プッチーニ グローリア・ミサ コルボ指揮
こちらの教会は、都会のど真ん中にある「麻布教会」。
通りを一本中に入ると、静かな住宅街。
さらに進むとお金持ちがたくさんいらっしゃるエリアになってる。
カトリック系は、聖母マリア様もしっかり存在感があります。
教会の中庭から、マリア様を眺めると、六本木ヒルズがこんなにでっかくそびえておりまする。
手前のマンションがまた何とも・・・・。
右側に洗濯物が、それこそ沢山干してありましたので、カットいたしました(笑)
オペラばかりじゃないプッチーニを。
私のフェイヴァリット・オペラ作曲家を3人あげるとすると、一にワーグナー、次いでR・シュトラウスとプッチーニということになる。
え、ヴェルディは、モーツァルトはどうした?と言われそうだけど、しょうがありません。
いずれもそのオペラ作品は、すべてブログにて取り上げてしまい、そして何度も観て聴いてます。
プッチーニは、10作(3部作=1作品)あるオペラ以外は、知られていないと思うが、唯一美しい管弦楽作品を集めたシャイーの1枚が、多くのファンを持っているはずだ。
歌曲や声楽作品もそこそこあって、シャイーやドミンゴのCDをこれまで聴いてきた。
そんな中で、一番の大曲が、この「グロリア・ミサ」である。
1880年、21歳の作品。
名門音楽一族の出自であるジャコモ・プッチーニが作曲を始めたのは、15〜6歳の頃とされ、教会のオルガン奏者を務める傍ら、オルガン音楽を作っていたらしい。
ルッカで勉学中、音楽コンクールで「モテット」と「クレド」の声楽作品を出して優勝し、その素材を使って書かれたのがこのミサ曲ということになっている。
パチーニ音楽院の卒業作品でもあるこの曲が、5つの通常ミサ式文からなる45分の大作である。
オペラ作曲を夢見て、すでに名作「交響的前奏曲」を10代に残しているくらいだから、プッチーニ特有の甘くも切ないメロディラインと、それを十全に表現しつくす巧みなオーケストレーションもしっかり身に付けていて、どこを聴いてもプッチーニの音がする。
もちろん、マノン・レスコー以降の劇的な音や、巧みな描写力はここには聴くことができないけれど、親しみやすい旋律とフレッシュな感性に溢れたその音楽は、宗教曲であることを忘れさせてしまう。神々しさや神妙さのない、リリカルで心易きミサ曲。
テノールとバスの独唱に合唱という、プッチーニにしては、女声っ気のない珍しい編成。
1.キリエは、優しいオーケストラの旋律から始まる癒される音楽。
合唱も終始柔和な雰囲気で歌われるゆったりした展開である。
2.グロリアは、それだけで20分近くかかるが、さらにいくつかに分かれている。
その最初は、快活で喜ばしい合唱についで、祈りの歌となる。
次いで、テノール独唱が、まるでアリアのような聖句を歌い始める。
これは素晴らしい。
ロッシーニやヴェルディの宗教曲にもテノールのアリア風聖歌がありますね。
あんな感じ。
そのあと、冒頭の合唱の場面が繰り返される。
男声合唱により主導される力強い部分(Qui tollis peccata mundi・・・)が始まり、
対するオーケストラもなかなかダイナミックになってくる。
最後はアーメンで高らかに終わる。
3.クレードは荘重で、いかめしい雰囲気で始まる。ここも15分と長い。
やがて、テノールが合唱のうえに歌いはじめる。
イエスがマリアから生まれたくだりを神妙に歌う。
ピラトにより十字架にかかられ云々では、変わってバスが切々と深刻に歌う。
その後は、合唱が引き継いで、長々と歌い継いでゆくわけだが、このあたり、ちょっと
霊感不足で、やや印象が薄くなっているのは否めない。
4.サンクトゥスは、たった3分。合唱とテノールによるものだが、通常サンクトゥスには、
爆発的な歓喜を期待するものの、ここでは意外と大人しく。あっさり終わってしまう。
