日伊声楽コンコルソ入賞者披露記念 イタリア・オペラ 名曲アリア・コンサート
今日から9月。忙しかった仕事も昨日の台風とともに納期に納め、さあ、秋の音楽シーズンの始まり、とばかりにコンサートをチェックしてたら見つけたのがこちら
7月の神奈フィル以来のコンサート。ミューザを3回棒に振ってしまっているから、ともかくコンサートに飢えておりました(笑)
ネットて買ったら得チケで4000円が3000円に。
でも席はホールに行かないとわからない。
ロシアンルーレット状態だったけど、サントリーホールだし、2階LCのまずまずの席に満足。
ロッシーニ 「セビリアの理髪師」序曲
「チェネレントラ」~「苦しみと涙に生まれ」
Ms:富岡 明子
ドニゼッティ 「ランメルモールのルチア」~狂乱の場
S:金原 聡子
「ドン・パスクアーレ」序曲
〃 ~「あわれなエルンスト」
チレア 「アルルの女」~「ありふれた話」
T:山本 耕平
ドニゼッティ 「愛の妙薬」前奏曲
〃 ~二重唱「素晴らしい妙薬」
~「人知れぬ涙」
~「あなたを自由にしてさしげたのよ」
プッチーニ 交響的奇想曲
「ラ・ボエーム」~「ムゼッタのワルツ」
「冷たき手を」
S:森 麻季
T:望月 哲也
アンコール
ヴェルディ 「ラ・トラヴィアータ」~「乾杯の歌」
全員
現田 茂夫 指揮 読売日本交響楽団
(9・1 @サントリーホール)
どうです、この素晴らしいプログラミング。
ロッシーニ→ドニゼッティ→チレア→ドニゼッティ→プッチーニ
今年45回目を数える歴史ある日伊コンソルソ。
かつての受賞者には、松本美和子、出口正子、山路芳久、市原多朗、木下美穂子などなどそうそうたる名前が揃っている。
117名のエントリーから勝ち抜いた上位3名が前半に、後半は第一線で活躍中の人気歌手が登場。
こうしたフレッシュなメンバーの歌が聴けるという楽しみもさることながら、私の期待のひとつは現田さんの指揮。歌もの、合わせもの、何よりオペラがいい現田さん。
私の期待は、プッチーニの素敵なオーケストラ作品「交響的奇想曲」。
シャイーやムーティ、シモーネの指揮で大好きになったこの曲がキラキラ系に最高の適性を示す現田さんの指揮で聴けるなんて!
そしてその演奏は、めちゃくちゃキレイだった。
音の厚い読響からこんなにシルキィでしなやかな音を引き出すなんて!
いつまでも浸っていたい演奏であり、音楽でありました。
ボエームやエドガーの旋律が出てくるこの桂曲、たくさんの人に聴いていただきたい。
おいおい、お前は何を聴きにいっているのだ、とお叱りを受けそう だが、本編のアリア大会もとても充実しておりました。
いきなり、超絶技巧のチェネレントラを易々と歌ったのは富岡さん。
強烈なカサロヴァの声がまだ耳に残っていて最初はあちらを思い出したけど、中間部あたりから富岡さんのアーティキュレーションの完璧な歌にすっかり飲み込まれてしまった。
ロッシーニを得意にしているという彼女、声量も豊かで伸びやかな声は素晴らしいものだった。
次の金原さんのルチアは、繊細かつデリケートな高音を存分に楽しませてくれた。
はかないガラス細工のようで、凛凛とホールに響く声は、思わず息をこらして聴いてしまうもの。フルートソロが指揮者の前に陣取って、ソプラノと素晴らしい重奏を聴かせている。まさにグラスハーモニカを思わせる歌声。
中声部がもう少し聞こえて欲しかったけど、抒情的で素敵なルチアでありました。
さて1位のテノール、山本さん。小柄でありながら、美しくも張りつめた声が輝きをもってホールに響くさまは、テノールを聴く喜びと快感を味わせてくれた。
美声なばかりでなく、声に陰影もあるところがよい。悲劇的なロールが似合いそうだ。
後半は定評ある森麻季さんに、望月さんのコンビの愛の妙薬。
もう何もいうことはありませんね。
ただただ、お二人の軽妙かつスマートで透明感ある歌声に聴きほれるばかり。
麻季さんのムゼッタ、真赤なドレスに衣装替えして、チャーミングで健康的な色気を感じさせる歌だった。来年のトリノオペラの来日公演でも歌うそうだから楽しみ。
それと望月さんのロドルフォ。たぶん声質からして、プッチーニの柄じゃないと思ったけれど、そのあたり現田さんの指揮とともに、すっきりと早めのテンポで歌曲のように仕上げていたのが印象的。
アンコールは予想通り、「乾杯の歌」。
皆さん持ち味がよくわかる。
麻季さんかなり張り切ってノリノリで、現田さんに、「次替わって・・」のしぐさで笑いを誘ってました。
最後に今日の音響。P席やその左右周辺は聴衆を入れず、空席のまま。
