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2010年1月22日 (金)

ラフマニノフ 交響曲第1番 尾高忠明指揮

Cake テレビを見ていたら、今日22日は、「ショートケーキ」の日だというそな。

カレンダーで、22日の真上は、15日。
そう、イチゴが乗っかってます、ということで、ショートケーキ。
毎月、22日はショートケーキじゃけんね

酒も甘いものも好きの両刀(両糖?)使いのワタクシですから、ケーキは大好きでありまして、さすがに日本酒やビールとは難しいけど、ウィスキーや焼酎を飲みながら食べれちゃう。
でもそれはかつてのお話。
いまは、大人しくイチゴをついばむのみ。
先日のクリスマス・ケーキも、そのほんの一口と、包丁に付いた生クリームをひと舐めで我慢。
翌日帰ったら、もう何も残っておりませなんだ。悲しいお父さん。。。。

Rakhmaninov_sym1_otaka

今日は、昨日までのベートーヴェンとうって変って、ラフマニノフであります。
そう、ベタベタなんです。
でも、ベートーヴェンを毎日集中して聴いて、とてもよかった。またミニ特集やりたいです。

ラフマニノフを得意にしている尾高忠明さん
いまや、もっとも多忙な指揮者のひとりとなっている。
先だっても、N響の正指揮者に就任したばかり。
若杉さんの逝去に伴って、というかいずれは、そのポストに着くものと思われたが、早まっただけ。
さらに、メルボルン響の首席客演就任のニュースもある。

札幌交響楽団の音楽監督はずっと維持してもらいたいし、日本の各オーケストラにも名誉ポストを数々持ち、来シーズンからは、いよいよ新国立劇場の芸術監督に正式就任される。
新国の来シーズン演目は、期待通りと予想通りで、喜びとがっかりが相半ば。
10演目中、新演出が3つ。他劇場からの借用が1つ。あと6つが再演。
年末年始をはさんだ鬼才マクヴィカーの「トリスタン」は、大野指揮にバイロイト級の歌手たちで、世界第一級の上演になることは必至。
アルロー演出の「アラベラ」に、若手歌手ばかりの「コシ」のそれぞれ新作も楽しみ。

 でもやはり、例の事業仕訳の魔の手による予算削減から、再演ものは、日を置かずに取り上げられるものや、有名定番、簡潔舞台作品などが名を連ねる結果となった。

 英国を中心に、世界楽壇にチャンネルを持つ尾高さんの経験値がどのように生かされてゆくか、むしろその次の年度が楽しみであり、予算削減の波の中でいかに手腕を発揮されるか注目であります。

尾高さんが、桂冠指揮者を務めるBBCウェールズ交響楽団(現BBCウェールズ・ナショナル管)とは、もう20年以上の付き合いで、もっとも得意とするエルガーやラフマニノフ、グラズノフなどの交響曲録音がなされたのは、日本人として誇るべきことに思う。
小澤さんや、若杉さんとは異なるユニークな活動であったから。
プロムスでBBC本体のオケを振ってエルガーを指揮した初の日本人なのであります。

尾高さんのラフマニノフは、第2番が完璧なまでに素晴らしく、エルガーの1番とともに、毎年各地で指揮をし続けていて、そのたびに圧倒的な名演をなしとげている。
2番は当然として、3番は実演で聴いたものの、交響曲第1番は尾高さんの指揮でまだ聴いたことがなくて悔しい。。

有名な2番に先立つこと10年前に書かれた1番は、ラフマニノフ22歳の意欲漲る作品だったが、グラズノフ指揮による初演が大失敗に終わり、自信消失。
以来顧みられることなく、スコアも消失してしまい、戦後まで復活することはなかった。
 そんな日陰者だけれども、この交響曲は、ラフマニノフらしさ、すなわち、甘味な旋律とほの暗いロマンティシズムとロシアの土臭さ・・・・、誰もがイメージするものが、しっかり満載で、もっと聴かれていい名作だと思う。

4つの楽章の特徴などは、こちらの以前の記事を参照。
ラフマニノフお得意の、ディエス・イレがここでも響いてます。

尾高さんとBBCウェールズの、すっきりと作為なく、でも共感に満ちた演奏は、曲に没頭しすぎてしまうロシア系の演奏に比べて、私にはずっと親しみが持てるし、聴き飽きない。
きっと英国の聴き手も、尾高さんのロシアものに、同様の思いを抱いたのであろう。
第3楽章の連綿たるメランコリーの表出は、透き通るように繊細で美しい演奏で映えております。もう堪りません。

2番の3楽章に惚れた方は、この1番の緩徐楽章にも泣いてみてくださることをお勧めします。
終楽章の、ジャン ジャンの、ラフマニノフ・エンディングも、わかっちゃいるけど、はまってしまうものがありますぞ。

ますます忙しい尾高さん、体に気をつけて、どんどんご自身の好きな分野を邁進していって欲しいと思います
来々シーズンは、新国で「ピーター・グライムズ」と「パルシファル」を取り上げて、指揮もして欲しいのであります。

 過去記事

「交響曲第2番 尾高忠明&BBCウェールズ CD」
「交響曲第2番 尾高忠明&東京フィル」
「交響曲第3番 尾高忠明&日本フィル」

「交響曲第1番 デュトワ&フィラデルフィア CD」

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コメント

 お早うございます。
ラフマニノフの第一交響曲はマゼール&ベルリンフィルの演奏でしか聴いたことがありません。80年代の録音でアバドに八つ当たりをするようになる前の録音です(笑)。最近はマゼールの演奏や音質に不満を感じることが多くなったのでデュトワ&フィラデルフィアやアシュケナージ&コンセルトヘボウが欲しいと思うようになりました。尾高先生のCDも欲しいですね。メルボルン響の指揮者になられるのですね、尾高先生は。尾高先生の指揮で第一番のライブが聴いてみたいものであります。それにしてもブログ主様はクラシック界の事情にお詳しいですね。

