ビゼー 「アルルの女」 チョン・ミュンフン指揮
南フランス、アヴィニョンの街角。
ほんの数日まえの画像。
毎年夏に行われる世界的な「アヴィニョン演劇祭」。
もう60年以上の歴史をもつ演劇祭に、毎年日本からも出場している。
かつては、こんにゃく座、東京乾電池など。
昨年からは、「桜文月社」という劇団が登場していて高い評価をい受けております。
われわれクラシック音楽好きも、楽しめる楽しい舞台のようです。
知り合いがお手伝いをしております。
おフランスに行かれる方はぜひ、アビニョンにも足を運んでやって下さいまし。
公共スペースのいたるところに、こうして競って広告を貼りまくるらしいのです。
今日もオーケスラの名曲を。
ビゼーの「アルルの女」組曲。
暑かった今日。こんなに暑いと、ブルックナーやショスタコのシリーズも触手が伸びない。
マーラーの誕生日も気になるけれど、今週は耳に馴染みのよい名曲ウィーク。
一方、暑いほど、本場を意識して気合いが入るワーグナー。さまよえるクラヲタならではでございます。
アビニョンとアルル、県は違えど、ともに南仏プロヴァンス地域にある街。
街といっても、そこそこの規模で、日本の市のクラスで、人口も6~9万人規模あるみたい。
かの地も、いま、ものすごく暑いらしい。
ドーテの戯曲に付けられた劇音楽としての「アルルの女」。
「カルメン」と同じく、妖艶な美女に魅せられてしまった真面目男の悲劇の物語だけれど、全27曲から編まれた第1と第2組曲の8曲は、そんな悲劇は置いといて、南仏ムード満載のメロディの宝庫で、そのまばゆい明るさは、原曲とは別ものといってよい完全なるオーケストラ・ピースであろう。
すっかりおなじみのチョン・ミュンフンの91年の録音。
当時、パリのバステューユオペラの音楽監督として辣腕を奮っていて、DGに鮮烈な録音を次々になし遂げていた。
そのチョンが複雑な政治事情で、というかオペラの世界につきものの伏魔殿的な事情で退任を余議なくされたことは、とても残念なことであった。
その後の彼が、さらに反骨者魂をもって精力的な活動をしていることは承知のとおり。
躍動感に情熱、知的な抑制、そのバランスの素晴らしさがチョン・ミュンフンの素晴らしいところ。だからオペラや劇的な作品に最高の適正を示す。
このビゼーもまさに、そんなチョン・ミュンフンの独壇場。
あえて言うと、ここに収録されたなかでは、このアルルより、劇的なカルメンの方がいい。
機能的なオーケストラが、弦を中心にきらめいて聴こえるのも楽しい。
フランスのオーケストラは、日本人をはじめ、東洋人、ロシア人など非ヨーロッパ系の指揮者も積極的にチーフに迎えるけれど、イギリスのオーケストラはなかなかそういうことにならない。ドイツ、イタリアといった正統へ傾きがちな英国オケ。
おもしろいですな。
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コメント
ミュンフン!バスチーユ!
そしてアルルの女^^
よいなー。。。
なんだってこのオケはミュンフンを解雇したんだろ。。
この1枚だけでもすごいのに!!
そうそう、カルメンもよいよーー
この組み合わせでオペラを全曲やってほしかったなー
悔やみきれません。。。
悔やみきれないといえば
モントリオールとデュトワの突然の関係破綻。。。。
マリオランツァの短すぎるキャリア、
ユッシビョルリングの晩年のアルコール中毒による
「仮面舞踏会」の録音の中止。。。
ヴィンタリッヒの急死。。。
などなど、クヨクヨ数えてるとキリがありません^^;
そんなことを思いながら
今夜は「さまよえる」様の推薦のこのアルルの女を
しみじみ聴きます。
それにしても。。。
ミュンフンも小沢も、なかなか実力を全部出し切れる&受け入れてもらえる環境が与えてもらえないでね。。。
これほどの才能と実力って、財産なのにとも思う。
と、梅雨の季節はついついクヨクヨとグチが多くなります。。。。。
投稿: 蓄音器ファン | 2009年7月 9日 (木) 17時21分
蓄音器ファンさま、こんばんは。
そうなんです。ミュンフンさまのバステーユ生活はあまりに短かったです。ベルリオーズもヴェルディも途中で終ってしまった。
でも男ミュンフン、フランス国立管を選ばず、フランス放送フィルを選択し躍進中であります。
このコンビ以外の残念・がっかりは挙げたらキリがないですねぇ。歌好きにとっては、短命の名歌手たちに、あれもこれも歌ってほしかったと思いは募るばかりでございます。
小沢さんも、ボストンは半分ぐらいにして、パリ管と一緒になっていたらよかったのに、と思うことしきり。
グチの数々は同感でございます・・・。
投稿: yokochan | 2009年7月10日 (金) 00時58分