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2009年10月 2日 (金)

レハール 「メリーメリー・ウィドウ」祝祭版 新国立劇場公演

Dsc00952 新国立劇場エントランス。

勅使河原 茜さんの秋色の見事な作品。

Img_2 レハールの「メリーメリー・ウィドウ」、シーズンオープニング「オテロ」の合間に、こんな公演がありました。
平成21年度(第64回)文化庁芸術祭祝典、国際音楽の日記念・・・・、というお堅い冠が施されている。
S席5000円、それ以外は3000円と格安。
でも、一般発売が少なく、チケットはすぐに売り切れ。

それもそのはず、皇太子殿下が来臨されました。
我々民衆は拍手をもってお迎え。
私の席は3階で、殿下は2階センター。
お帰りの際にのぞき見したら、そのご尊顔を拝することができて妙に幸せ(?)
音楽監督代行の尾高さんがアテンドされていらっしゃった様子でありました。

今回は、現田茂夫さんの新国デビュー、しかもいかにも得意そうなレハールとあって、「勝手に神奈川フィルを応援する会」のはしくれとして、幹事長にもお声掛けして観劇に挑んだ次第にございます。

劇場に入ると、オケピットに蓋がしてある。
おや、オーケストラは上に上がるのね。
プログラムを見ると、「メリー・ウィドウ」にはさまれるように、オーケストラ演奏や「こうも」、「椿姫」が上演されるという。
「メリー」がひとつ多いから何ぞやと思ったらそういうことなんだ。
Img_0002
プログラムはこんな感じ。

出演者たちは、女性は自前とも思われるドレス、男性はタキシード。
「こうもり」に登場の双子(新説!)オルロスフキーやロザリンデのみ既存の上演の衣装の模様。
簡潔なアールヌーヴォ風の舞台装置もたぶん「こうもり」の代用。

というわけで、リーズナブルでありながら、盛りだくさんの内容で、次々とあらわれる音楽のご馳走に舌鼓を打ったのです。

未亡人ハンナが、かつての恋人ダニロとパリで再会し、よりを戻すという「メリー・ウィドウ」の基本ドラマに、ガラパフォーマンス風にほかのオペラが挟まる。
オペラ好きなら堪らない趣向に、オーケストラ好きも楽しめちゃう。
カットだらけでけしからん、なんていう向きもありましょうが、劇場という空間で、リラックスしつつ笑いと音楽に興じる。
これ、最高の贅沢なり。
そして、盛りだくさん詰め込みすぎて、メリーウィドーはいずこへ? の感もなきにしもあらずだったが、ともかく楽しく、面白かったから「よし」である。
 日本語によるセリフもユーモアたっぷり。さすがにきわどいセリフはなかったものの、指揮者までもが劇の中で活躍。
金持ちのハンナが、パリで外国人と結婚してしまったら、外貨として流出してしまい、破綻しかねないポンテヴェドロ国。
「証券会社の影響を受けたどこかの国と違い、我が国は、緩やかな後退にあるのだ」というポンテヴェドロ公使。会場は爆笑。皇太子さまもお笑いになったのかしら?
「マエストロやオーケストラのギャラも払えないかも・・・」、に現田さんやオケは反応し、帰ろうとし、公使は慌てて、信用状のようなものを手渡す。
こんなシーンが2回もあって笑えたし、現田さん、居眠りするダニロに白い布をかけて、指揮棒でもって、床を打ち、チーン・ぽくぽくとやったもんだから、これまた爆笑。
 こんな仕掛けがたくさんありましたよ。

  「メリー・ウィドウ

          ハンナ:中嶋 彰子     カミーユ:ディヴィッド・ロビンソン
     ダニロ:与那城 敬     ヴァランシエンヌ:九嶋 香奈枝
     ツェータ男爵:町 秀和   ボグダノヴィッチ:青山 貴
     カスカーダ:北川 辰彦    サン・ブリオッシュ:村上 公太
     クロモウ:岡 昭宏       プリチッチ:駒田 敏章
     大使秘書:藤木 大地


  「椿姫

     ヴィオレッタ:安藤 赴美子 アルフレート:ディヴィッド・ロビンソン

  「こうもり

     アイゼンシュタイン:桝 貴志  ロザリンデ:吉田 珠代
     オルロフスキー:清水 華澄   オロロフスキー:増田 弥生
     ファルケ:青山 貴        アデーレ:大西 恵代
     イーダ:鷲尾 麻衣

    現田 茂夫 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
               新国立劇場オペラ研修所修了生・研修生(合唱)
                       (10.1@新国立劇場)

あれっ?
オロロフスキー?
オルロフスキー公爵は、実は双子だった(のだそうです~笑)。
私のお気に入りメゾ清水さんと、体型は違うけど、濃い目の増田さん(以前フリッカ歌ってた)のオロロが出てきて笑えましたねぇ。
若手中心の実力派歌手の皆さん、とてもよかった。
中でも、オネーギン、エーネアスと観てきた注目の与那城さん、やはり舞台映えするし声の存在感も増した感じ。
それとやはり実績ある中嶋さんは、最初から最後まで声が輝いていて、ダントツだった。

それで、現田さんに、こうした音楽を振らせたら素晴らしい。
それがまさに実感できた。
ヴィリアの歌の聴き馴染んだオーケストラがなんと新鮮に響いたことか。
ハンナとカミーユの二重唱のとろけるような美しさ、ダニロの真打登場シーンでのしなやかで甘い旋律、それぞれ震えるほどにキレイ。
神奈川フィルとともに大きくなった現田さん、今後、活躍の場がますます広がってゆきます。そして、新国にも本格上演で是非、再登板していただきたいもの。
かつて、にゃんこ達(にゃんこ会議・クリックして下さい)が予想したように!

