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2010年1月 7日 (木)

シューマン 交響曲第1番「春」 クーベリック指揮

Fuji_201012 2010年1月2日の富士山
日も傾き、西日が眩しくて雪の白も飛んでしまった。

シルエットだけでも美しい富士山です

Ume そして、実家の庭には、紅梅の蕾がほころんできております。

春はまだ遠いし、寒い冬はまだ続くけど、気分は春

雪の降る地域の皆様には申し訳ありません・・・・。

Schumann_sym1_kubelik

本題に入る前に、気になるニュース。
小澤征爾さんが、食道がんということで、記者会見を今日7日行った。
早期発見ということで、治療にのぞんで、夏までの6か月間の活動休止。
今の医療からしたら、まず大丈夫でありましょうが、心配なことであります。
なんといっても、世界の小澤は、わたしたち音楽愛好家の小澤さんでもあるから。
 私はいやでも、胃がんを克服した、小澤さんの朋友、クラウディオ・アバドを思った。
そしてアバドが、そのあと異常なまでの音楽表現の高みに凄味をもって上り詰めたことを。
小澤さんの、本復とそのあとの活躍を切にお祈りいたします

さて、本題の「新春さわやかシンフォニー」は、おそらく大方の予想通りのシューマンでした。
交響曲第1番 変ロ長調「春」であります。
メンデルスゾーンの1番もそのさわやかさでは、負けていないが、今年のシューマン・イヤーも鑑み、こちらを選択。
そして、久しぶりに聴くと、やっぱりいいわ、シューマンの交響曲。
聴くなら最近は、2番か4番で、ほかの2曲、特に「ライン」は何だか苦手意識があって、ジュリーニとロスフィルのカリフォルニアサウンドをもってしても、鳴りの悪さやとってつけた5つの楽章の配列がどうもいけなかった。
そんな私がびっくりしたのが、シュナイト&神奈川フィルの南ドイツ風でかつ祈り溢れる名演奏。
1番の同コンビの演奏は聴き洩らしてしまった私。
イメージの中にあるのは、実は、30年以上前の高校時代に聴いたレコード。
それが、クーベリックベルリン・フィルの演奏。
一般的には、後年に録音されたバイエルン放送響のCBS録音でしょうが、私にはベルリン・フィル盤の方が耳になじんでいるんだ。
というか、バイエルン盤は持ってないし聴いたこともないイケナイわたくしなのです。
シューマンのイメージからすると、ふくよかで柔らかなバイエルンや、いぶし銀のドレスデン、マイルドなウィーンなどを脳裏に浮かべてしまうが、ベルリン・フィルは、その機能美ゆえにシューマンがシューマンらしくなく、美しく飾りたてられてしまう感がある。
(カラヤンの全集ゆえであるが、カラヤン再評価中のわたくしとしては、カラヤンのシューマンも克服しなくてはならないのであります)
 そんなベルリン・フィルを虚心に指揮して、たくまずしてシューマンの馥郁たるロマンティシズムと、ぎくしゃくしたオーケストレーションの面白さを描きだしてしまったのが、クーベリックなのだ。

イエス・キリスト教会の録音と思われる響きのよさと芯の強さは、まさに60年代のベルリン・フィルの音。当時の特徴的な木管の音色は、カラヤンの数々の演奏で慣れ親しんだものだけど、クーベリックが指揮すると、ほのぼのとした自然の息吹を感じる。
この演奏で素敵なのが、第2楽章の緩やかな歌に満ちた晩歌。とてもビューティフル。
それと第3楽章の思いきりテンポを落として歌われるトリオとその終結部。
第4楽章へのゆったりとした橋渡しも、昨今のキビキビした演奏からは、まず味わえないもの。ホルンの光沢ある音色もまさに、ベルリンフィル。
第一級のオーケストラから、ちょっと鄙びたサウンドを引き出してみせたクーベリックの人間性がうかがえますな!

1841年、シューマン31歳の作品。
日本は江戸は天保年間。天保の改革は水野忠邦さんだったでしょうか。
池波正太郎の世界でありますよ。
その時分にシューマンは、ロマンあふれる作品を次々に繰り出していたのございます。
春の始まり~夕べ~楽しい遊び~たけなわの春、といった楽章ごとに副題があるけれど、あんまり気にしなくても、季節の幸せが横溢しているのを、どなたも感じ取ることができるはず。
久しぶりに、懐かしい演奏を聴いたのは、外盤廉価CD。
DGのオリジナルでも復刻していて、音はそちらの方がいいかも。

Osechi 特別公開、実家の「おせち」酒宴。
3日とも異なる料理、いや我が家系にとっては「つまみ」が供せられ、夜はずっと飲み続けるのだ。
 お年頃の姪っ子たちもやたら飲むし、老母も強い。
我が子も強い(あれっ??)

