「ヨナス・カウフマン オペラアリア集」 アバド指揮
先日の連休中の横浜元町。
恒例チャーミングセール真っ盛り。
ものすごい人出でしたよ。
八景島で、姪の出演したイベントがあり、夕方に元町、中華街と散策。
学生時代は、横浜が乗換駅だったので、横浜の街を始終歩きまわっていたのでとても懐かしい。
女子は、ハマトラだったもんね・・・。
ドイツが久々に生んだテノールのスター、ヨナス・カウフマンの新しいCDを聴いた。
1968年ミュンヘン生まれだから、結構ベテラン。そう、90年代なかばからすでに活躍をしていて、ここ数年で世界のオペラハウスからひっぱりだこになっている。
私は、チューリヒの「ティトの慈悲」のDVDを持っているのみで、そちらはまだ未開封。
ゆえに今回、初カウフマンだったのである。
1.ワーグナー:『ローエングリン』~遠い国により
2.ワーグナー:『ローエングリン』~白鳥よ、!
3.モーツァルト:『魔笛』~何と美しい絵姿
4.モーツァルト:『魔笛』~この少年たちの賢い教えを
5.シューベルト:『フィエラブラス』より
6.シューベルト:『アルフォンソとエストレッラ』より
7.ベートーヴェン:『フィデリオ』~神よ!ここは何という暗さだ
8.ワーグナー:『ワルキューレ』~冬の嵐は去り
9.ワーグナー:『パルジファル』~アンフォルタス!
10.ワーグナー:『パルジファル』~役立つのはただひとつの武器
テノール:ヨナス・カウフマン
弁者 :ミヒャエル・ヴォレ
クンドリー:マルガレーテ・ヨスヴィク
クラウディオ・アバド指揮 マーラー・チェンバー・オーケストラ
パルマ劇場合唱団
(2008.12@パルマ)
そして、このCD、なんとアバドがマーラー・チェンバー・オケと伴奏を付けているのだから驚き。
ゆえに即購入した訳でもある。
アバドは、孫のような若いオーケストラやソリストや歌手たちとの共演を好んで行っていて、いずれも真剣勝負の演奏ばかりで、進取の気性と若い人を育てる熱意にいつも心打たれる思いがする。
カウフマンの歌について書く前に、アバドとオーケストラを褒めちゃうけど、ここに聴くオケの響きの精妙さと雄弁さは特筆に値する。
音ひとつひとつに心が通っていて、いきいきと弾み、呼吸し、歌い手と一緒に慟哭し、喜悦する。すべてが深い表現に通じている。
あのルツェルンのスーパーオケでのアバドと一緒なのだ。
ここまでアバドは深化しているのかと、感嘆せざるをえない。
褒めすぎと思う向きは、どうぞ聴いてみてください。
シューベルトとフィデリオ、そしてパルシファルがとりわけ素晴らしい、鳥肌ものだ。
クンドリーも登場するパルシファルの同情と悔恨の歌、ワーグナーの書いた複雑なスコアが鮮やかに解き明かされる思いがする。音楽は、ウェーベルンやドビュッシーの領域へと踏み込むかのように精緻で美しい・・・。
「役立つのはただひとつの武器」が歌われたあとは、そのままカットなく長いエンディングとなるが、こちらがまたとびきり美しい。
透明感にあふれ、その響きは軽やかでさえあるが、気持のこもった祈りの音楽である。
こんな素晴らしいパルシファルの結末部分をこれまでに聴いたことがない。
非正規盤の全曲、ベルリンフィルとの抜粋盤、いずれをも凌駕していると思う。
マーラー・チェンバーとの全曲録音を切に望みたい。
そして、カウフマンですよ。
このテノールは容姿もgoodだが、声も実に素晴らしい。
もっと軽い声を予想していたのに、ローエングリンの第一声から太くて、豊かな声量にびっくりしてしまった。あのフォークトばりの優男ではなくて、J・トーマスやP・ホフマンのような力強い立派なバリトンがかった声だったのである。
かといって、ヘルデンともまだ言えないかもしれない。
重ったるいロブストな声とはまったく異なって、もっと器用で細やかな歌い回しにも長けていて、抒情的な役柄も歌えそう。
タミーノやシューベルトには、そうしたキリリとしたカウフマンの姿が浮かび上がってくる。
フロレスタンは、アバドとも共演したばかりの役柄。いきなり嘆きの叫びを上げず、ピアニシモからのクレシェンドが珍しい聴きもの。ここでの絶望と希望を行き来する明暗の歌い分けがとても素晴らしいと思った。
そして、注目のワーグナーは、ローエングリンとパルシファルの親子二代とジークムントを歌っている。
現役世代で、これだけ声があって、ワーグナーらしい高貴さと陰りを持ち合わせているテノールは見当たらないのではないか。
久しく払底していた、本格ワーグナー・テノール路線に光が差し込むのを見る思いだ。
ジークムントはロマンテックなアリアしか歌われていないこともあって、ややムーディに流れすぎだが、ローエングリンとパルシファルは、耳が洗われる思いのする新鮮な歌で、アバドの鮮度高いオーケストラとともに最高の場面である。
カウフマン氏、ワーグナーのレパートリー拡張には慎重で、ジークフリート、トリスタン、タンホイザーについては長くかかる、とブックレットのインタビューにも答えている。
そう、長くじっくりと歌いこんでいって欲しい。
でもこっちも待ちきれないから、早くしてね(笑)
ちなみに、パルシファルでクンドリーとして付き合っているヨスヴィク(Joswig~読み方不明)は、カフウマンの奥方との由。 ジャケットは、ロマン派の画家、フリードリヒのもの。
こんな細工を施したジャケットを使うなんて、はや大物であります。
ポリーニの弾いたシューベルト「さすらい人幻想曲」のジャケットでもありました。
カウフマンが、「ばらの騎士」のテノール歌手で出演している映像。
ティーレマンとミュンヘンフィル、フレミング、ハバラタが出演の話題のバラキシ。
イタリア歌手ということで、スパゲッティぱくついてます(笑)
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