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2009年11月28日 (土)

ベルク 室内協奏曲 アバド指揮

1 六本木ヒルズ内にある、毛利庭園。
その池に、クリスタルに輝くイルミネーション。

都市の樹と呼ぶそうな。
グリーンやブルー、赤にと刻々と色が変わるすぐれもの。

周辺のけやき坂もすばらしくキレイであります。
こちらも取材済みですから、いずれUPします。

Berg_chamber_concert_abbado 今日もベルクを聴いてやろうじゃないか。

大好きなヴァイオリン協奏曲でも、と思ったけど、何度か登場させているので、同じ協奏曲で、「ヴォツェック」の次に書かれた、室内協奏曲を聴くこととした。

ピアノとヴァイオリン、13管楽器のための室内協奏曲」というのが正式な名称。

ピアノとヴァイオリンはソロ、オケにあたる楽器は、ピッコロ、フルート、オーボエ、イングリッシュ・ホルン、クラリネット2本、バス・クラリネット、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2本、トランペット、トロンボーンという編成。

こんなにユニークな楽器の取り合わせの協奏曲は、ほかにないのでは。

いつものベルクらしく、この曲にもいろんな想いを込めて緻密のかぎりに作曲されている。
1924年の、師シェーンベルクの50歳の誕生日に献呈するつもりで、筆を進めたが間にあわなかった。

では、師の誕生日に送りたかったこの曲の内容はというと。
まず、冒頭にこの曲のモットー主題が、フルート、ヴァイオリン、ホルンの橋渡しで演奏される。
新ウィーン楽派の面々がよく使う手だが、その主題の中に、シェーンベルク、ウェーベルン、ベルクの3人の名前を音名が共通する音で織り込んだのだ。
 この3という数字も、意味深く扱っていて、楽章は3つ、3つの楽器群。
1楽章はピアノ、2楽章はヴァイオリンが主体で、3楽章は二つの楽器が協奏し合うという3のバランス。
 さらに5という数字にも、意味を持たせているという。モットーが5つの小節、楽器総数が15、3×5=15、5回繰り返される旋律が多々ある。これらは、師の年齢50歳を意識してのことといわれている。
そして曲は無調が主体だが、一部、12音も柔軟に取り入れている。

まぁ、こんな小難しいことはあまり意識せずに、楽器間の緊張したやり取りや、時折ふっとあらわれるベルクらしい甘味な表情などを見つけ出したりしながら聴くのがよい。

1楽章は、「友情」と題され、スケルツォ風主題と5つの変奏。
この変奏には、ベルクの友人5人の名前がつけられていて、ピアノの怪しい輝きが魅力。

第2楽章は、アダージョで「愛」。これは、自身のヴァイオリン協奏曲とも似ていて、ベルクらしい美しさを聴くことができる。
シェーンベルクの病床にあった妻マティルデの名前が使われているほか、師の「ペレアスとメリザンド」からのメリザンドの主題も引用されている。

休みなくピアノの大胆なカデンツァで始まる3楽章は、冒頭のヴァイオリンとの超絶的な二重奏が強烈だ。「世界」と題され、これまでの二つの楽章と二つの楽器が融合した大曲。
二重奏の導入部、ロンド・リトミコ、コーダの3つに分けることもできる。
この楽章は、シェーンベルクの室内交響曲にそっくりに聴こえるのは、ホルンの活躍が大きいからだろうか。
熱気と緊迫感に満ちていて、スケッチにはベルク自身が、「世界、人生、万華鏡」と書いたとおり、いろんな方向から音が飛んできて、それは光の放射のようにいろんな色に姿を変えてみえるし、多面的で一言で推し量りがたい音楽である。
最後のコーダは、2分であっという間だが、モットーが次々とめまぐるしく奏され、ピアノの持続音の上にオーボエ、ピッコロなどが早いパッセージを刻んだあと、ヴァイオリンがピチカートで2楽章冒頭の旋律をポロロンと奏でる。
ずっとピアノは響いたまま、曲は消えるように終わる。

これは、かなり印象的な場面だ。
ベルクの音楽は、小難しく聞こえる反面、耳ざわりの非常にいいものだが、いつも最後は何か問題を投げかけてくる。
この曲も、最後のピチカートのあまりにあっけないお終いには、肩透かしを食らうが、その先にあるものはなんだろうか。
人生、こんなもん・・・・、ってなことかしらん。