敷物が、もらいものペルシアの敷物で、まがまがしいですなぁ。
豚もいるし。

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コメント

こんばんは。シューマンはピアノの詩人のイメージが強く、管弦楽に抵抗がありました。「交響曲」はカラヤンから聴いたのですが、バーンスタイン、ウィーン・フィルとサヴァリッシュ、シュターツカペレ・ドレスデンの「全集」も購入。サヴァリッシュのが私には合っているような気がします。その「全集」に「マンフレッド」序曲が併録されてました。とくに「ライン」なんかはマッチしているような気がします。
2007年に購入したメータ、ウィーン・フィルの「全集」には「マンフレッド」「ゲノヴェーヴァ」序曲が併録されてました。デッカのオーストラリア輸入盤ならではの特権です。国内でも出ていたが、いずれの「序曲」は入っていなかったのか得した気分です。また、「春」はメータのがぴったりではないかしら。
クーベリックのはオーストラリアから出てたのですね。廃盤だったのか、気になってました。
節分には豆まきですが、立春の後も寒いです。政界、角界の鬼は早く出て行ってよ。

投稿: eyes_1975 | 2010年1月 7日 (木) 23時00分

(=゜ω゜)ノこんばんは。やって来ましたよ!!!
シューマン予告をされて帰られてからは、もう、ひとひねりのシューマンってなんだろうと・・・
確かにクーベリック/ベルリン・フィルとはひとひねりですね。
バイエルン放送響との方が評判はいいみたいですが、このベルリン・フィルも私は好きです。

本当に春らしいさわやかな曲です。
キャンディーズの歌じゃないんですけれど、
雪が溶けて川になって流れて行きます♪
っていう情景がはっきりイメージできるような気がしませんか?
トライアングルが実に絶妙で、氷が割れて溶けていくというかとにかく冬が終わって春が来るんだと喜びに溢れた名曲です。

やっぱりシューマンは永遠の春オトコです!!!
だから自分に秋を感じたらすぐに死んじゃったし、でも秋オトコのシューマンも私は好きなんですけれどね。
でも、シューマンはやっぱり春ですよ。
なんだかぜんぜんわからないコメントになりました。

それにしてもスッゴイお料理です。
来年はぜひ招待してください。ウソですよ!
実はウチの娘も強いです(笑)

投稿: はるりん | 2010年1月 7日 (木) 23時36分

eyes_1975さん、こんばんは。
私も実は、シューマンのオケ曲が苦手で、ゆえに粘っこい演奏ばかり持ってます。
バーンスタインにエッシェンバッハです。
しかし、こちらのクーベリックやハイティンクの素直な演奏を聴いて、シューマンの良さを味わうようになりました。
サヴァリッシュもその仲間ですね。
そして、メータもウィーンの魅力もあって3番しか聴いてませんが、魅力ありますね。
ショルティとメータが欲しいと思ってます。

世の中には、鬼が多いですねぇ。
鬼退治をする英雄も出ない世の中です。。。

投稿: yokochan | 2010年1月 8日 (金) 00時12分

はるりんさん、こんばんは。
シューマンの達人のはるりんさんには、予告倒れの内容になってしまいました。。。
ベルリンフィル盤をお聴きの方は、あまりいらっしゃらないと思っていたのですが、さすがは、はるりんさんです。
いったいぜんたい、交響曲に限ればシューマンはいくつお持ちなのでしょうか?
私のワーグナーと同じなのですね(笑)

シューマンは、交響曲よりは、ピアノや声楽が好きですが、今年はこの機会に乗じて、いろんな演奏が聴いてみたいです。
そうそう、シューマンのトライアングルのちんちろは、まさに春ですねぇ。
季節に応じてシューマンの楽しみもあります。
その点は、シューベルトもおんなじですが、あちらは「冬の旅」や「未完成」の世界。
シューマンは「詩人の恋」や「春」の世界。
どちらもイイ!
これだから、音楽は止められない。

