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2009年11月24日 (火)

R・シュトラウス オペラ管弦楽曲集 カイルベルト指揮

Operacity 東京新宿の「オペラシティ」。
コンサートホールへ続く階段であります。
左手が「新国立劇場」、右手は、オフィスと商業のビル。

この新国立劇場も、事業仕訳けの対象の中に組み込まれてしまった。

日本芸術文化振興会からの委託を受けた「新国立劇場運営財団」がその矛先となっているわけだ。
天下り云々とか言われても、われわれ音楽愛好家には関係ないこと。
そして、採算性だけで片付けられないのが、文化芸術ではありませぬか。
開場以来、12年に渡って、素晴らしい公演を外来に比べたら安価に提供してくれた。
最近は、故若杉さんの努力も実り、本当に観たい舞台が次々と繰り広げられ、満席の公演も少なくない新国なのだ。

ここでは、政治的なことは一切書きませんが、歴史上、芸術が政治に泣かされるということは何度もあったこと。
でも、芸術はそのつど立ち上がり、それを愛する人々とともに乗り越えてきた。
二期会の「カプリッチョ」のローウェルス演出は、そのあたりのことも感じさせること、しきりであった。

 民間団体との協調や地方への寄与などを増やし、その存在意義を音楽音痴の方々にもわかっていただかなくてがなるまい。
そして何よりも、若い聴き手を育てなくてはならない。

しかし、オペラを喜々として享受しているのは、私のような一部の人間だけ。
厳しい世相にあって、オペラは道楽としか見られないのも事実。
難しいものだ。

暗澹たる思いもあるが、いまは新国を応援することしかできない。
お世話になっております、Museum::Shushi Bis。こちらもご覧ください。


Keilberth_strauss 本日も、R・シュトラウス

シュトラウスのオペラの中には、そこだけ抜き出しても素晴らしいオーケストラ作品がたくさんある。
名交響詩をさんざん書いたあげくに、オペラに打ち込んだ人だけに、あたりまえである。

定番は、「サロメ」、「ばらの騎士」、「インテルメッツォ」、「影のない女」、「カプリッチョ」といったところ。
あと変ったところでは、「グンドラム」や「ダナエの愛」、「無口な女」、「エジプトのヘレナ」なども、なかなかいい前奏曲や間奏曲を持っている。

そして、代表盤としては、なんといってもプレヴィン盤。
一家に1枚ぐらいに、持って聴いて損のないCDだ。
そして、メータ、J・テイト、シノーポリ、ティーレマン、そして今日のカイルベルトなど。
カラヤンが、ここに録音を残さなかったのが不思議で、「サロメ」は何度も録音したけれど、「ばらの騎士」のワルツを指揮したことじたいがないのではないかしら・・・。
ベームもまとめた録音はないけれど、そこそこ演奏していた。

   「サロメ」~7つのヴェールの踊り
   「ばらの騎士」~1幕・2幕のワルツ、3幕のワルツ
   「インテルメッツオ」~4つの交響的間奏曲
   「無口な女」~前奏曲(ポプリ)

    ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団
                          (1961? ミュンヘン)

カラヤンと同年生まれの、ヨーゼフ・カイルベルト
地味な存在だったが、若くして亡くなってしまう直前まで、N響によく来演していた。
享年60歳だから、もっと長生きしていたら、指揮者界はもっと変わっていたはずだ。
カイルベルトは典型的な劇場たたき上げのカペルマイスターで、トリスタンを指揮中に亡くなるという、まさに劇場とともに生きた人生だ。

R・シュトラウス直伝ともいえる、このオペラ管弦楽作品集は、バイエルン・シュターツオーパーを振っていて、派手さの一切ない、実質的な音楽運びのなかに、シュトラウスの歌心がキラリと光っている。
録音はやや古びていて、高音が耳につくが、ミュンヘンのオーケストラに特有の暖かみある音色は、しっかり顕在。
そして、昨今のオーケストラの音が軽く感じるほどに、重厚な響き。
これは、カラヤン時代のベルリンフィルを聴いても感じることだ。

それにしても、「インテルメッツォ」の間奏曲たちは、ほんとに素敵な音楽だ。
洒脱さと、勢い、情熱と美しい歌にも満ちている。
それと、あまり知られていないけれど、ポプリと題された「無口な女」の前奏は、センスあふれる洒落た音楽であります。

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コメント

 今晩は。カイルベルトがこの手のシュトラウス・オペラ管弦楽曲集を残していたことは知りませんでした。「無口な女」前奏曲はヤノフスキでしか聴いたことがありませんが、なかなか素敵な曲ですよね。ばらの騎士の作曲のワルツもカイルベルトの渋い演奏で聴いてみたくなりました。ばらの騎士のワルツは1幕と2幕のワルツをメータ&ベルリンフィルの演奏でしか聴いたことがありませんが、カイルベルトの辛口の演奏も聴いてみたいですね。ブロムシュテット&ゲヴァントハウスの渋い演奏もあったはずです。

投稿: 越後のオックス | 2009年11月24日 (火) 23時24分

ばらの騎士の作曲のワルツ→ばらの騎士のワルツです。
申し訳ありません。

投稿: | 2009年11月24日 (火) 23時26分

越後のオックスさん、こんばんは。
ご指摘のとおり、カイルベルトは渋いバラキシを聴かせておりますよ。
ブロムシュテットも欲しいのですが、正規盤で高いですねぇ・・・。
あのジャケットも魅力ですし、ティボーデの弾くブルレスケもよさそうです。

投稿: yokochan | 2009年11月25日 (水) 00時30分

こんばんは。
なんと、私のブログを取り上げてくださってありがとうございます。大変光栄です。新国の予算問題、おっしゃるとおり難しいですけれど、直視していかないといけません。私も微力ながらなにかできればいいのですけれど。
インテルメッツォの間奏曲群は大好きです。私もプレヴィン盤を持っています。全曲盤はサヴァリッシュ盤のルチア・ポップで感涙です。若杉さんの指揮&釜洞さんの実演も思い出深いです。

投稿: Shushi | 2009年11月25日 (水) 22時10分

Shushiさん、こんばんは。
この問題をようやく気付かせてくれたのが貴ブログの記事です。
まったく困った問題ですが、折り合いをどこかでつけなくてはいけないのでしょうか・・・。
 インテルメツォの上演は、私はチケットを持っていながら行けなかった因縁の公演です。
いまさらながらに残念です。

投稿: yokochan | 2009年11月26日 (木) 00時50分

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