ビゼー 交響曲ハ長調 ミュンシュ指揮
ほころび始めた椿の花。
濃い緑の艶々した葉と赤がきれいですなぁ。
このあと、花びらの中から黄色いおしべが顔を出し、えもいわれぬ3色の取り合わせになる。
椿姫とはよくいったもの。
咲き終わると、この花まるごと、落っこちちゃう・・・・。
落椿となる。
何だか切ない感じの「椿の花」でありました。
切なくなってもいらんない。
今日も、新春さわやかシンフォニー行きます。
「さわやか」の定義も、濃い目の演奏なんかを選んだりしちゃって、ここへきていろいろだけど、いかにも若書き風で、青春してますの交響曲はコレ
ビゼーの交響曲ハ長調。
かつて、ハ長の交響曲といわれたりしてたアレですよ。
ビゼーは、1838年に生まれ1875年に亡くなっているから、37歳の早世。
「カルメン」や「真珠採り」のオペラや「アルルの女」や「パースの娘」などの劇音楽などがあって、劇的で詩的、そして充実した音楽を残しているものだから、そんなに早く亡くなっているなんて、意外と思わなかったりする。
それと、あの横顔の写真が結構オジサンに撮られているもんだから・・・・。
1855年、ビゼー17歳のときに書いた習作的な交響曲だが、世に出ることなく、そして本人も忘れたんだか、自信がないんだかで、ずっとお蔵入りになってしまった。
日の目を見たのが、1935年。実に80年後に、ワインガルトナーによって初演されているレア・シンフォニーなのであります。
ビゼーにはほかに数曲、交響曲が見つかったりしていて、順番をつけるとこちらは交響曲第1番となるようだ。
古典的な4楽章形式を守り、シューベルトやメンデルスゾーンの雰囲気もにじみ出た、ある意味素朴な交響曲で、演奏時間も30分あまり。
フランス色があんまり出てないのが、私にはちょっと不満だけど、どろんどろんした「カルメン」を聴くよりは、ずっと気持ちがいいし、そう、さわやかだからいいのであります。
一番好きなのは、ノリノリの終楽章。
このノリのよさと、テンポ感はまさに果てることのない常動曲のようで、ずっとずっと続いても悪くないと思わせる好感度の高い音楽なんだ。
それから、オーボエのやたらに活躍する第2楽章。
これは、のちの「アルル」や「カルメン」の抒情的で木管のソロが活躍する音楽の前触れのようである。
南フランスの色香とシューベルトがまぜこぜになったような第1楽章に、これまたシューベルトのような素朴な第3楽章のスケルツォ。
まぁ気持ちのいい交響曲だこと。
実は、この曲の定盤である、マリナーやハイティンク、スウィトナーやアンセルメ、デュトワなどを持っていませんし、聴いたこともないのです。
唯一あるのが、シャルル・ミュンシュとフランス国立放送交響楽団の1枚。
これは、レコードで長く親しんだコンサートホール・レーベルのCD盤。
あのレーベルらしい、モコモコとして詰まったような音のする録音であるが、そうしたアナログ感が、この曲にうまく符合してしまう。
剛毅なミュンシュが、肩の力をふっと抜いて、力まずに柔らかい表現に徹したビゼー。
機能的で無個性になる前のフランスの香り漂う放送オケが、いい感じで作用している。
若書きの交響曲に、大人の演奏。
これもまた味わい深いもの。
水仙の花も咲き始めました。
こちらは無臭の椿にくらべて、甘い芳香を周辺に漂わす、ある意味アヤシイ花なのでありますな。
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コメント
こんばんは。「交響曲ハ長調」はデュトワ、モントリオール響が唯一の手持ちです。特徴はキレのある弦楽器に柔らかな木管。そして、金管はホルンというさわやかシンフォニー。フランスの「交響曲」って初めはベルリオーズをイメージしてしまいそうですね。「美しきパースの娘」組曲も併録されてましたがこちらも「交響曲ハ長調」に匹敵するくらいの軽やかな作品。定番の「カルメン」「アルルの女」「子供の遊び」とビゼーはデュトワ独断の場だと思います。(「子供の遊び」はマルティノン、パリ音楽院管もあります)
投稿: eyes_1975 | 2010年1月 9日 (土) 23時12分
eyes_1975さん、こんばんは。
やっぱりデュトワですねぇー。
私もそうしなきゃいけないと思いつつも、ミュンシュのみ(笑)
どう考えても、デュトワとモントリオールの軽やかさの独壇場ですね。
カップリングもいいですし。
このミュンシュ盤は、子供の遊びが収録されてますが、ちょっと重たいです。
でもパレーとモントリオールのカルメン組曲は味があります。
ビゼーの管弦楽曲もいいものですね。
あるがとうございました。
投稿: yokochan | 2010年1月 9日 (土) 23時25分
今日は千葉フィルというアマオケで今年のコンサート始めをしてきました。評論家の金子建志さんの指揮でストコフスキー編の「ボリス・ゴドノフ」交響的合成と「火の鳥」1910年版。日本初演のストコフスキー版「ボリス」が実に面白かったです。
さてビゼーの交響曲ですが、うちにあるのはビーチャム、クリュイタンスにこのミュンシュと何故かフランス国立放送管尽くしです。しかもそろって録音が古い。新しいものも一枚欲しいところです(フランス国立放送管って小澤盤もあるんですよねえ・・・)が、逆にパリ音楽院管の録音があればそれもぜひとも聴いてみたいところであります。
投稿: 白夜 | 2010年1月10日 (日) 00時38分
白夜さん、こんばんは。
いやぁあ!!