はるりんさん、一家と合流したら、たいへんなことになってしまいますぞ(笑)

投稿: yokochan | 2010年1月 8日 (金) 00時31分

 お早うございます。
小澤さんの病気のこと昨日ネットで知りました。
小澤さんは日本の宝です。一日も早く元気になられて
素晴らしい演奏を聞かせて欲しいものです。
アバドやクレンペラーだって事故や病魔から不死鳥のように立ち直って帰ってきたのですから。
さてクーベリックのシューマンですが、私はバイエルンを指揮した1番と3番しか持っておりません。ベルリンフィル盤は未聴です。確かにオケも録音もDG&ベルリンフィルの方がシューマンには向いていそうですね。
でもバイエルン盤も決して悪くはありませんよ。
シューマンの交響曲全集はカラヤンとマリナーのものを
持っています。重厚華麗なカラヤンも軽やかで優しいマリナーもどちらも素晴らしいシューマンです。
レニーとウィーンフィルの1番と4番も持っています。
レニーはシューマンやマーラーやアメリカ音楽で本領を発揮する人だと思います。
クーベリックのCDはかなりもっておりますが、
ローエングリン全曲なんかがいいですね。
マーラーだと2番、6番、7番、8番などがいいです。
速めのテンポでキビキビした演奏が耳に心地よいです。
クーベリックはレニーやショルティやアバドやハイティンクと並ぶ20世紀最良のマーラー指揮者の一人だったと思います。クーベリックとは無関係ですが、ナクソスから出ているヨハネス・ヴィルトナー指揮のシューマンの序曲集は選曲も演奏も録音も素晴らしいですよ。
シラーの戯曲に題材をとったメッシーナの花嫁序曲なんか最高ですね。

投稿: 越後のオックス | 2010年1月 8日 (金) 09時07分

yokochanさん、こんにちは

すごいご馳走ですね
うちでは冷やし中華などを食べさせられました(;´_`;)

富士山。さすがに雄大ですね
うちの近くでも昨日はすごく綺麗な富士山を拝めました

投稿: 天ぬき | 2010年1月 8日 (金) 10時52分

この曲はいいですねぇ。大好きなんですよ。
とはいってもシューマンの交響曲はどれも大好きで、でもラインはちょっと苦手なんです。シュナイトさんの以外は。
クーベリック、ベルリンの旧盤でエントリですか。
この曲は私はサヴァリッシュが好みですがスイトナーの初稿での演奏がこれがまた魅力的で、「さわやかシンフォニー」とはちょっと距離があるかもですがロマンティックでいいと思うのですがいかがです?。

投稿: yurikamome122 | 2010年1月 8日 (金) 12時18分

越後のオックスさん、こんばんは。
小澤さんは心配ですが、強い方ですので、わたしは楽観視してます。
年代的にいろいろ出てくる頃で、ここを乗り切れば長老大家への道がしっかり用意されていると思います!
クーベリックのマーラーは、いくつか聴いてますが、不思議なことに1枚も持っていないことに気がつきました。
全集がてっとり早いですが、クリムトのジャケットで1枚1枚揃えてみたいです。 これまた欲望を押さえなくてはなりません(笑)それより、バイエルンとベルリンの聞き比べなんぞもよいです!

シューマンの序曲集がそそられます。
メッシーナはメータが録音していた記憶があります。いずれにしても、ブログをやってると、日々そそられて、欲しいものが増えるばかりです。
わたしも、皆さんを刺激しちゃってるんでしょうねぇ〜

投稿: yokochan | 2010年1月 8日 (金) 20時42分

天ぬきさん、こんばんは。私的食卓をお見せしちゃってすいません。
食べれる、飲めるということは幸せなことであります!

わたしの実家からは、頭の方しか見えず、少し車を走らせないといけません。
冬の晴れた日は、千葉や埼玉からもよく見えますね。

投稿: yokochan | 2010年1月 8日 (金) 20時48分

yurikamomeさん、こんばんは。
シューマンの交響曲は奇数番が苦手なのですが、刷り込みのクーベリック・ベルリン盤とハイティンクはすんなり聴けます。
スウィトナーは、前から聴いてみたい全集でして、シューマン奥手としては未聴のままなのです。
いかんことです。
N響とのライブを私家CDRにしつあったはずですが、初稿版ゆえ正規録音をきいてみたい気分が高まってます!

投稿: yokochan | 2010年1月 8日 (金) 20時58分

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