終演後、アフターオペラはオペラシティの居酒屋で。
短期決戦で飲みすぎちゃいました。
どうもお世話になりました。

  

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コメント

難しいことは言わずに楽しめばOK!といった感じのいい具合に肩の力の抜けた上演でしたね。ひと昔前のような妙な生真面目さ堅苦しさが感じられなかったのは何よりでした。最後あれだけ賑やかに盛り上げてくれれば文句はありません。
新国の舞台に上がったオケの響きを聴けたのも思わぬめっけものでした。指揮者は歌手に合わせるのに苦労したかもしれませんが。

投稿: 白夜 | 2009年10月 3日 (土) 01時41分

白夜さん、こんにちは。
ご一緒でしたか。
そうですよね、楽しめばOK、これもありでした。
文化庁がらみだし、こういうの日本人は苦手だと思ってましたが、ご指摘のとおり>生真面目さ堅苦しさ<がなくて、とても面白く観れました!

現田氏は、背中に目があったのでしょうか。
確かにあのシテュエーションは歌手も指揮も大変だったかもしれませんね。

投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 11時36分

どうも先日は大変お世話になりました。
何はともあれ、楽しかったコンサートでした。
遠くまで足を伸ばしたかいがある楽しいひとときでした。
現田さんがこれはデビューというのはちっと驚きでしたが、これからは時々登板していただきたいです。そのときはまた足を伸ばすことにしたいです。
でも、そのマエストロ、横浜はくれぐれもお忘れなきようにお願いしたいです。
あのハンナとダニロの二重唱はよかったですね。

投稿: yurikamome122 | 2009年10月 3日 (土) 13時08分

yurikamomeさん、こちらこそお世話になりました。
現田さんのよさが、新国の観客にもよく伝わった晩でしたので、後続が期待されますね。
そう、横浜も忘れちゃだめですよね。
マエストロは最近、仙台、大阪、浜松と引っ張りだこですもんね。

私も、コロとカラヤンの音源を引っ張り出して聴きました。
甘い音楽に耳が蕩けてしまいそうです。

投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 14時51分

このコンサート、いらっしゃったのですね。私も行きたかったのですが、都合が合わず、仕事場からも遠く、ということで断念してしまいました。無理してでも行けばよかった。。。レポートを拝読して楽しい気分になれました。ありがとうございます。

投稿: Shushi | 2009年10月 3日 (土) 19時27分

あっ、うらやましい人、2人目みぃ~つけた!
なんて(笑)
いや、でも本当に僕も行きたかったです。

ちなみに現田さんは足利(栃木県)では、ラ・ボエーム、
九州では来年のニューイヤーも振りますね。
仙台は土日なら追いかけたい演目ですよ~。

投稿: スリーパー | 2009年10月 3日 (土) 20時47分

Shushiさん、こんばんは。
この演目、チケット発売が少なくて発売日の午前中に売り切れてしまいました。
関係者で、1・2階、3階のセンターは占められていたみたいです。
文化庁の公演であるならば、一般庶民にも広く門戸を開くべきかと思いますが・・・。
ですから、ここに居合わせたのは、幸運でした。
そして楽しかったのです!

さぁ、オテロまであと数日。
いえ、実は明日、びわ湖へ行って初生「ルル」を観てしまうのです。懐厳しいなか、思い切ったことをしてしまいます。
感想をupしますので、またご覧いただければ幸いです。
本日は、シェーファーのDVDを半日見ておりました。

投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 21時36分

スリーパーさん、こんばんは。
見つかっちゃいました(笑)

なかなかのエンターテイメントにござました。
現田さん、マエストロと呼ばれてモテモテでしたよ。

仙台~中村紘子さんはともかく、チャイコは魅力ですね。
足利~これは知りませんでした。東武線で行けばリーズナブルですから、行ってしまいそう。ミミを歌う大隅さんは、かなりいいソプラノですよ!
九州~さすがに遠いですね。
浜松~蝶々さん、魅力的すぎます・・・どうしよう。

こんな感じでしょうか。
大活躍ですよね!

投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 21時43分

ボックスオフィスのテープで「メリーメリーウィドウは売り切れました・・・」と流れて不審に思っていましたがそういうことだったのですね^^;不審者に近いわたくしが言うのもなんですがこういう楽しい公演はもっとたくさんお願いしたいです。 

オテロの感想、とても楽しみです!!!

投稿: moli | 2009年10月 4日 (日) 23時33分

moliさん、こんばんは。
そういうことだったのです。
一回っきりじゃもったいない公演にございましたよ。
それと土日にやった方が、とも思いましたが、業務の一環で観劇された方もいらっしゃるかもしれませんので、それは無理かも・・・・。

オテロ楽しみですが、本日「ルル」を観てしまい、頭の中がルルで一杯いっぱいです(涙)

投稿: yokochan | 2009年10月 5日 (月) 03時23分

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受信: 2009年10月 3日 (土) 13時09分

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