実は今日、千葉フィルのコンサート行くつもりだったのです。
年2回の活動は、金子さんの熱心な指導で、アマオケにしかできない魅力的なプログラムをいつも組んでまして、注目しておりました。
かつて、マーラーの10番なんてやってるんですもんね。
仕事帰りに津田沼に下車して、なんて思ってるうちに間に合わなくなって終わってしまいました・・・・。
数か月前から、手帳に書きこんで狙っていたのですが。。
そりゃそうと、見事にフランス国立放送です(笑)
小澤さんも、そいいえばあるんでした。
古い録音にこそ味わいを見出すような曲でもあり、デュトワやハイティンクのバリッとした録音で、スカッと聴いてみたくもあり。
パリ管よりは、音楽院管ですね、やっぱり。
投稿: yokochan | 2010年1月10日 (日) 00時53分
yokochanさま お早うございます〜
寒椿でしょうか。美しいですね〜
ビゼーのシンフォニー、名曲ですね〜
シュベルトといい、メンデルスゾーンといい、このビゼーも、行き急いだ感じがしますね。あのラテン味に溢れた曲、貴重なものですよね〜。サン・サンーンスのシンフォニーは意外にドイツ風ですから〜
私は、オーマンディ師・フィラデルフィアの演奏を愛聴しております。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2010年1月10日 (日) 09時05分
yokochanさん、おはようございます
ビゼーの交響曲はハイティンク盤とビーチャム盤しか持っていないのですがこの2枚で十分かな?今の私には。
特にビーチャム盤はブログにも取り上げたくらい気に入ってます。
TBがうまくいかないようです。他には送れるのですが。。。
投稿: 天ぬき | 2010年1月10日 (日) 10時26分
初めて聞いたのはスイトナー盤でした。2楽章のホルンのソロがペーター・ダムなんですよねぇ。LP、CDともにはウェーバーの1番(これもハ長調)とのカップリングですが、レコードのジャケットが良いんです。湖の風景写真(?)で水際の水平線を境に湖面に映る風景と実際の風景が対称になっている、収録内容を見事に表したセンスの良いジャケットでした(幸いまだ架蔵しております)。
ビーチャム、マルティノン、いずれも良い演奏ですね。というか、ビゼーって本当に天才です。どの曲を聴いても地中海の風を感じます。
投稿: ガーター亭亭主 | 2010年1月10日 (日) 11時27分
rudolfさん、こんにちは。
冬椿は美しいですね。どこにも咲いてますが、好きな花です。
ビゼーの天才が、初期作にもにじみ出てますね。
カルメンも含め、少し苦手なビゼーですが、久しぶりのハ長は気持ちよく聴けました。
オーマンディも録音してるんですね。
なんか、ピタリときそうなコンビです。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2010年1月10日 (日) 13時17分
天ぬきさん、こんにちは。
ハイティンクとビーチャム、この二つをお持ちの方は非常に多いのかと思いますが、本文にありますように、わたしはミュンシュのみ。
ハイティンク・ファンとしては、あのフィリップス録音も楽しめそうなそちらを聴かなくてはいけませんね。
TBは、私の方は格別の設定をしておりませんで、変なものむふくめてすべて受け入れ状態です。
申し訳ありませんが、懲りずにたまにチャレンジしてみてください。
投稿: yokochan | 2010年1月10日 (日) 13時25分
ガーター亭亭主さん、こんにちは。
スウィトナーはドレスデンだったのですね。
ご指摘の素敵なジャケット、記憶の隅にうっすらと残っております。
なんだか、とてもそそられちゃいます。
全然曲は違いますが、メータとロスフィルのブルックナーの4番のジャケットが、教会と湖(川?)の美しいもので、その思いでがぬぐい切れないものとなってます。
マルティノンもDG盤であったですね。
いま調べたら、この曲の音盤がたくさんあって驚いてます!
「地中海の風」を別な演奏で受けてみたい気分が高まってます(笑)
投稿: yokochan | 2010年1月10日 (日) 13時42分
管理人さんの幅広いジャンルと視点の優しさいつも感心されます。
私のCdurはなんと言ってもハイティンクです。
彼らの数ある中でも特に音楽性・録音の傑出した盤です!
ただCD化はもう一つで香りが飛んでました…
あまりにも立派過ぎ几帳面な演奏ですが管理人さんには是非聴いてもらいたいと思います。
これぞコンセルトヘボ―
特に素晴らしい。
投稿: マイスターフォーク | 2011年4月13日 (水) 06時22分
マイターフォークさん、こんにちは。
ハイティンク!
ですよね。
いまだに聴けてません。
ハイティンク好きとしては、いかんことなのですが、レコード発売時のあのメルヘンチックなジャケットは鮮明に覚えております。
ヘボーの魅力と、きっとフィリップスの名録音も味わえるんでしょうね。
投稿: yokochan | 2011年4月13日 (水) 12時43分