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2009年8月 8日 (土)

ワーグナー 「さまよえるオランダ人」 ライナー指揮

Byoubugaura1

千葉県の九十九里浜のずっと北、銚子の手前、飯岡町の刑部岬。
10Kmに及ぶこの断崖絶壁は「屏風ヶ浦」。
長年にわたる自然の脅威。
この岬の手前は、岩ガキが有名。
大ぶりで濃厚なミルク味を楽しめる飯岡のカキ、一度食べてみたいなぁ。

Byoubugaura2 Byoubugaura3

Reiner_hollander ワーグナー・サイクルやってます。
オランダ人以降では2度目。
ブログを始める前には、朝飯前的に連続聴いていたけれど、こうして文章を伴って聴くとなると、なれ親しんだワーグナーとはいえ生半可ではない。
真剣に聴くという行為を生みだしてくれたのもブログの効能か。
おかげで、未聴CDの山また山。

今回は、初期3作を含む全作品踏破なので、ワーグナーを聴く喜びもひとしお。
どの演奏で行こうかなと思ったら、オランダ人の場合、あまり所有してないうえ、短いものだから、もうかなり取り上げていて手持ち音源は残りわずか。
過去記事は最後をご照覧ください。

 オランダ人:ハンス・ホッター   ゼンタ :アストリッド・ヴァルナイ
 ダーラント:スヴェンニルソン   エリック:セット・スヴァンホルム
 マリー  :ヘルタ・グラーツ    舵手  :トマス・ヘイズワルト

  フリッツ・ライナー指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団/合唱団
                     (50.12@メトロポリタンオペラハウス)

ワーグナーのオペラを音楽のスタイルのありかたと時代で分けるとすれば。

 ①初期オペラ・・・「妖精」「恋愛禁制」「リエンツィ」
 ②中期ロマンテックオペラ・・・「オランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」
 ③後期ドラマムジーク・・「トリスタン」「マイスタージンガー」「リング」「パルシファル」

①をじっくりと聴いてから②の慣れ親しんだ世界に戻ったわけだけれど、①の世界でワーグナーが当時のトレンドを機敏に吸収しつつ、あらゆるオペラのスタイルを実験的にも極めてから「オランダ人」へと至った経緯がとてもよくわかって、ワーグナーへの理解がまた深まった気持ちが強いのである。
明らかなステップアップは、示導動機、ライトモティーフが多用され、それがしっかり板についたこと。
そしてオペラの題材を神話ないしは伝説に求めたこと。
後年の定番となるこれらが、この「オランダ人」でもってしっかりと刻印が押されている。
加えて、登場人物たちの心理的な掘り下げが深くなり、ドラマが奥行きを増している。
これは自作の台本と音楽、両方に言えること。
おかげで、登場人物たちの個性が豊かになり、いまや演出家たちに多彩な舞台を提供することができるようになった。
 根暗で執念深いオランダ人、一途すぎて怖すぎのゼンタ、俗物の典型ダーラント、絵に書いたような恋する万年青年エリック。

ライナーのオペラ指揮者としての実力をまざまざと見せつけてくれるこのナクソス盤。
一貫してキビキビとしたテンポをとり、厳しいまでの緊迫感を生んでいる。
オランダ人の演奏は、ユルいよりも、こうしたスキのないテンポで追い込んだものの方がいい。後年のベームしかり、ショルティしかりである。
 そしてこのCDの売りは、ホッターのオランダ人。
この若々しい声には驚きだ。陰りも力強さも神秘感も、そして高貴さも、どれも過不足なく歌いだしている。
ホッターの最盛期は、50年代なのであろう。
ショルティのリングでは、ややその声に陰りが見られる。
70年代に入ると、シゴルヒ(ルル)やティトゥレル(パルシファル)で味わい深い歌を聴かせてくれたり、亡きヴィーラント・ワーグナーの演出を語り継ぐ貴重な存在となった。
不世出の名歌手である!
 それに加えて、ヴァルナイのゼンタやスヴァンホルムのエリックが聴けちゃうのもうれしい。どちらも耳にビンビン響く豊饒な声であり、かつ知的なところは、今でも十分通用する。

放送録音がもととなったこの音源。
音は極めて鮮明で、鑑賞にまったく支障ないもの。
観衆の雑音も盛大に入っていて雰囲気ありすぎ。笑いもあるのはどういうことかしら?

バイロイトでは、後期作品だけでの上演がまっさかり。
ネットで聴いたけれど、シュナイダーの熟練のトリスタンとガッティの美しいパルシファルがよかった。(リングは未聴、カテリーナ演出は今年もブーが盛大)

次回は「タンホイザー」です。

「さまよえるクラオタ人」の「さまよるオランダ人」の過去記事

「デ・ワールト指揮 二期会公演」
「バイロイト2005年度」
「ショルティ指揮シカゴ交響楽団」
「新国立歌劇場2007年公演」
「コンヴィチュニー指揮ベルリン国立歌劇場」
「ベーム指揮バイロイト音楽祭1971年」
「サヴァリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場DVD」

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コメント

yokochanさま こんにちは

ヴァーグナーサイクルの2回目ですか
続きますね〜

この録音は私も買おうかと思っていて、そのままにしてしまっていました。ひょっとすると、別の録音であったかもしれませんが〜。

ホッターのオランダ人、ヴァルナイさんのゼンタ、それにライナーの指揮、豪華な布陣ですね。
最近、ホッターのザックスを聴いているのですが、声はちょっとザックスには向かないかなと思ったりもするのですが、3幕終幕のモノローグを聴くと、やはり立派な歌を歌っておられます。

ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2009年8月 9日 (日) 15時22分

 今晩は。
 ライナーのワーグナーは、全く聴いたことがないのですが、yokochan様の文章を拝読するとどんな演奏家ある程度想像がつきますね。厳しい演奏なのでしょうね。
私が初めて聴いた新世界よりがライナー&シカゴでした。その次がセル&クリーヴランド。大抵のクラヲタのファースト新世界はカラヤンとかケルテスだと思うのですが・・・
 オランダ人からパルシファルまでの10大オペラの中で一番私になじみが薄いのがオランダ人かもしれません。はじめのほうの作品だから舐めてかかってきたのか、タンホイザーとそれ以後の作品ばかり夢中で聴いてきたのでオランダ人が手薄になってしまったのか自分でもよく分かりません。ショルティ&シカゴのCDとシュタイン&スイス・ロマンドのDVDで鑑賞することが多いです。
 ワーグナーに初心者が親しむ方法は初心者の数だけあると思います。王道はあくまでも自分の道。評論家先生でもワグネリアンの人でも入門者に色々なアプローチの仕方を指南していますが、自分の道を自分で見つけてワーグナー体験を積んでいくしかないと思います。短いからオランダ人から入れとか、オランダ人はまだ音楽が平板だからタンホイザーかローエングリンから入れとか、長大なオペラばかりだから管弦楽曲やアリア集から入れと言ってる人とか色々な人がいますが・・・
 長岡にA亭というラーメン屋があります。うどんみたいに太い麺と脂ぎったスープと大盛りのネギと肉が特徴の物凄く癖の強いラーメンを出す店です。こんなクセの強いラーメンは二度と食わないぞと最初は誰もがおもうのですが、忘れた頃に食べたくなるのです。そして一度はまると常連客になってしまっています。ワーグナーの音楽と似ているような気がいたします。あんな長い長いオペラ二度と聴くものかと思う時もあるのですが、気がついたら病みつきになって、指環もトリスタンもパルシファルも大好きになっている。A亭のラーメンを私はワーグナー麺と勝手に呼んでおります。yokochan様も長岡においでになる機会があったらA亭ワーグナーラーメン、ぜひ試してみてください。
 ライナーさんともホッターさんとも無関係なことばかりかいて申し訳ありません。
 次はタンホイザーですね。私はハイティンク&バイエルンが好きです。

投稿: 越後のオックス | 2009年8月 9日 (日) 19時56分

こんばんは。手持ちの劇版はレヴァイン、メトロポリタンのみ。
「序曲」ではシュタイン、ベームによるウィーン・フィル。サヴァリッシュ、ウィーン響と正統派ドイツ・サウンドですね。
名旋律となっている「水夫の歌」は聴かせてくれます。子供の頃、幽霊船というファンタジーに夢中になったことがあります。他は持ってないので比較はできないが、レヴァイン盤はアメリカ・サウンドならではのビートに乗せたSF映画のワン・シーンのようです。メトロポリタンはワーグナーを作るのが上手いようですね。
長大ワーグナー作品で「タンホイザー」ならショルティ、ウィーン・フィル(パリ版)後、「ローエングリン」はアバド、ウィーン・フィル。(共に劇版はこれしか持っていません)やはり、アバドに限ってワーグナーの「序曲・前奏曲集」はないようです。データ上、CDではオンリー・ワンなのでしょうかね。
夏はさまよえるワーグナーとなりそうです。

投稿: eyes_1975 | 2009年8月 9日 (日) 20時24分

rudolfさん、コメントありがとうございます。
このナクソス盤は、まだナクソスが安い時に買いましたから激安盤でした。最近見かけないので、見つけたらお買いになることをお勧めします(笑)
ブログでは2度目ですが、不連続では何ワーグナーを取り上げていることでしょうか!バカですねぇ。

ホッターは、ザックスのような真人間より、神がかったような役柄のほうがいいのかもしれませんねぇ。

投稿: yokochan | 2009年8月10日 (月) 00時38分

越後のオックスさま、こんばんは。

わたしのワーグナー導入曲は、はて、何だったでしょう?
まずはオーケストラ曲だったのでしょうが、あまり印象がありません。
いきなり、リングをFMの年末放送で聴き録音したような記憶があります。シュタインのリングです。
そしてすぐさま、カラヤンのトリスタン、ベームのトリスタン、ベームのリング、こんな感じだったと思います。
なるべくしてなったこのワグナー人生。
病みつきとかいうものを通り越して、人生の、いや日々の糧であり一部です(笑)

長岡A亭、ぜひにも生きたいです。
長岡いったら蕎麦、と思い、探しても蕎麦屋が小嶋屋以外にありませんでした。ラーメンの街だったのですね。
そこで、ワーグナー・ラーメンを食べてみたいですぅ!!

投稿: yokochan | 2009年8月10日 (月) 00時44分

eyea_1975さま、こんばんは。

メットは、歴史的にワーグナーに強いのですね。
ヨーロッパからのすぐれた移民音楽家を受け入れた背景もあり、歴代指揮者や名歌手たちがワーグナー演奏家だったことにもよるのでしょうね。
レヴァインとメトは、DVDもあわせると、オランダ人以降のワーグナーをすべて録音しているコンビです。
これはすごいことですね。
あとは、ショルティとバレンボイムのみです。

アバドにもっとワーグナーをやってもらいたかったですが、慎重なアバドはなかなかレパートリーを広げてくれませんでした。オケ作品でも、ベルリンフィルとライブが二つあるのみ。
私てきには、マイスタージンガーやリングを聴いてみたかったですね。

投稿: yokochan | 2009年8月10日 (月) 00時51分

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