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2009年12月25日 (金)

ヘンデル 「メサイア」 シュナイト指揮

Azabu3 都心のカトリック麻布教会。

六本木と西麻布の中間。
こんな静謐な教会がひっそりとあります。

平日に伺ったが、この日も、集会が開かれておりました。

場所柄、結婚式などにも利用されているけれど、平常の宗教心が根付く教会は清々しいものだ。
ヘンデルは、英国国教会。
シュナイトさんは、プロテスタント。
同じキリスト教でも、三様となってしまった本日であります。

Messiah_schneidt ヘンデル「メサイア」は、邦名は「救世主」。
最近は、こんな風に決して呼ばれない。

私が、初めてこの曲を聴いた頃は、「救世主」だった。
そして、サブタイトルとして「メサイア」になってた。

またまた昔ばなしだけど、この作品のレコードは、ほんと限られていて、70年代前半では、クレンペラー、リヒター(独語版)、ビーチャム、サージェント、デイヴィス、シェルヘン、バーンスタイン、オーマンディ、ゲール、リヒター(英語版)などなど。
ほんと、限られていた。
ところが今や、古楽器によるもの、ピリオド奏法によるもの、コンサートスタイルによるもの、宗教感あふれるもの、などなど、百花繚乱。
数にして、100以上の録音があふれるようになった。

演奏の多様化がもたらしたという意味では、バッハも同じ。
でも、英語という万人的なテキストに加え、ハレルヤ・コーラスを代表とする合唱音楽として、アマチュアをはじめとする我々への歌える素材としての存在も極めて大きい。

ヘンデルは、合奏協奏曲とかオルガン協奏曲がよく聴かれていたけれど、最近は、オラトリオやオペラの興隆が著しい。
ことにオペラは、斬新な演出が施されて、世界中で上演されるようになった。
ヘンデルは、オペラとオラトリオの人なのであります。

1742年にダブリンで初演されて以来、メサイアは英国で爆発的な人気を呼び、すぐにヨーロッパ諸国へ広まっていった。
 歴史劇を扱うオラトリオであれば、主人公や登場人物たちがしっかり登場するのであるが、「メサイア」は登場人物のいないオラトリオであり、イエスは3人称で語られる。
詩篇や福音書、手紙などからテキストを得て、3つの部分はそれぞれ、「預言と降誕」「受難と復活」「栄光・救いの完成」となっている。
内容は、かなり宗教的なのである。
 そして、クリスマスシーズンに相応しいのは第1部だけとなるが、無宗教のなんでもありの国民が、キリストのことを音楽を通してだけでも考えてみるのに、最良の音楽であろう。

こんな超名作に、愛するハンス・マルティン・シュナイトの日本での演奏の音源が残されていることが、極めてうれしい。
今年は、シュナイト師が日本において、その指揮棒を置いて引退した年である。
手兵神奈川フィルとの渋いが、充実を極めたブラームスとブルックナー。
そして、エヴァンゲリストに自らなってしまったかのようなヨハネ。
横浜で不調を押して指揮した壮絶なシューマン。
オペラシティで、元気に登場して神がかり的なロ短調ミサを聴かせてくれた9月。

音楽を愛する者として、生涯忘れえぬ体験をさせていただいたことに、感謝の想いしかない。

そのシュナイト師が日本でずっと合唱音楽を指揮し続けるようになったのが、師の名前を冠したシュナイト・バッハ管弦楽団と合唱団の結成だ。
1998年に、東京フィルハーモニーを母体に、コンサートマスターの荒井氏が中心となって結成され、東フィルから神奈川フィルを交えて、シュナイト師の意思を貫いた有機的なオケと合唱団として活動した。
それが今年のシュナイト指揮による「ロ短調ミサ」によって活動の幕を下ろしたのである。

       S:田島 茂代    Ms:寺谷 千枝子
       T:辻 裕久      Br:河野 克典

     ハンス=マルティン・シュナイト指揮 
                シュナイト・バッハ管弦楽団/合唱団
                          (2000.12.4@みなとみらい)

シュナイト・ファミリーともいえる歌手の皆さん。
素晴らしいの一言。
リリカルで清純なソプラノの田島さん、輝くばかりに深みがあって、ビロードのようなメゾの寺谷さん、英国音楽の徒・辻さんの日本人離れした透明感ある声、日本のFD=河野さんの瑞々しいバリトン。

合唱も薫陶よろしく、よく歌いこんでいて見事であります。

そしてシュナイトさんの、音楽の呼吸のよさはどうだろう。
演奏者にも聴き手にも、理想的なテンポ設定で、どこをとっても心地よい。
この時分では、まだあの極端なまでにゆったりとしたテンポはとられておらず、ジャケット写真を見ると、立ったままの指揮ぶりで、ときおりドタドタと足を踏みならす音が盛大に収録されているのもご愛敬。
シュナイトさん、元気すぎ。
 メサイアは合唱曲も素晴らしい曲が散りばめられていて、その言葉ひとつひとつ、音符のひとつひとつに心が込められていて、そのこだわり具合にこそ、シュナイトさんの本領が聴いてとれる。1部の明るさ、2部の痛切感と深淵さ、3部の荘厳。

2部から3部が、シュナイト・メサイアの真骨頂であろうか。
音楽の緩急が激しくなり、かなり熱を帯びてきて、ハレルヤコーラスとアーメンコーラスでそれぞれ爆発する。
 ライブでそこに居合せれば、手に汗握って興奮してしまったことであろう。
シュナイトさんの音楽は、やはりライブが一番。
CDには収まりにくい音楽なのであろう。
それでも、このメサイアの完成度の高さは、ソリストの素晴らしさも相まって、相当なもの。
大切なCDが、またこうしてひとつ生まれた。

Azabu1

カトリック麻布教会のステンドグラス。

Azabu_church4 

昼間の様子。
まぶし~い。

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コメント

こんばんは。2009年はヘンデル没後250周年ですが、残り少なくなりましたね。
手持ちの「メサイア」はピノック、イングリッシュ・コンサートと古楽器でありながら1988年録音。割りと古くない。「メシア」の英語版からきて「メサイア」となった経緯がありますね。ヘンデルの影響はメシアンまでに広まっていますね。
フィギュア・スケート全日本選手権大会女子SPの真っ最中です。バンクーバー五輪の切符を手にするのは誰なのかしら。
「ハレルヤ」で来年の日本は晴れるやと行きたいところですね。

投稿: eyes_1975 | 2009年12月26日 (土) 19時54分

eyes_1975さん、こんにちは。
ヘンデル250周年のことを忘れてました。
ダメですね(笑)
ピノックのメサイアはまだ聴いたことがないのですが、定盤として評価が高いですね。
やはり英国の演奏が多いようです。
昨日は、忘年会で見れませんでしたが、女子フィギア、みんなバンクーバーに行ければよいのですが。
音楽も楽しみです。

天気は関東は連日「晴れ」ですが、世間は連日「曇天」。
おっしゃるとおり、来年は「晴れ」といきたいです。
「ハレルヤ!」

投稿: yokochan | 2009年12月27日 (日) 11時29分

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