどのソロは、すっかり耳に残る名演ばかり。
ケンペとドレスデンという、もう何もいうことのないビロードのようなシュトラウスサウンドをバックに、クレメントはいつまでも浸っていたくなるような同質性あふれる素晴らしい音色を歌いついでゆくから最高なのだ。
ホリガーやコッホもいいけれど、このクレメント盤には敵わない。
あと達者なシュレンベルガーも聴いてみたい。
シュトラウスのオーボエ協奏曲、いい曲です
| 固定リンク
コメント
はじめまして。
遅ればせながら、ローター・コッホの名盤を探していたら、ここにたどり着きました。
そう、シュトラウスのオーボエ協奏曲、滋味豊でしみじみと幸せな心地にしてくれます。こんなマイナー佳作を紹介してくれるなんて、うれしくなるBlogですねo(^▽^)o
やや太くて透明な音色のコッホ、表情豊かで愛らしいホリガー(最初はチャルメラぽい音色に違和感があったものの、耳馴れするとはまります)を聴いていますが、それではクレメント、早速注文しましょう、聴くの楽しみです。調べたら輸入番でダム演奏のホルン協奏曲とのカップリングがありますね。
投稿: たかちゃん | 2012年1月29日 (日) 11時17分
たかちゃんさん、コメントどうもありがとうございます。
この曲にコメントいただけるなんて、とてもうれしかったです。
交響詩から歌曲、オペラまでほぼ網羅して聴いているR・シュトラウスですが、この協奏曲の愛らしくも澄みきった美しさにはまいっております。
ちょっと、クレメントをほめすぎてしまいましたが、ドレスデンのオケとともに、とても魅力的なのです。
コッホとカラヤンの盤や、ホリガーとギーレンなども、この冬あらためて聴き直してみたいと思いました。
ダムのホルンもしみじみ素敵なものですね。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2012年1月30日 (月) 00時19分
クレメントのCDが届きました。
とても、イイです\(^o^)/
紹介していただきありがとうございました!
真摯で白磁器のように半透明なコッホの音色に、
甘味と愛らしさをほんの少しだけ加えたような
そんなクレメントの音色ですね。そう、アーウィン・ショウの
小説のタイトルにあるように
「愁を含んでほのかに甘く」って感じでしょうか。
モーツァルトのコンチェルトもあれば直ぐに買うのですが、
録音が好きではなかったようですね。
白磁器のように真摯で半透明な
投稿: たかちゃん | 2012年2月 6日 (月) 22時12分
たかちゃんさん、こんばんは。
ご報告ありがとうございます。
クレメント気に入っていただいて嬉しいです!
アーウィン・ショウは、かなり前にニューヨークが舞台の本を読んだ記憶がありますが、最近忘却が激しいため定かではありません・・・。
なかなか素敵なイメージで表現されましたね。
クレメントが、オケの奏者として登場している音源は、もしかしたらたくさん持っていると思います。
リヒターのバッハや、カイルベルトのシュトラウスやワーグナーのオペラ、クーベルックやヨッフムの録音などなど・・・。
時間が出来ましたら、聴き分けてみたいと思ってます。
わたしも、モーツァルトの協奏曲や四重奏曲など、聴きたかったです!
投稿: yokochan | 2012年2月 7日 (火) 23時04分