ショパン 24の前奏曲 ポリーニ
おいしそうな食後のデザート。
晩夏・初秋のお味。
赤いのはとても甘いスイカ。
黒いのは丹波の黒豆。
上の大きな丸いのは、イチジク。
緑はメロン。
みつ豆がジュレになったかのような感覚。
美味にございました。
9月、久し振りに寄らせていただいた、大阪島之内の日本料理店「太庵」にて。
雨と晴れが交互に訪れるこの頃。
○心と秋の空。
たしかに、でございますね。
○は男も女も、どっちも一緒。
ショパンの憂いもいくぶん躁鬱ぎみで、泣いたり笑ったりと忙しい。
でも基本は短調なのかなぁ、ショパンは。
ショパンの作品数はそんなに多くないから全曲はわりと簡単に揃えられる。
でも39歳で亡くならなければ、もっと多くの作品が残されたはず。
モーツァルト、シューベルト、メンデルスゾーン、ショパン、みんな今の感覚では短命だった。
しかし、残された音楽はとんでもなく内容が濃いのが天才たる所以か。
ショパンの憂いには、中学・高校時代、極めてハマった。
アルゲリッチとアバドの協奏曲に始まり、アシュケナージのソナタ、ホロヴィッツのバラードやポロネーズ、ルービンシュタインの即興曲、そして、ポリーニの練習曲に前奏曲であります。
いやぁ、ここに書くことも恥ずかしいくらいに、青春(きゃぁ、きゃぁ~)の甘い感情に浸るのに、ショパンはまさにうってつけでありましたねぇ。
今やショパンは、過ぎ去った大昔の青春を思い出すよすがであるとともに、ほろ苦い悔恨や、先が見えてしまった現在ある自分の姿を見据えなくてはならないという厳しさを強く意識させる音楽になった。
ムーディなだけで聴くことができない、厳しい音楽。
ショパンは、詩的だけでない音楽的な作品であることにも気がついてきた。
懐かしい1枚の、ポリーニの「24の前奏曲」を取り出してみた。
そして数十年ぶりに聴いてみた。
バッハを尊敬していたショパンは、「平均律」と同じように調性を移行させながら緊密な構成の前奏曲集を残した。
それぞれ短いが、5度循環の緻密な全体構成が全体をひとつの作品のように見せていて、どれか一曲ではなくて、聴ききだしたら全部聴かないと止まられなくなる。
これらがバラバラに書かれたというから、これまた驚き。
かのジョルジュ・サンドと過ごしたマジョルカ島でも数曲書かれている。
そしてポリーニのピアノの硬質でありながら、明晰さを伴った明るい響きを聴いていると、造形の見事なイタリアの彫像を思い起こしてしまう。
そこにみずみずしい清潔感もあるものだから、極めて美しくも音楽的なショパンがここに聴かれることになる。
音楽も演奏も、あんまり素晴らしいものだから、昨晩から4回も聴いてしまった。
土曜日の今朝も聴いている。
さっきまで薄日が差していたのに、窓の外はまた雨が落ちてきた。
今日もお天気は気まぐれだ。
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コメント
こんばんは。
食後のデザート、おしゃれですね。イチジクがそそります。こういうものは家ではなかなかできません。
ポリーニの前奏曲は技術の高さに加えてカラッとした詩情が漂っていて良いです。
投稿: 吉田 | 2009年10月 3日 (土) 18時35分
太庵って、ネットで調べて知りましたが大阪の有名な名店なんですね。
とてもこういう高級なお店には足を踏み入れられそうにありませんが、それにしても美味しそうなスウィーツですね。
このポリーニのディスク、ずっと欲しいと思いながら入手出来ておりません。
次回のラ・フォル・ジュルネに向けショパンを聴かなきゃ、と思いながらなかなか聴けていないショパン素人の私です。
投稿: golf130 | 2009年10月 3日 (土) 20時48分
吉田さん、こんばんは。
このイチジク、濃い目の味で、酒に合ってしまうところが恐ろしかったです。
ちょっと贅沢してしまいました。
もう四半世紀以上前のポリーニですが、あの頃が一番印象に残ってます。
カラッとした詩情~たしかにそうですね。
今やなんとなく悩める巨匠になってしまった感がありますが、当時は明快でバリバリものでしたものです。
投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 21時30分
こんばんは。yokochanさんがショパンが好き。しかも、ポリーニとは・・・。嬉しいです。私がお邪魔しているブログのショパン・ファン、ポリーニ・ファンは少数派と意外性があります。
完璧主義者のアシュケナージは「前奏曲」「練習曲」に遺作を入れるが、ポリーニは音にこだわる。そこもまた面白い。
自分はピアノを挫折してしまいましたが、「前奏曲」はアラウ、ボレットといったショパン弾きからそうでないのも注目です。
