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2009年9月23日 (水)

プッチーニ 「修道女アンジェリカ」 パタネ指揮

Higan_1彼岸花

以前にも書いたけど、「曼珠沙華」とも言うユリ科の花。

食べると毒性があって、ゆえに昔の人は、稲や墓を地中の動物から守るために、田圃の畦道やお墓の周りに植えたという。

たしかに、そうした場所には彼岸花がたくさん咲いているし、いかにも日本の秋の光景の一部として心象風景ともなっている。
こうしてたくさん咲いているのを見ると美しいけど、その一本を見ると少し不気味でもあります。

Angelica_patane プッチーニの最充実期に書かれたオペラ「三部作」は、全10作あるうちの9番目。
ダンテの神曲からヒントを得て、「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の3つをオペラの基本素材にしようとして、その題材を探し求めた。

そのうち、「煉獄篇」にあたる「修道女アンジェリカ」をフォルツァーノが書き下ろしの台本を書きあげ、いつもは注文の極めて多いプッチーニはすぐに気に入って書き上げた。
「外套」「ジャンニ・スキッキ」が三部作をなす他の2作。

良家に生まれたアンジェリカが、不義の子を宿し、そして産み、修道院に入り慎ましい信仰生活を送るが、常に子供のことが忘れられない。
そこへ、伯母にあたる公爵夫人がやってきて妹への財産分与のサインを求め、ついでアンジェリカの子供が亡くなったことを告げる。
「母もなく・・・」という名アリアを歌い泣き崩れるアンジェリカ。
キリスト教界にあっては許されない自決を選び、聖母マリアに許しを乞う。
断末魔にあるアンジェリカに、神秘的な光に包まれマリアが彼女の子供を伴って現れ、子供を差し出す。そこににじり寄るアンジェリカは幸福に包まれつつ息を引き取る・・・・。

涙もろいわたくしは、こうして簡単あらすじを書いていても、もう涙ぐんできてしまう。
このプッチーニ好みの儚い運命の女性に、ルチア・ポップが録音を残してくれたことは、彼女のファン、そしてプッチーニ好きにとって感謝すべきことかもしれない。
 リリカルで繊細な歌声を伴いながら、強い意志をもった女性をも歌いださなくてはならない難しい役柄。きれいに歌うだけならやさしいことかもしれないが、我が子を思い、憎き公爵夫人に食い下がる強さを両立させるとなると、フレーニやドマス、リッチャレルリが素晴らしく、サザーランドやテバルディとなるとちょっと強すぎるかもしれない。
 そして、ルチア・ポップは聴きようによっては歌いすぎに感じるかもしれないが、その一途な姿がいつものあのチャーミングな声のポップによって歌われるのだから、ファンにとっては堪らない魅力なのだ。
嘆息ひとつとってもまさにポップ。
亡き坊やを思って歌う「母もなく」の名アリアなどもう、涙なくしては聴けません・・・weep
その後の最美の間奏曲、自決、神秘的なマリアの出現とプッチーニ最高の音楽が、歌心あふれるパタネの指揮によって素晴らしく演奏される。

 アンジェリカ:ルチア・ポップ   公爵夫人:マリヤナ・リポヴシェク
 修道院長:マルガ・シムル    修道女長:ダイアン・ジェニングス
 ジェアノヴィエッファ:マリア・ガブリエッラ・フェローニ

  ジュセッペ・パタネ 指揮 バイエルン放送管弦楽団/合唱団
                           (87年録音)

ヴェリスモ風の「外套」、宗教秘蹟の「アンジェリカ」、軽妙なブッフォの「ジャンニ・スキッキ」、プッチーニの天才が見事にはじけた3部作をまとめて聴くことによって得られる感動はまた格別だけど、それぞれ性格の違う3つを別々に聴いても完結性がしっかりあって充実の1時間が楽しめる。
ドラマテックなばかりでない静的なプッチーニも是非とも聴いていただきたい。

過去記事

 「外套 パッパーノ指揮」
 「修道女アンジェリカ パッパーノ指揮」
 「ジャンニ・スキッキ パッパーノ指揮」
 「三部作上演」

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コメント

プッチーニの3部作を
私は、ご紹介のパッパーノ盤や
ガルデルリ盤を愛聴しています。
理由はカンタン^^
モナコ先生が外套に出ていらっしゃるからです。
おかげでテバルディのアンジェリカも好き。
カラスよりももっとこー
「なによ!ふん!」といった感じの
歌い方が好きですねー。
ルチアポップのこの盤はまだ聴いていません。
その前にマゼール盤を聴いてみたいとも
思っています。
お目当てはコトルバスです。
そうなんです^^
私はコトルバスの大ファンでも
あったりするのです。

投稿: モナコ命 | 2009年9月23日 (水) 15時56分

モナコ命さま、こんばんは。
そうですねえー、ガルデルリ盤はデル・モナコがでてますね。
一度だけ、聴いたことがあります。そしていずれはコレクションしたい一品ではあります!

あとマゼール盤、FMで3作ともに聴きました。
マゼールはあまり好みではありませんが、味のある歌手陣は魅力的でした。
コトルバスがお好きなんですね。彼女のアンジェリカやラウレッタは良いですね!
最近、廉価盤になったようですから、私もゲットしようかな。

投稿: yokochan | 2009年9月23日 (水) 19時35分

こんばんは。
今日、オテロ聞いてきました。かなり、席が開いていました。最前列付近でも、端はいませんでした。休憩後に来たのかなと思っていますと、係の人にチェックされて、いなくなってました。音楽については、コメント控えます。最期までは聞きました。デズデーモナのタマールは良かったです。帰りの新幹線、混み混みかと心配しましたが、いつもと同じぐらいでした。金曜のアルカントに期待しています。

投稿: Mie | 2009年9月23日 (水) 22時32分

Mieさま、おはようございます。
連休中なので客足が鈍ったのでしょうか?
ショッピングセンターがガラガラだったり、中華街は激混みだったりと、かなり分散化が目立ちましたね。私は6日のラストでまだ先ですが、どうなるでしょうか?

秋の日の室内楽、きっと素晴らしい演奏になるのではないでしょうか!

投稿: yokochan | 2009年9月24日 (木) 08時38分

 今晩は。
返信のメール拝読しました。本当に有難うござしました。私に間違った点や至らなかった点が沢山在ったことが良く分かりました。申し訳ありませんでした。

パターネとマゼールの三部作を持っております。
どちらもいいですね。
最近シャイー&スカラ座の三部作のDVDが出たそうです。
喜びにたえません。
ですが日本語字幕が付いておりません。
日本語字幕版が出れば迷わずゲットするのですが。

投稿: 越後のオックス | 2010年1月19日 (火) 23時56分

越後のオックスさん、こんばんは。
メールでは失礼しました、あまり気になさらず、これからも気楽にお付き合いくださいね。
それより、私の方のメール設定がおかしくて、何度も送られてしまったかもしれません。かえって、すいません。

三部作は傑作ですね。
シャイーが出るのを私もつい最近知りました。
知らずに、ガヴァッエーニ盤を安くなったのでオーダーしてしまいました。
両方欲しくなるのは我慢です。
対訳は、この作品の場合必要ですね。日本メーカーの売り方もけしからんです!

投稿: yokochan | 2010年1月20日 (水) 20時17分

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