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2009年10月10日 (土)

「マーラー夫妻、コルンゴルド歌曲集」キルヒシュラーガー

Tokyo_tower_1 今日(土曜日)の東京タワー。

週末は、ダイヤモンドヴェールと称したイルミネーションになって、10月は赤のようなピンクのような色。
明日、明後日は、よりカラフルになるみたい。

今日は、たまった仕事を片付けて会社に夜10時まで。
誰もいないことをいいことに、ずっと音楽をかけっぱなし。

「ハウエルズのスターバト・マーテル」、「ブリテンのポール・バニヤン」、「レオンカヴァルロのボエーム」、「ベルクのルル」、こんなに聴いてしまった。これなら仕事もはかどるってもんだ。

Angelica_kirchschlager
日付も変わったけれど、土曜日ということで。

ザルツブルク生まれのウィーンの名花、アンゲリカ・キルヒシュラーガー(Ms)の歌を聴く。

このCDは、96年録音の彼女のデビューアルバムで、デビューにしては、おっそろしく玄人好みの選曲がなされている。
というか、しっかり筋の通った考えられたプログラムになっている。

グスタフ・マーラーの初期の歌と、その妻アルマ・マーラーの作品に、コルンゴルトの渡米後の歌曲。
アルマもコルンゴルトも、ツェムリンスキー門下の同門。
グスタフは、コルンゴルトの音楽を評価してウィーンで推した人物。
ウィーンがらみの3人だし、いずれもアメリカに渡ることでも共通してる。

マーラーの若書きには、後の交響曲や歌曲集にあらわれる旋律の片鱗も見て取れるが、ちょいと青臭いところが玉に傷か。
でも、軍楽風だったり、葬送風だったり、なだらかな自然賛歌だったりと、いかにもマーラーらしさがしっかり味わえるすぐれもの。

コルンゴルドに関しては、ここに歌われた2つの曲集がアメリカ後で、充実期にあったので、大変に聴きごたえがある。
遅れてきた濃厚なロマンティシズムも味わえるし、映画音楽にも一脈通じそうな聴きやすい旋律の作品もある。そう、都会的でありながら、ウィーンの森や街に憧れを抱いているような懐かしい雰囲気も感じる歌曲たちである。
シェイクスピアの詩につけた作品は英語で歌われている。

美貌の主アルマの歌曲。(以下は解説書を参考にしました)
アルマは小さい頃からしっかり音楽を学び、ツェムリンスキーにも師事しただあけって、グスタフと知り合う前には、そこそこの作品を残していたらしい。
22歳にして、20歳上(ひゃ~)のグスタフと結婚後は、旦那に作曲を禁じられてしまう。
これは今にして思えば、とても残念なことだけど、亭主のスコアを清書したり、アドバイスをしたりと、これまたアルマがいなければ大変なことになったかもしれないのだ。
そもそも、6番の交響曲は生まれなかったわけだし。
 マーラー死去後はグロピウスや作家ヴェルフルと再婚し、ナチス登場後は、アメリカに渡ったアルマでアリマス。すごい人生ですな。
ちなみに1879年生まれ、1964年没と、グスタフが死んで半世紀も長生きされた強~い女性。
で、若書きのその作品。
ロマンティックなもので、詩の内容はシリアスでも、その音楽は意外と明るく感じる。
なかでも、デーメルの詩による「静かな町」は、ドビュッシーを思わせる、ときおり転調する特徴的なピアノに乗って、なかなか味わい深い歌が付けられていて、私は結構気にいった。

 コルンゴルト   「5つの歌」
 
 アルマ・マーラー 「静かな町」「父の庭」「なま温かい夏の夜」
            「おまえのもとでは打ち解けられる」
            「ぼくは花のもとをさまよう」

 コルンゴルト   「道化の歌」
             (シェイクスピア 十二夜より) 

 マーラー      「若き日の歌」

       Ms:アンゲリカ・キルヒシュラーガー 

       Pf:ヘルムート・ドイチュ
                (96.5 @エステルハージー宮)

キルヒシュレーガーの瑞々しい歌声を聴くと、心が洗われるような気持ちになる。
陰りなく、明るい声は、音符や言葉ひとつひとつにすみずみまで光があたり輝いているように聴こえる。
私はまだ彼女の実演に接したことがないが、この声なら、きっとホール一杯に響きわたるであろう。とても通りがよさそうな声なのだ。
そして、メゾだけど、ソプラノの音域も無理なく響いていて、音域がやたらと広く、余裕が感じられる。
このCDの中では、曲も彼女の歌も、コルンゴルトが一番好きだな。
最近出た、ヴォルフもよさそうだし、オクタヴィアンが聴いて(見て)みたい。

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コメント

こんばんは。
このCDはいいですね。ジャケットもステキだし選曲もマニアックでいいと思います。。
自分のブログの記事にも書きましたが、彼女の舞台をウィーンで見ました(その記念にコレ買いました)。残念ながらオクタヴィアンじゃなくてオルロフスキーでしたけど。

アルマっていうと。私が子供の時にアルマを知って「20歳年上のマーラーと結婚したのか、ふうん」くらいにしか思ってなかったんですけど、大人になって考えてみると結構それって凄い事だったんだなあと思います(色々事情はあったのかもしれないけど)。

投稿: naoping | 2009年10月12日 (月) 21時06分

naopingさん、こんばんは。
生キルヒ聴かれたのですかぁ! いいなぁ。
そして、このCDはかなり気にいってます。
アルマの人生は、こうしてみるとなかなかに凄いものがあります。
映画になってもおかしくないですが、20歳の差を考えるとマーラー役が面白そうです(笑)

投稿: yokochan | 2009年10月12日 (月) 21時57分

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アルマ・マーラーの歌曲:「静かな町」、「父の庭」、「生暖かい夏の夜」、「お前のも [続きを読む]

受信: 2009年10月12日 (月) 20時56分

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