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2009年10月 5日 (月)

ベルク 「ルル組曲」 アバド指揮

Biwako_sepia_2 琵琶湖に月。
セピア処理してみました。

昨日観劇したベルクの「ルル」。

完全に悩殺されてしまった。
帰宅後、新幹線で書いた記事に手をいれながら、「ルル」をつまみ聴き。

一夜明けても、私の頭の中はルルだらけ。
どうしたらいいんだろ。
明日は、またまた無謀にも、新国の「オテロ」千秋楽があるというのに。
気分が切り変わらないよ。

Berg_lulu_abbado こうなりゃ、とことん。

ベルク(1885~1935)は、「ルル」を2幕までで、3幕を不完全なままで、悪性腫瘍により世を去った。
残された3幕からの抜粋部分2曲を、第2幕からの3曲の後につなげて、ルル組曲(交響曲とも)とした。
親父クライバーによる初演であった。

2幕から、ルルの魔性が本格的に音楽にもにじみ出てくるので、これら5つの曲は、オペラの雰囲気を30分で味わえる寸法となっている。

1.ロンド  2.オスティナート 3.ルルの歌  4.変奏曲    5.アダージョ

ベルクは、登場人物たちにそれぞれ12音音列によるライトモティーフを付けていて、登場人物から他の登場人物に基礎音列を関連づけて導き出されているという。
そのすべては、私にもわからない。
もっと聴きこんで味わいつくしたいと思っている。
それだけ、ベルクの音楽は魅力的で、昨日の舞台を経験して、ルル願望は満たされはしたものの、もっと知りたい「ルル」なのであります。
ホールで頂戴したパンフレットには、かなり読みでのある記事が満載で、まだ読破はしていないものの、目からウロコの部分も多々ある。

ベルクを愛するアバドは、若い頃からずっとベルクに取り組んできて、「ヴォツェック」には執念とも呼ぶべき取組み方を見せスカラ、ウィーン、ベルリンと指揮し続けた。
「ルル」もウィーン時代に手がける予定があったが、ベルリン着任により実現しなかったのが残念。ベルリン時代に何故「ルル」を取り上げなかったかは不明。
でも、70年のロンドン響、94年のウィーンフィルと2度に渡って、こちらの「ルル組曲」を録音していて、そのどちらもが素晴らしく密度の濃い演奏となっている。

ロンドン盤は、ニュートラルですっきりと整理され、知的で切れ味鋭い演奏だが、ウィーン盤は、その印象はそのままに、より濃密でダイナミックレンジの広い味わい深い演奏になっている。
24年の歳月とともに、オーケストラの持ち味が大きく作用しているのだ。
どちらもアバドらしい、歌心にあふれているが、そこに甘味なベルク節がおのずと載ってくるのがウィーンフィルならでは。
むせかえるようなホルンの咆哮、唸りをあげてむせび泣くヴァイオリン。
切り裂きジャックによる、ルル殺害の大音響も決して威圧的にならない。
そのあとの、ゲシュヴィッツ令嬢のルルへの愛情吐露に続く、オペラのエンディングの虚ろな響きにも歌がある。
録音も今もって絶品で、ムジークフェ色が立ち上ってくるようだ。

Lulu2_a こちらが、1970年のベルリン・ドイツオペラ来日公演の写真のうちの1枚。

ゼルナーの演出は、ベームのレコードジャケットと同じもので、これらを眺めつつ、未知なる「ルル」に想像をめぐらせていたワタクシである。

この時の演目は、「コシ・ファン・トゥッテ」「魔弾の射手」「ローエングリン」「ファルスタッフ」「モーゼとアロン」「ルル」という玄人じみたもので、指揮者も音楽監督マゼールにヨッフム、ホルライザー、マデルナ。
歌手は、FD,リゲンツァ、マティス、ローレンガーなど今思えば素晴らしい方々。
ルルは、当時の第一人者キャサリン・ゲイヤー。
小学生のわたしは、訳も分からず、テレビ放映された「ローエングリン」を見ていた。
ピットにいるマゼールが、ヴィーラント演出のブルーの光りをあびて、指揮していたのをまだ覚えている。

また、昔話をしてしまった。
こんなことの積み重ねで、音楽好きが昂じていった訳であります。
いまもまだ「ルル」聴いてまんねん。
「オテロ」はどうなる? え?

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コメント

 こんばんは、初めまして。
 rudolf2006さんのブログを通じて知るところとなり、ブラウザの「お気に入り}に入れたりしているのですが、コメントの書き込みは今回が初めてです。

 ベルクが書いたオペラ『ルル』を滋賀のびわこホールで観られたとの由ですが、今回の本文と一つ前そして二つ前の各記事の本文を拝見していて、そのびわこホールに於ける『ルル』で何やら相当衝撃を受けられているように察しているところです。
 正直申せば、私自身この作品の存在を知るも実際に見聴きしたことが無く、そのため先ほどネットでこのオペラのあらすじを調べていたのですが、総じて何だかドロドロした感じの悲劇、といった印象を受けました《凄く単純な書き方となってしまってスミマセンが…》。

 いつか機会をつくって聴いてみようと思っています。

 それにしても、こちらは凄く濃厚なクラシックのブログのように、一通り眺めていても、感じるところです。
 今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 南八尾電車区 | 2009年10月 6日 (火) 19時11分

南八尾電車区さま、コメントどうもありがとうございます。
お名前は、わたくしがいつもお邪魔したり、リアルにお会いしたりいただいている方々のブログで、よく拝見しておりました。

ベルクは、作品数は少ないですが、マーラー後の後期ロマン派の流れを引きずった保守的でかつ斬新な作曲家だと思います。
ルルは、40年近く観たいと思ってきて、親父になってしまい、ようやく念願がかなったオペラです。
バカみたいな話ですが、こんな執念や欲望も、人生を過ごす糧かな、っと思ったりもしてます(笑)
「ヴォツェック」と並んで、是非にもお試しいただきたいベルクのオペラに思います。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2009年10月 7日 (水) 01時42分

 連投失礼いたします。ルルを観劇されたとは羨ましい限りです。私はルル組曲は、ブーレーズ&ニューヨークのものしか持っておりません。でもブログ主様のホットな文章を読んでいるとクラウディオの演奏も聴きたくなってしまします。長岡市立図書館にあったはずなので探して聴いてみたいと思います。
 全曲盤はブーレーズのCD、それにアンドリュー・デイヴィスのDVDを持っております。シェーファーのルルは最高ですね!
 余談ですが(出た!)ハイネと言えばドイツの詩人として余りにも有名ですが、彼は詩だけの人ではありません。評論家としても健筆をふるいましたし、文学のほぼ全てのジャンルに傑作を残しているはずです。今、ハイネの「ドイツ・ロマン派」(未来社)と言う文学史の本を読んでいます。ところがなかなかスムーズに読み進められません。ハイネは好きな詩人なのにどうしちまったんだろうと気になります。この前図書館で倒れたのと無関係な原因であれば良いのですが・・・

投稿: 越後のオックス | 2009年10月27日 (火) 22時41分

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