5.アニュスデイは、さらにアッサリしたもので、3分に満たない。
二人の独唱が、合唱のうえに、単純で親しみやすいアニュスデイを繰り返し歌う。
このデュエットは、旋律こそ違え、ロドルフォとマルチェッロを思い起こしてしまった。
静かに、やはりあっさりと終わってしまう、この優しく、小粋な終曲は悪くはない。
ちょっと、竜頭蛇尾の感のあるプッチーニのミサ曲。
でも、プッチーニを愛するものとしては、押さえておかなくてはならない憎めない作品でありました。
テノール:ウィリアム・ジョーンズ バス:フィリップ・フッテンロッハー
ミシェル・コルボ指揮 リスボン・グルベンキアン管弦楽団
〃 合唱団
合唱の神様とも呼ぶべき、コルボがリスボンのグルベンキアンを指揮したこの1枚、さすがに合唱が素晴らしい。
明るい基調で屈託ない歌声に透けるような明晰さ、オーケストラも精度はともあれ、同質の響き。
プッチーニの音楽には、こうした明るさと透明感があっている。
テノールのジョーンズは、ワーグナーやオテロを歌うようなドラマテック・テナー。
同名だからそうだと思っているが、ハンブルクオペラの来日でローエングリンを観た記憶があるが、声はもう覚えていない。
ここでは、ワーグナー歌いとは思えないリリカルな歌いぶり。
フッテンロッハーも定評あるところで、こうした曲はとてもうまいもんだ。
というわけで、気になったら聴いてみてください。
パッパーノや、シモーネは、豪華な歌手陣であります。
この曲の場合、あまりゴージャスな演奏はそぐわない気がしますね。
アマチュア合唱で楚々と歌われるのがいいのかも。
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コメント
隊長。
明日より、ヴォツック、カプリッチョ、藤原75周年の旅にでます。かみさんのおかげで、チケットすべて最前列でした。感謝。ヴォツック、初めてかと思いましたが、アバドの公演をNHKホールで行ったとかみさんに指摘され、半券が有りました。記憶が有りません。セットで行った文化会館でのランスは、当方の経験では、これ以上のものはないと、鮮明に憶えています。パルジファルも記憶が?魔笛はスミ・ジョーがいまいちだったのだけ、かみさんと一致しました。明日のヴォツック楽しみです。
投稿: Mie | 2009年11月20日 (金) 22時31分
Mieさん、こんばんは。
今回もまた、なかなか充実の音楽旅でございますね~
寒いですから体調管理に気を付けてください。
なんだか素晴らしい、かみさんですね。
我が家に棲まう鬼妻とは大違いでございます。
アバドのヴォツェックとランスを何故行けなかったか?
結婚したてで大変だった頃なのです。
ともあれ、よき観劇となりますことお祈りしております。
わたしは、明日、カプリッチョです。
投稿: yokochan | 2009年11月21日 (土) 01時23分
今日は。カプリッチョ観劇ですか!
羨ましい限りです。
プッチーニのミサ曲は昔から気になる存在
でした。ブログ主様が記事にされたので
ナクソス・ミュージック・ライブラリーなどで
その一部を視聴してみました。とても素敵な曲ですね。
でも確かに宗教的な感じはあまりしませんね(笑)
私もCDを購入したいと思います。
置き場所のことを考えると暗澹とした心境に
なってしまいますが・・・
投稿: 越後のオックス | 2009年11月21日 (土) 14時59分
越後のオックスさん、こんばんは。
カプリッチョに酔い、そして泣いてきました。
思いもようやくまとまり、記事にできました。
疲れましたが心地よいです。
プッチーニのミサ、聴いて損のない桂品ですよ。
投稿: yokochan | 2009年11月22日 (日) 00時49分