ショーソン 交響曲変ロ長調 プラッソン指揮
夕闇せまる湘南海岸。
関東地区は、梅雨が明けましたな。
こんなに早く明けちゃって大丈夫だろうか?
江ノ電がいい感じで撮れましたよ。
この先は海沿いの国道なんだけど、信号がなくて踏切とともに、タイミングの取りにくい場所なんだ。
でも海はいいね。
ショーソン(1855~1899)の変ロ長調の交響曲を聴く。
実は、今週のシリーズ企画なのです。
初めにフランクのニ短調交響曲を取り上げた。
次は、酒によってしまい、にゃんにゃんシリーズ。
「交響曲という名の交響曲」シリーズでござるよ。
1曲しか作曲しなかった、かつ名無しであること。
そこそこあります。
複数書いた人でも、あとから出てきて番号なしとかも。
それで、ショーソン。
年代的に世紀末をまたぐはずだったが、44歳の若さで、不運な自転車事故で亡くなってしまう。
その生涯に、あらゆるジャンルに作品を残した(オペラまである)から、事故さえなければどんなに素晴らしい作品を残してくれたことだろうか。
ショーソンは、正式にはマスネに師事しているが、フランクに多大な影響を受け、フランクからも大いに評価されたという。
それと、ワーグナーへの強い傾倒ぶり。ワーグナー後期と重なる活躍時期に、ご多聞にもれずトリスタンやパルシファルに感銘を受け情念的なサウンドを取り入れるようになった。
ドビュッシーにほんの少し先立つ世代。
ワーグナーの影響力のすごさを認識するとともに、その後のドビュッシーの深化ぶりに思いを巡らすのもよい。
ショーソンの音楽は、フランドル系ドイツに傾いた師フランクの晦渋さを受け継ぎながらも、より感覚的、詩的で繊細なイメージが強くなっていて、これぞまさにフランス音楽と言いたくなる雰囲気に満ちている。
この交響曲、師と同じ3楽章形式で、その序奏の出だしもフランクを思わせる。
循環形式をしっかり踏んでいるんだ。
でも主部は急きょハープや管の駆け上がるようなつなぎの部分を一瞬経たあと、一転して明るく軽やかな運びとなる。
こんな気分のまま伸びやかな輝きを保ちつつ1楽章は進行する。
次ぐ2楽章は、抒情の宝庫とも言うべき悲しく泣きぬれたかのような沈痛な一章である。
ここでも冒頭序奏の旋律が巧みに作用しているし、師と同じくイングリュ・ホルンが活躍するんだ。
3楽章は活気に満ちてはるものの、どこか切迫したような緊迫感がただよう。
でもだんだんとエレガントなムードも出てくるし、トリスタンの昼と夜のせめぎ合い的な音楽(わかりますか??)にも思えてくる。
そんな高まりを見せつつも、最後には循環主題が静々と現れ神妙な気配を伴いつつも、全体を回顧するように終結する。
EMIにあらゆるフランス音楽とその周辺を録音してくれたミシェル・プラッソンとトゥールーズ・キャピトル管に、音楽好きはどれだけ感謝したらよいだろうか。
このショーソンも実に香り高く、高尚な気分にあふれた演奏となっていて、少しばかりの鄙びた味わいもオケの持ち味ゆえか醸し出されていて、とても気分がよろしい。
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コメント
こんばんは。
お暑うございます。
この暑さに耐えかねて昼飯はビールをいただきました。
今日は日本酒は控えましたがビールはもう一本(^^ゞ
枝豆にビールってホントに旨いですね~
食後にはyokochanさまのブログに触発されてアンセルメの指揮でショーソンの交響曲を。
この曲、久しく聴いていませんでしたが、仰る通りに叙情的な名曲であることを再認識いたしました。
例によって最後のほうは夢心地、ほろ酔い気分でこんな美しい音楽を聴くのいいものです
投稿: 天ぬき | 2009年7月16日 (木) 19時57分
こんばんは。ショーソンの「交響曲」はこれまではデュトワ、モントリオール響が唯一の手持ちでした。ダイナミックでフランクに似たフィーリングでいかにもフランスとドイツを融合させているのが伺えるような気がします。つい最近、パレー、デトロイト響も購入。パレー没後30周年ということでフィリップスとタワレコ共同企画ですが、ラロの演奏機会の少ない曲やシャブリエ、サン=サーンスの定番曲が2枚組で収録されてました。タワレコはメジャー・レーベルとの企画があり、輸入盤でも入手困難なアイテムを出してくれます。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1900851&GOODS_SORT_CD=102
パレーはストコフスキーと同時期に生きていていたし、作曲家としても活躍したマルチ人間である。昨年亡くなられたフルネや朝比奈隆と共に90を越えてまで長生きした指揮者に入りますね。
デュトワ、パレーと新旧のフランス音楽を楽しんでます。
プラッソンはデュトワと同年代であるが、こちらの方はマニャールといったマイナーな物を取り上げたり、歌劇場指揮者としても活躍しています。でも、共通するところは聴衆を裏切らないアンサンブル。フランス音楽のスペシャリストですね。
投稿: eyes_1975 | 2009年7月16日 (木) 20時12分
今晩は。
北陸はまだ梅雨があけません。暑苦しい日々です。
ショーソンの交響曲はカルタンバック指揮ナンシー歌劇場管弦楽団のナクソス盤が唯一の手持ちです。アンセルメとかプラッソンとかデュトワといった知名度の高い大指揮者の名盤が少なからずあるのにどうしてカルタンバック盤を選んだのか自分でも不思議です。オケの技量はやや非力ですが、一生懸命なところは買いたい演奏です。
