R・シュトラウス 「最後の4つの歌」 ルチア・ポップ
2009年も最後の一日。
日本でも有数の観光立地、横浜の大桟橋の付け根あたり。
長方形のモニュメントが、とてもいいアクセントとなってる。
少し位置を桟橋の方へかえて。
あの観覧車ができたとき、YES89の横浜博だった。
移転はしているが、20年前。
消費税が導入された年だったし、そい言えば、わたしゃ、新婚さんだったわい。
まだまだ若いわたしだった。
無為に年輪を重ねて、また新しい年を迎えてしまう。
誰にもやってくる暦(こよみ)。
でも悪化するばかりの社会環境。
よい年は、特定の人々にしかやってこない、ここ数年。
あと数時間で、また違う暦が巡ってくるけれど、また新年の記事を起こす自分も含めて、節目には新たな気分を醸し出したいものである。
そりゃそうと、昨日の歌謡曲の方の「レコード大賞」がなんで、新国立劇場でやってんだ?
NHKホールはともかく、中劇場だけど、オペラ愛好家の殿堂なのに・・・・・・。
ま、いいか・・・・。 ここ数年、大みそかには、この曲。
R・シュトラウスの「最後の4つの歌」。
ただでさえ好きなR・シュトラウスの音楽の中にあって、15のオペラとともに、オーケストラ作品以上に愛する歌曲集がこの音楽。
R・シュトラウス(1864~1949)最晩年の作品であるが、歌曲を大量に作曲したシュトラウスとしては、実に20年ぶりくらいの純粋歌曲集なのであった。
その間、わたしにとってのシュトラウスの黄金時代のオペラ創作期が続いたわけである。
毎年書いてるかもしれないけど、ともかく美しく、キレイな4つの歌曲は、大オーケストラを伴いながら、リリカルなソプラノを要するシュトラウスの辞世の音楽でもあるのだ。
前向きかつ、気真面目なシュトラウスは、死を前にこの歌曲をものしたわけでもなく、85歳で亡くなりはしたものの、まだまだ、音楽にたいする情熱は持ちあわせていて、あとほんの数年生きてさえしてくれたならば、オペラがもうひとつ出来上がったかもしれない。
しかし、「最後の4つの歌」ほど、美しく繊細で、聴く人の心の提琴にふれる音楽はないだろう。
数々のソプラノが、レパートリーとし、録音も数々行われているけれど、やはりある程度の場数を踏んだ歌手が、その人生を映し出すかのように、しっとりと歌いこんだものがいい。
われわれが愛したソプラノ、ルチア・ポップは2度、正規に録音している。
1度目は82年、43歳の壮年期のこちらの録音。
2度目は93年、54歳、彼女最後の年の録音。
この録音歴を見て深い思いにとらわれざるを得ない。
60年代から録音活動の豊富な彼女。
70年代後半から80年代前半にかけて、その声もリリカルなスーブレット・ロールから、リリコそしてスピントへと変貌をとげていった。
80年代後半以降は、ゾフィーからマルシャリン、ズデンカからアラベラ、スザンナから伯爵夫人へ、ステップアップ。
そうした声の移り変わりを、これらふたつの録音で味わえるのだ。
どちらも好きなポップだけど、今日は1回目の録音。
テンシュテットとロンドン・フィルの蜜月時代。
一連のマーラー録音の最中であったと思われる。
濃密感は適度でありながら、抒情と透明感に心を配ったテンシュテットの指揮。
優しく、人の心にひたひたと浸透するかのような印象深いポップの歌声とともに、最高のシュトラウス演奏であります。
ともに、いまは亡き音楽の導き手たち。
かれらを召してしまうなんて、神様はほんと残酷だ。
1.「春」(ヘッセ)
2.「9月」(ヘッセ)
3.「眠りにつくとき」(ヘッセ)
4.「夕映えに」(アイヒェンドルフ)
「夕映えに」の最後に、あたかも夕空に鳥たちが飛び立ってゆくかのような音楽を聴くとき、諦念とともに、明日も、きっとくる希望も見出すことができる。
前向きに、前向きにいきましょう!
シュトラウスの書いたあまりに素晴らしい音楽には言葉もありません
この曲を初めて聴いたのは、1975年だった。
FM放送された、ハーウッドとシュタイン&ウィーン響のもので、いまは消失してしまったが、ハーウッドの美声とウィーンの独特の響きを引き出すシュタイン。
すごく聴いてみたい。
それと同時期に聴いたのが、マティスと夫君のクレーのN響ライブ。
昔のことばかりですんません。
ごく最近聴いて、素晴らしかったのが、F・ロットとシノーポリ&ウィーンフィルのライブ。
この気品あふれる凛とした「4つの最後の歌」は、最近聴いたなかでは出色のもの。
ほかのカップリング曲とともに、近々ご紹介します。
これは「爆演堂」さんで扱っております。
さて、みなさま、1年間どうもお世話になりました。
数時間後の、2010年も、どうぞよろしくお願いいたしますと申し上げますとともに、いつも、ご覧いただき感謝感激の次第でございます。
ではでは、はここまでということで。
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