バージン系のツィマーマン、ポーランド祝管弾き振りコンチェルトは10年前、つまり、ショパン没後150周年に録音したのか、今年はショパン没後160周年。そして、来年はショパン生誕200周年。昨年、メータはウィーン・フィルでラン・ランとコンチェルトを録音したが、過去にペライアとイスラエル・フィルで共演。しかし、「第1番」はニューヨーク・フィルハーモニックでも録音。コンビネーションで面白いのはドイツ・グラモフォン。アルゲリッチの「第1番」はアバド、ロンドン響。「第2番」はロストロポーヴィチ、ワシントン・ナショナル響と混合。アバドは・・・「第2番」はシカゴ響でポゴレリチと共演。
コルトー、ルービンシュタインといった古いものからキーシン、カツァリス、シフラといった典型的な技巧派。ショパンに関しては得意な方です。
投稿: eyes_1975 | 2009年10月 3日 (土) 21時44分
golf130さん、こんばんは。
足のお加減はいかがでしょうか。
太庵は、数年来通ってますが、料理も素晴らしいですが、お酒の取り揃えも半端ありません。
丁寧な仕事をする職人親方の店でして、そうそうにいけませんが、裏切られることがありません。
値段が上がってしまいましたが・・・・。
ポリーニのこのCD、レコード以来の買い直しです。
思い入れがたくさんありますので、涙ものでした。
是非にもお聴きください。
「太田胃酸、いい薬です」がのんべには極めて体にもよろしい曲です(笑)
投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 21時51分
eyes_1975さん、こんばんは。
ショパン好きを発見しました!
なんだかんだ、好きなんです、わたしも。
全作品をそろえてます。
そしてポリーニのショパンも全部揃えました。
そんな中でも、ポリーニは、練習曲と前奏曲です!
アシュケナージはノクターンかな。
ポリーニは、デビュー時のものを除いて、協奏曲を弾きませんね。不思議なことです。
弾き振りもできそうなのにしないのは何故でしょうかね?
あげられた協奏曲の相関図。面白いですね。
メータが意外とやってますね。
バレンボイムもショパンは協奏曲を弾かないのです。
弱いオーケストレーションも、メータやアバドが指揮すれば立派に聴こえる(かな?)
投稿: yokochan | 2009年10月 3日 (土) 21時59分
お早うございます。過去記事に書き込み失礼いたします。
「『この作曲家は嫌い!』と言い切る人は実はその作曲家に嫌われているんだ」と言ったのは黒田恭一さんです。名言だと思います。某巨大掲示板などを見ると本当にそう思います。
ショパンは嫌いでこそないものの(嫌いな作曲家はいません)実は私にとってショスタコ以上に扱いづらい作曲家です。意外に思われるかもしれません。曲自体はどれも素晴らしいと思います。コンチェルトといい、ノクターンといい、前奏曲といい、ソナタといい・・・でもご本人の人となりが何か好きになれないのです。かつてはベルリオーズやメンデルスゾーンもそういう存在でした。あんなに素晴らしい曲を沢山書いた大作曲家でしかもお目にかかったことは一度もない方なのに「気取ってんじゃねーよ」「カッコつけてんじゃねーよ」と何故かイチャモンつけたくなってくるんですね。ハンサムだからなのでしょうか・・・でもそれを言ったら一歳年下のリストだってハンサムですし・・・どうしてショパン先生にだけいい年して反抗心を持ってしまうのか未だに謎です。
でもそんな私もショパン先生がなくなった年齢に近づきつつあります。いつまでも中学生のように反抗しているのは大人気ないと思い、昨日の夜はアシュケナージが弾いた24の前奏曲を聴いてから床に着きました。24の前奏曲はハラシェヴィッチやダヴィドヴィッチの演奏も持っています。今日はアルゲリッチの24の前奏曲を買おうと思っています。ショパンは既にほぼ全作品を揃えています。私のショパンライフ(?)はこれからやっと始まるのかもしれません。
投稿: 越後のオックス | 2010年12月 1日 (水) 05時46分
越後のオックスさん、こんばんは。
ショパンイヤーもあと1ヶ月。
わたしは、ほとんど聴かずに、というか例年のペースで終わりそうです。
まずは、ショパン道に開眼おめでとうございます。
作曲家、ジャンルの得手勝手は誰しもありますよね。わたしは、キャリアだけは長いオッサンですから、これまであらゆるものを聴いてきまして、いまのスタイルに落ちつきました。
ショパンやシューマンのピアノ作品も若き日々に聴きまくりましたが、いまはそうでもありません。
若い越後のオックスさんがうらやましいです。
ショパンばかりでなく、どんどん、極めていって下さいね!
投稿: yokochan | 2010年12月 1日 (水) 19時29分