ベルクの使徒アバドがCBSに録音したこの音盤。
アイザック・スターンと、ピーター・ゼルキンとの共演も珍しい。
オケはロンドン交響楽団メンバー。
全員が研ぎ澄まされ、明晰な音を紡ぎだしていて敢然とするところがない。
これは素晴らしい演奏だ。
ブーレーズもバレンボイムとともに何度か録音している。

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コメント

 お早うございます。
 私は、デイヴィッド・アサートン指揮ロンドンシンフォニエッタの国内盤を持っています。あまりしょっちゅうは聴きませんが・・・嫌いではないのですがヴァイオリン協奏曲のほうが好きです。ロンドンシンフォニエッタは、ロンドンのオケの楽団員をピックアップして作られた団体です。79年のステレオ録音です。ベルク好きのアバドはこの曲も録音していたのですね。
 ヴォツェックを観劇してこられたのですね。私はオペラをライブで見たことがまだありません。新潟ではオペラが上演されることは滅多にないのですよ。ましてや無調や十二音のオペラとなると・・・モーツァルトのオペラがたまに上演されるとちょっとした話題になるほどですから。ダニエルが指揮した英語版ヴォツェックが好きでもう何度も聴きました。かなり耳に馴染んできたようです。最近いちばんハマっているのは、ケーゲルのヴォツェックです。73年の演奏会形式の上演のライブですが、音質は驚くほどいいです。もう三回ほどケーゲル盤を聴いています。アバドに匹敵する名演です。
後ドラティが指揮したヴォツェックからの三つの交響的断章も好きです。
ヘンヒェンは、リストのダンテ交響曲とシスティーナ礼拝堂のオケ版くらいしか聴いたことがありませんが、オペラ指揮者としても才能のある人のようですね。指環の一部をユーチューブで見たことがあります。面白い演出と演奏でした。
 最近頻繁にバッハのカンタータを聴いています。世俗カンタータも教会カンタータも好きです。リヒター、ブリュッヘン、ガーディナー、アーノンクール、シュライアーなどできいてきましたが、今はブリリアントのバッハ大全集に入っているルーシンク指揮の演奏できいています。ルーシンク盤教会カンタータ全集は60枚組ですが、やっと五分の一強ほどを聴き終えたところです。

投稿: 越後のオックス | 2009年11月29日 (日) 06時51分

越後のオックスさん、こんにちは。
アサートンのシェーンベルク集は、レコード時代発売されたときに大いに話題になりました。
現代ものの専門家のようなレッテルを張られてしまったアサートンですが、立派な英国指揮者で、N響にきて、ディーリアスやラフマニノフを指揮してましたし、ブリテンのオペラのスペシャリストでもありますね。
素晴らしい指揮者だと思いますので、私も彼のシェーンベルクが欲しくなりました。(すぐに刺激されます~笑)

ヴォツェックは辛い内容の上演でしたが、素晴らしい音楽には言葉もありません。
ケーゲル盤もいいですね。
前にも書きましたが、カルロス・クライバーがどのくらい録音を残してるか気になるところです(EMI)

バッハのカンタータ、よいではないですか。
私も見習ってみたいですな。
でもリヒターとガーディナーの一部しかないのです。
コープマンにでも挑戦しようかと・・・・

投稿: yokochan | 2009年11月29日 (日) 17時18分

お早うございます。かなり残念なことがありました。最近65号をもって完結したデアゴスティーニの隔週刊DVDオペラコレクションにアバド&ウィーンのヴォツェックは収録されなかったのです。バレンボイムのヴォツェックは確か小学館のDVDオペラコレクションに入っていたのでデアゴはアバドになるのではないかと期待していたのですが・・・デアゴはイタリア系の会社だけにイタリアオペラのラインナップはなかなかのものですが、シュトラウスの歌劇がサロメとばらの騎士とアリアドネだけ、新ウィーン楽派系は一作もないというのは残念でした。ワーグナーの10大オペラを全部収録してくれたのなどには感心していたのですが・・・

投稿: 越後のオックス | 2012年3月18日 (日) 10時11分

越後のオックスさん、こんにちは。
デアゴスティーニのDVDオペラシリーズ、そうだったのですか。
クライバーのカルメンには驚きましたが、あの書籍スタイルはちょっとコレクション的に統一感なくなり、1枚も手にしたことがありません。
でも安いですね。
苦心して手にいれた1枚もあり、ここでも隔世の思いを味わいます。
アバドのヴォツェックは、LD以来出てないでしょうか・・・。
前にも書きましたが、NHK放送のビデオのDVD起こしで我慢してますが、そろそろマスタリングを施した鮮明なものが欲しいところですね。

投稿: yokochan | 2012年3月20日 (火) 13時28分

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