だからこんなに声もオケも、よく響くサントリーホールは初めてだった。
めっぽう楽しいコンサートでございました。
皆さんの今後の活躍を期待してます
さてさて、9月以降、年内のワタクシのコンサート・オペラの予定をご披露しちゃいましょう。ご一緒の方、声かけてくださいまし。
今年は自粛しようなんて思いながら少し多すぎか。
9月 イタリア・オペラ名曲コンサート
シュナイト・バッハ・合唱団「ロ短調ミサ」
名古屋二期会 ブリテン「真夏の夜の夢」
神奈川フィル定期 ショスタコーヴィチ
辻 裕久 英国歌曲
10月 新国 「メリーウィドー」
びわ湖 ベルク「ルル」
新国 「オテロ」
神奈川フィル エルガー&RVW
プレヴィン&N響 「カプリッチョ」「家庭交響曲」
プレヴィン&N響 ショスタコーヴィチ
P・プティボン オペラアリア
11月 P・プティボン リサイタル
マーラー 「千人の交響曲」 現田・藤沢市民
尾高&札響 エルガー
ニ期会 「カプリッチョ」
新国 「ヴォツェック」
12月 ゲルギエフ&キーロフ ショスタコーヴィチ(マクベス・10番!)
東響 ヤナーチェク「ブロウチェク氏の月旅行」
新国 「トスカ」
神奈川フィル「第9」
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コメント
こんばんは。
私もこのコンコルソのコンサート、3年前かなんかにたまたま行きました。なかなか面白かったし、ここで聴いておいて後年活躍したりするのを見るのは楽しいものですね。今年は望月さん出てたんですね~。望月さんは来年の3月に二期会でロドルフォ歌うみたいですね。なんか・・・どうなんでしょ。
いや~またまた沢山コンサート行かれるんですね。私はこの半分も行かないですが(たぶん)、今週は飯守さんワルキューレ第3幕が楽しみです。
投稿: naoping | 2009年9月 2日 (水) 20時34分
naopingさん、こんばんは。
チケット安いし、後半の実績派も前半の若手が全開なものですから、おのずと張り切ってしまい、結果素晴らしいコンサートとなりました。
3人とも気に入りましたよ。
45回分の優勝者リストが付いてましたが、知った名前もそうでない方も、で、やはりその道も大変なのだな、と実感してます。
酔ってPCいじってると、いつのまにかチケット買ってしまう自分が怖いです・・・。
オーチャード行かれるんですね。
飯守さんに加え、タイトスのウォータンも期待ですね。
私のほうは、さすがに今回は見送ります(たぶん)
投稿: yokochan | 2009年9月 3日 (木) 00時38分
こんばんは。
スケジュール表のぞかせていただきました。今年の秋はきついです。琵琶湖のルルうらやましいです。当方は近いのですが。おすすめのカプリッチョ行ってみることにしました。ヴォツェックと重なるので釜洞でないほうです。二期会は初めてです。さくらシートは二十年以上通っていますが、最近、ショーワとかで、遠くて行けなくなくなって困っています。12月のアリスも注文してしまいました。どちらも当方的には一番良い席が空いててびっくりしました。
投稿: Mie | 2009年9月 4日 (金) 21時32分
Mieさま、こんにちは。
自粛しようかと思いつつ、羅列してみてこれでした(笑)
秋はコンサート多すぎです。
カプリッチョは、私は釜洞さんです。対する、佐々木さんはバイロイトにも出た本格派ですし、きっと素晴らしいと思います。
アリスって、あの武道館ライブのアリスですよね。
活動再開なんですね。
懐かしいです。
投稿: yokochan | 2009年9月 5日 (土) 17時54分
こんばんは。
はしょり過ぎて、大変申し訳ありません。アリスは 不思議の国のアリス テアトル銀座 木下牧子作です。 日本語のオペラに興味でてきました。思い起こすと、小学生の時、親に連れられむりやり、宝塚大劇場へ行かされていました。今日は、若杉先生の有馬の皇子を聴きました。プティボンの曲目でていました、楽しみです。
投稿: Mie | 2009年9月 5日 (土) 22時35分
Mieさま、こんばんは。
わはは、私こそ、勘違いしすぎ(笑)
でも調べたらアリスのコンサートがほんとにあったのです。
学生時代を思い出します。
不思議の国の方だったのですね。
私も日本オペラに興味がわいております。
先般、ご案内いただきました、「沈黙」を購入しようと思います。
プティボン、私も大いに楽しみであります。
投稿: yokochan | 2009年9月 5日 (土) 23時01分