デュカス 交響曲ハ長調 ジョルダン指揮
見てくださいよ。
先週、房総方面で見つけた夢のような編成の電車。
湘南電車と横須賀線がドッキング。
踏切待ちをしていて、いきなり登場したもんだから慌ててシャッターを切った。
神奈川育ちなものだから、この二つにはお世話になった。
今では、ステンレスの車両になってしまったけど、湘南のオレンジと緑をイメージしたこの色の取り合わせは、懐かしく望郷を誘うもの。
川崎時代の大洋ホエールズのユニフォームもこれだったり。
床が木でできていた頃まで覚えてる。
私は今、千葉に居を構えていて、千葉駅までまず出てから、都心に向かうのだけれど、この千葉駅までのわずかな区間が、朝は無茶苦茶に混雑する。
そして、今朝ですよ、このオレンジがやってきましたよ。
乗っちゃいましたよ。
写メしてる人もいたし、女子高生なんて、ナニこれ~なんて言ってた。
ともかく通勤がちょっと嬉しくなりましたよー
今週のお題は、「交響曲という名の交響曲」。
ということで、デュカス(1865~1935)の交響曲ハ長調を聴きます。
この時代のフランス圏の作曲家のご多聞にもれず、フランクの影響下にある交響曲。
3楽章形式であり、循環主題もしっかり踏襲。
サイズも40分くらいでお手頃。
デュカス、あるいはデュカとも呼ぶのだろうか?
フランクと師弟関係にあるわけではなさそうで、当時の必然として影響を受けたということだろうか。
有名な話だが、自己の作品に対して常に懐疑的で相当数の作品が破棄されてしまったという。結果として、20曲に満たない作品しか残ってない。
それらを聴くにつけ、「もったいない」の極みである。
破棄された中には、交響曲やオペラもあるというから、ほんとにもったいない。
あやうく難を逃れた作品に素敵なバレエ「ラ・ペリ」がある。
デュカスといえば、「魔法使いの弟子」。
ミッキーマウスのあれは、100%の人が見ていると思う。
あの華やかでストーリー・テラー的な音楽の印象でもって、この交響曲を聴くと退屈してしまうのでは。
音楽の基調は、ハ長の調整の通り明るく見通しがよい。
でも核たるメロディラインが掴みにくいのである。
そうした意味では曖昧模糊感の中にも洒落たセンスの光ったショーソンの方が聴きやすいかもしれない。
また大半のCDが、「魔法使い」と「ペリ」をセットにしているので、大曲なのに刺身のつま的な存在になってしまうんだ。
そんな気分で、ここ数日何度も聴いてみたが、その印象は完全にはぬぐいきれない。
でもフランク→ショーソンと聴いてきて、デュカスが書いた交響曲の必然性が何となくわかるような気がしてきた。
フランクは支導動機のように旋律に意味あいを持たせ、晦渋に開始し、やがて歓喜へ導く誰もが逃れられないベートーヴェン的な構成を踏襲し、そこに敬虔なオルガン的な響きを導入した。
ショーソンはフランクを敬愛しつつ、そこにフランスの感覚的な世界を投入した。
デュカスは先達と同じ形式を守りつつも、シンプルな古典主義への回帰を試みたような気がする。それは、形式上のものでなく、響きにおいて。
ストラヴィンスキーやルーセルを思い起こすこともできる。
一方、メロディアスな部分では私はドヴォルザークを思い出してしまった。
こんな多角的な色合いがチラチラと垣間見れるデュカスの音楽は、何度も聴いて味わいを増す部類のものかもしれない。
明るく、どこまで伸びやかに進捗してゆく第1楽章。リズムの弾み具合もとてもいい。
印象に残る快活なメロディ。しつこくてなかなか終わらないフィナーレ。
チャイコの1番とか、しつこいラストはいくつもあるが、これもそのひとつ。
白眉は長大な緩徐楽章。ここにあふれる苦渋を伴った抒情は、聴いていてしんどくなるくらい。ひとつの交響詩を聴くかのように明滅する感情の機微。
ドライな白葡萄酒なんてのが合うかも。
開放的な3楽章。先達のような深遠な雰囲気を出すようなことがなく、ルーセルみたいだし、バレエ音楽みたい。でも中間部はなかなかの、おフランスぶりだし管楽器のセンスある洒落たモティーフがいい。明るく屈託なく終わるが、古典派すっきりのノリ。
ワタクシ的には、もう少し濃厚さが欲しいかも。
アルミン・ジョルダンとスイス・ロマンド管弦楽団の演奏。
フランス語圏スイス人同士、とても息のあったコンビだった。
スイス・ロマンドはドイツもフランスも、イタリアもすべてにいい味出してたオケだと思う。
アンセルメ、クレツキ、サヴァリッシュ、シュタイン、スタインバーグ、ヤノフスキ、歴代の指揮者のなかで、独・仏・伊のすべてに素晴らしかった指揮者ではないかしら。
あと、ヤノフスキも。
このCDの「ラ・ペリ」は絶品ですぞ。
他盤では、あとマルティノンを聴いてます。
追)本日、横浜ベイスターズは5連勝目を挙げた。
断トツ最下位のへっぽこ球団なれど、最悪のチーム状況なれど、1年のうちにはいいことも必ずあるし、もしかしたらひとつ上への可能性だってあるんだ。
