ワーグナー オペラ合唱曲集 W・ピッツ指揮
銀座4丁目の交差点。
これはまた由緒ある東京の顔的風景にございます。
子供のころ、神奈川の田舎町に育ち、父の職場と親戚が都内にあったものだから、たまに東京へ連れて行ってもらうと、ともかく眩しかった。
床がまだ木で出来ていた湘南電車に乗って。
家にあった雑誌に、この交差点の写真があって、ネオンサインが美しくて、憧れたものだ。
私のイルミネーション好きは、このあたりから始まったようだ(笑)。
老舗バイロイト、こちらは州政府から補助金がいくら出ているか知りませんが、ワーグナーという巨大な存在ゆえに恒久的な劇場に思われます。
しかし、意味は違うけれど、政治の道具として使われ、そこから脱却するのに、ワーグナー家とワーグナーファンが必死になった歴史がある。
今や実験劇場として、進化を続けているのも特筆大であろう。
その戦後の新バイロイトの強力合唱団を作り上げたのが、ウィルヘルム・ピッツ(1897~1973)である。
その経歴をちょっと調べると、ヨアヒムやF・ブッシュの名前が出てくるところがすごい。
そして、フルトヴェングラーやクレンペラー、カラヤンらのEMI録音の合唱作品には、ピッツの名前が必ず出てくる。
ドイツ系の合唱の神様と言っていいかもしれない。
そのピッツが、ワーグナーのオペラのなかの合唱曲を、バイロイトのオーケストラと合唱団を指揮してDGに録音したものが今日の1枚。
「さまよえるオランダ人」~水夫の合唱(Ⅰ)、糸巻きの合唱、水夫の合唱
「タンホイザー」~入場行進曲、巡礼の合唱、最終場面
「ローエングリン」~ローエングリンの登場の場、エルザの聖堂への入場
結婚行進曲
「マイスタージンガー」~ザックスを讃える歌、最終場面
「神々の黄昏」~ギービヒ家の家臣の合唱
「パルシファル」~聖餐の合唱
ウィルヘルム・ピッツ 指揮 バイロイト祝祭管弦楽団
バイロイト祝祭合唱団
アルト独唱:エリザベート・シュレーテル
ハーゲン:ヨーゼフ・グラインドル
(1958.バイロイト)
この廉価CDに、録音データはないが、58年のバイロイト音楽祭前後のものと思われる。
この録音から、レコードやCDで慣れ親しんだバイロイト祝祭劇場の響きがするからである。ちゃんと第一ヴァイオリンが右から聴こえるし。
録音のせいか、合唱団が遠く、その人数も少なめに感じる。
だから他のバイロイト録音に聴く、オケともどもに地響きするような圧倒的な響きは聴くことはできないけれど、人間の声の集まりが実に有機的に、そして立派な登場人物のように、存在感をもって聴こえる。
イキイキとした、その雰囲気のよさは抜群である。
おまけに、黄昏からの場面では、名ハーゲンのグラインドルの力強い「ハイホー」以降の歌がしっかり聴くことができる。
ベームの全曲盤の9年前のグラインドルの声は全盛期のものであって、すごいものだ。
断片とはいえ、合唱だけの、こうしたワーグナーの聴き方もありで、とてもいいもんだ。
こうした企画は、お金もかかるし、これからも無理なんだろうなぁ。
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コメント
はいはい^^このピッツ先生のワーグナー集!持ってますよーーー!というか愛聴してますよー!理由はいつもと同じ、レコード時代に廉価盤だったからです。若かった私はタンホイザーの大合唱を聴いて、いつも大興奮(今も同じです)。その後、ウィーン国立歌劇場でタンホイザーを聴き、いよいよ大興奮。(ちょっとイヤミでした、、、)中高年になってからは序曲とか巡礼の合唱を好きになってくるという、これまたベタなくらい典型的といいましょうか、大衆的といいましょうか、クラシックファンなのです。クラオタにはまだまだ至りません。CDはまだ購入していないので、さまよえる様のこの書き込みを見て、LPを取り出して、この当時特有の独グラムフォンのお家芸ともいえるドンシャリの音質のワグナーを楽しみます^^この10年くらい聴いていなかったワリには、レコードがすぐに出てきたりします。
投稿: モナコ命 | 2009年12月18日 (金) 17時53分
モナコ命さん、こんにちは。
ウィーンでタンホイザーを観たのですか!
チョーうらやましいです。
入場行進大合唱、序曲、巡礼合唱、これらはタンホイザーの基本にございますね。
私も日々、ワーグナーに興奮しまくりの中高年でして、時間がいくらあっても足りません。
確かにドンシャリ感ありますね~
でもしっかりバイロイトの音がしてるところが嬉しいのであります。
投稿: yokochan | 2009年12月19日 (土) 15時22分