投稿: 越後のオックス | 2010年1月23日 (土) 04時52分

越後のオックスさん、こんにちは。
さっそくのコメントありがとうございます。
マゼールのラフマニノフは、3番がその曲の刷り込み演奏なので、思いいれがありますが、ほかの2曲を聴いたことがありません。
ベルリンフィルゆえに、全曲そろえてはみたいのですが。。。
アシュケもデュトワも実にいいですよ。
あとは当然ながら、プレヴィンやスラトキン、デ・ワールト。ヤンソンスはちょっとイマイチですが、再聴してみなくてはなりません。

尾高さんは、ここ数年、ほんとに熟成しつつある指揮者だと思います。優しくジェントルな雰囲気が大好きです。

詳しいのは、好きだからゆえと、長く聴いているだけのことでして、それもクラシック一辺倒の一面的なものです。文学やほかのジャンルには疎いわけでして恥ずかしい限りでございますよ・・・。

投稿: yokochan | 2010年1月23日 (土) 13時31分

こんばんは。まず、尾高さんN響指揮者就任はおめでたい話ですね。小澤さんの次を担う方がこうしていてくれる。確か、尾高さんはグラズノフの「交響曲」を全曲録音した話が聞かれますが・・・。
「第1番」はやはり、「全集」であるアシュケナージ盤が唯一の手持ちです。「全曲」ノーカットが魅力。マゼールは「第2番」のみ。
越後のオックスさんがフリークでらっしゃるアシュケナージですが、フィルハーモニア管によるチャイコの「後期交響曲」はドイツ輸入盤で出ていてる。後、「マンフレッド」もフィルハーモニア管で取り上げています。いずれも1970年代の指揮活動を始めた頃の録音。
「後期交響曲」はロシア演奏家のド迫力が出ていて、やはり、「全集」でも出しているカラヤンとは全くの別世界。「マンフレッド」はオーマンディのは唯一のノーカットと長めでフィルアップ曲はないが、カラフル。それに対し、アシュケナージのは暗さと悲しさが出ているリアルなサウンド。こちらにはロイヤル・フィルによる「弦楽のためのエレジー」がフィルアップされてます。
ラフマニノフに戻りますが、やはり、アシュケナージはラフマニノフ協会会長でラフマニノフ博士ともう言うまでもない。弾く方と振る方と両面で活躍してます。「ピアノ協奏曲第2番」は振る方ではフィルハーモニア管でグリモーと共演してます。ラフマニノフ作品普及活動で近年、シドニー響で「交響曲全曲」を再録したくらいです。
冬はロシア物なんか聴きたいです。尾高さんは「交響曲」の人でもありますね。

投稿: eyes_1975 | 2010年1月23日 (土) 21時12分

eyes_1975さん、こんにちは。
まずは、アシュケナージ氏のチャイコはろくに聴いてませんので、皆さんから叱られそうです(笑)
N響との演奏を録画してありますので、いつか観なくてはと思います。
N響と3番(たしか?)と4番を指揮したとき、指揮棒で手を刺してしまい指揮ができなくなり、4番は指揮者なし、コンマスの指示で演奏するというすごいコンサートがあったそうです。(指揮者っていらないのかしらん??)

アシュケ氏のラフマニノフは、なんといってもコンセルトヘボウの魅力もあります。ですから、再録音の方で確認したいところですが、あのレーベルのCDは高くて手がでませんねぇ(笑)

尾高さんのラフマニノフは、エルガーと並んで絶品です!

投稿: yokochan | 2010年1月24日 (日) 14時51分

アシュケさんのチャイコフスキーは実にのびのび旋律が歌ってなかなかよいのですよ・・・。あと意外にクリーヴランドとのブラームスとか・・・。あの高いレーベルのラフマニノフ「鐘」なども実によいです(結構アシュケさん持ってるな・・・)。
さて、ラフマニノフの1番の終楽章を吹奏楽編曲盤で吹いたことがあります。エンディングのジャン・ジャン!よりもそれにいたる「ダララ・ジャ・ジャン・ジャ~ン」の連続、クラは息継ぎなしに吹き続け、軽く逝きかけます(笑)。こんなにしつこくきついのは、「1812年」のエンディング前の下降音型の連続と双璧です・・・チャイコフスキーとラフマニノフってやっぱり似たところがある?!
尾高さんのこのCDはしつこさを感じさせない爽快な演奏でありますね。私も大好きです。N響とラフマニノフ・チクルスやエルガー・チクルスやったら、足繁く通ってしまいそうです。

投稿: minamina | 2010年1月24日 (日) 22時12分

minaminaさん、こんばんは。
アシュケさんのCDは、調べたら、わたくし、この曲とショスタコ5番しか持っていませんでした。
怒られそうですが、どうにも苦手意識があるんですね。
初指揮の、N響とのモーツァルトやフィルハーモニアと来たときの悲愴などは、非常に気に入っていたのですが、やがて、身の丈に合わない音楽を無理してやってるように思うようになったのです。
いずれちゃんと聴いて再評価しなくては、と思ってます。

この曲の最後は確かにしつこいですな。
これを吹いたってのは、すごいことです。
あまり演奏されませんが、きっと初めて聴いた人は、どこで拍手していいかわからないと思いますね。

尾高さん、今日はN響アワーに出ていてびっくり。
狙ったわけじゃないですが、ばっちりのタイミングでした。
急速に熟成を重ねているマエストロです!

投稿: yokochan | 2010年1月24日 (日) 23時56分

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