ベイを見習って、ワタクシも人生捨てたもんじゃぁありません、ってな気持ちにしていただきましたね。
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コメント
こんにちは。
同じCD、ジャケットにはチューリップをあしらったエラート盤を持っています。これはかって故長岡鉄男氏が某誌で取り上げていたのを見て購入したものです。
交響曲のほうより「ラ・ペリ」ばかりを聴いていましたけど。。。
タリアヴィーニの件ですが、よろしかったらメールをくださいませ。
投稿: 天ぬき | 2009年7月17日 (金) 12時23分
こんばんは。デュカスは昨年、亡くなられたフルネ、オランダ放送フィルが手持ちです。勿論、「魔法使いの弟子」「ラ・ぺり」も収録されています。やはり、現状では輸入盤をいれてもフルネ以外は入手困難なようです。
70曲近く作曲し、破棄してしまってはもったいないですよ。同時期のドビュッシー、ラヴェルに比べると「交響曲」も書いているし、スケールの大きな楽曲でしょう。
スイス・ロマンド管は2007年に客演したデュトワがティボーレと共演したサン=サーンスの「ピアノ協奏曲第2番」「第5番<エジプト風>」フランクの「交響的変奏曲」を新作として出した。自国オケだからという訳でもないが、弦が厚く、管は柔らかいのか、デュトワ、スイス・ロマンドの好演奏となっている。ちなみにデュトワはサン=サーンスの「ピアノ協奏曲」はロジェとフィルハーモニア管。ロンドン・フィル。ロイヤル・フィルの3オケ混合で「全集」となっている。
フランスの「交響曲」ではビゼーが挙げられます。こちらはフランクやショーソン、デュカスと比べ、一風変わっています。
懐かしいです。東海道線の典型的な湘南色ですね。田舎である伊豆方面は新幹線や踊り子号以外でよく乗りました。横須賀線のスカ色共に現在は地方のローカル線として活躍しているそうですね。
投稿: eyes_1975 | 2009年7月17日 (金) 20時08分
確かにスカ色(横須賀線色)と湘南色の混合編成は珍しいかも!
スカ色は総武線、内房、外房線と使っているからあるとして、湘南色がどうしてここに来たかですよねぇ~、と元鉄ちゃんの私・・・。
そんな鉄ちゃんネタより、デュカスの交響曲を聴いたことがない私は、精進し直します(?)鉄ヲタ、クラヲタ、ともに道は厳しいですなぁ(笑)
投稿: minamina | 2009年7月17日 (金) 20時10分
天ぬきさま、こんばんは。
この変なジャケットはいまいちなんです。
たしか、生涯2回しかない渡航のさい、パリのプランタンで購入したものです(自慢)
オリジナルのチューリップ盤がいいです。
そしてやっぱり、「ラ・ペリ」がいいですが、今回、交響曲も見直したしだいです。
タリアヴィーニの件、甘えてしまってよろしいのでしょうか??
カンツォーネの1枚はお持ちですか?
投稿: yokochan | 2009年7月18日 (土) 00時10分
eyes_1975さん、こんばんは。
フルネは、この曲を得意にしていたみたいですね。
オランダ放送との1枚、私も探してるのですが、確かにありませんね。ディスクユニオンあたりならあるかもです。
そして、デュトワとスイスロマンドとのサン・サーンスがあるのを知りませんでした。同郷でいいコンビなのでしょうが、現実は難しいですね。
あのオケはドイツの方を向いていることが多いですから。
伊豆は海からいつも、その影を見てましたよ。
あのあたりこそ、この電車のカラーそのもののイメージですね。
千葉より先では、こんな電車の光景が見られます。
京葉線は、旧京浜東北だし、黄色と青のステンレス車両という新手もありますよ。
ちなみに、私は鉄チャンじゃありませんけど(笑)
投稿: yokochan | 2009年7月18日 (土) 00時23分
minaminaさん、こんばんは。
この混合ぶりには泣かされましたよ。
スカ色はたしかに始終乗ってますが、湘南カラーがやってくるとは驚きでした。
オレンジ&グリーンは東北線でも活躍してますから湘南の専売ではありませんが、イメージは強いですね。
言っときますが、ワタクシ鉄チャンではありませんよ。
デュカスは、そんなに手ごわくないですから、気安く聞いてみてください。とりあえず、「ラ・ペリ」がいいですよ。
投稿: yokochan | 2009年7月18日 (土) 00時33分
おはようございます。
タリアヴィーニの件、承知いたしました。
詳細はメールでお願いしたいので
こちらにメールをお願いいたします。
投稿: 天ぬき | 2009年7月18日 (土) 09時49分
天ぬきさま、こんばんは。
ご配慮いたみいります。
のちほどご連絡申し上げます。
ありがとうございます。
投稿: yokochan | 2009年7月18日 (土) 23時36分