フランスの作曲家の交響曲ならデュカスのが好きです。フランクやショーソンよりも好きなほどです。陽気で快活な交響曲ですし。演奏は、やはりフルネとオランダ放送響でしょうか。魔法使いの弟子やラ・ペリもはいっているところもいいです。サン・サーンスの第3番以外の比較的マイナーな交響曲たちも好きです。こちらはマルティノンの全集で愛聴しております。
投稿: 越後のオックス | 2009年7月16日 (木) 23時20分
私も手持ちはアンセルメです・・・
その代わりといってはなんですが(?)、数年前、プラッソンがパリ管を連れてやってきたときに生で聴くことができました。あれはいい演奏だったなぁ。後半の「海」も「ボレロ」も。そしてアンコールの「ピカデリー」も。あんな粋でおしゃれな演奏会はなかなかお目にかかれません。
有名な空耳ですが(?)ショーソンの3楽章を聴くとどうしても「ぞーうさん、ぞーうさん・・・」に聞こえてしまう私でした・・・。
投稿: minamina | 2009年7月16日 (木) 23時40分
点ぬきさん、こんばんは。
今日も暑かったですね。こんなやりとりがあと2か月も続くんですね。日本の夏も長くなりました。
そして、ビールですか!うらやましい。
枝豆にビール、あと蝉の声、この3点セットは堪らんですね。
ショーソンのこの曲。
私もアンセルメを持ってます。
あと、ミュンシュにカルタンバックです。
なかなか飽きのこない素敵な作品だと思います。
あとショーソンといえば歌曲ですね!
投稿: yokochan | 2009年7月16日 (木) 23時43分
eyes_1975さん、こんばんは。
デュトワ、パレーは未聴です。
どちらもイメージが浮かんでくるようで、今回ショーソンに感激してしまったものですから、新規購入しそうです(笑)
パレーは、デトロイト時代のマーキューリー録音がかなりありますね。ラフマニノフの2番まであったような。
あと、コンサートレーベルでのモンテカルロとの共演をくつか聞きました。ラロとかシャブリエですが、おっしゃる通り、デュトワの先達ですよね。
プラッソンのレパートリーの意外な広さは驚きなんです。
オペラ全般にワーグナーまでも!
最近は活躍を耳にしませんね。
残念なことです・・・・。
投稿: yokochan | 2009年7月16日 (木) 23時50分
越後のオックスさん、こんばんは、毎度です。
越後の梅雨明けはまだでしょうか!
お米に影響が出ない程度に夏が来てほしいですね。
カルタンバックは私も持ってますよ。
フランス地方オケということで買いました。
なかなか好きな1枚です。ナクソスは、こうした地元オケの録音がうれしいです。
フランクでは、ノイホルト&ロイヤル・フランダース響、ベンツィ&アーネムフィル、この2枚がお気に入りです。
今回シリーズ聴きとしましたので、今宵はデュカスです。
そちらもご覧いただければ幸いです。
投稿: yokochan | 2009年7月16日 (木) 23時57分
minaminaさん、どうもこんばんは。
いやぁ、ぞーさん、ネタにするのを忘れてましたよ(笑)
この交響曲、今回あらためて惚れ直しでした。
それでもって、プラッソン&パリ管を聴かれたのですか。
あのときは、金欠で行けませんでしたが悔やみきれない希少なコンビでしたねぇ。
プラッソンは、いまどうしてるんでしょうか。
あの人は今?的な存在じゃ寂しいですね。
投稿: yokochan | 2009年7月17日 (金) 00時04分
yokochan様今晩は。
ノイホルトと言うと思い出すのはやはりあのカールスルーエ・バーデン歌劇場を指揮した指環のライヴCDですね。あんまり安いのでhmvさんで買ってしまいました。オケにはライヴ特有のミスはありますし、歌手に?と言う人も混じっていますが、人口26万程度の地方都市の歌劇場が指環でこれだけの上演をするなんてすごいなー、さすが独逸は本場だなーと感服した次第です。ノイホルトは読売日本交響楽団を振りに何度か来日しているようですが、彼のライヴを聴いてみたくなりましたね。
プラッソンとトゥールーズはデュトワ&モントリオールに匹敵する名コンビだったと思います。フォーレとシャブリエの管弦楽曲が好きで今でもよく聞きます。フォーレの劇音楽「カリギュラ」なんかマイナーだけど本当に素敵な曲で演奏だと思います。そう言えば確かに最近プラッソンさんの噂を聞かなくなりました。どうしているのでしょうね?
投稿: 越後のオックス | 2009年7月17日 (金) 21時55分
ノイホルトは、確かに数年前第九を振りにきてましたね。
ワーグナー路線じゃないところが面白いところですが、あの激安リング、実は持ってないのです。
ワーグナー狂の風上にもおけないことだと思いますが、安すぎで抵抗がありました。
でもあのローカルオケには惹かれるものがあります。
どこの国でも非メジャーオケが好きですね。
>デュトワ&モントリオールに匹敵する名コンビ<
まさにそう。フランスものばかりでなく、ドイツものも聴いてみたかったです。
N響に昔来ましたけど、ドレスデンフィルの指揮者となったり、トゥールーズを辞めてからの動向はさっぱり聞きませんね。
投稿: yokochan | 2009年7月18日 (土) 00時50分