« ドビュッシー 「月の光」 フランソワ | トップページ | 東京交響楽団 名曲全集第53回 飯森範親指揮 »

2010年1月29日 (金)

ドビュッシー 練習曲集 内田光子

Asakusa_9 浅草は浅草寺のライトアップの様子。
この位置から見るのが五重塔と山門の両方が窺えるから好きなのだけど、1月は露天がしっかり出ていて、激しくフランクフルトーー、とかとうもろこし、あんず飴ーーとか暖簾が写ってしまうんだ(笑)
だから下をちょこっとカットしました。

Monet_pourville00_2  昨日酔っぱらった勢いで「月の光」をむさぼるように聴いたドビュッシー(1862~1918)。
あれ1曲じゃぁ、すまされない。
ドビュッシーの到達したピアノの世界。最後のピアノ作品を聴きましょう。
「12の練習曲」。
1915年、英国海峡よりの町、プールヴィルにて作曲を開始された練習曲。
 プールヴィルといば、モネの「断崖にて・・」のこの絵画が思い浮かび、ここに載せてみた。
この名画、2000年に盗難に遭い、つい先ごろ10年ぶりに発見され、犯人もお縄になったとのことである。その価値、1億ともいいます

絵画における印象派の代表モネと、音楽の印象派ドビュッシーはイメージ的に切ってもきれないものがあるけれど、ドビュッシーの方は、晩年に行くに従って、調性の世界からの離脱を感じさせるスレスレの緊張感に満ちた音楽を書くようになっていった。
だから、モネのぼうっ~とした、印象第一主義の雰囲気とは明らかに違う、いわば明晰で音楽のすみずみまで、光があたったかのような印象。

Debussy_12etude_uchida あの時代、音楽家の誰しもが「トリスタン」そして「パルシファル」の影響を受けざるを得なかったが、ドビュッシーも例外でない。
でも、自らワーグナーに決別しつつも、半音階的な技法に民族的な要素も加えたりで、新たな境地を切り開き、同時代人シェーンベルクが無調→十二音と進化していったのに比して、音階のある音楽の極限の可能性を極めてしまった晩年。
このあとに、メシアンがやってくるのを予見させるドビュッシーの音楽なんだ。
解説書に書かれた内田光子さんの文章も参考にして、まとめてみた印象。

まぁ、そんな小難しいことは抜きにしてこの12曲のエチュードを聴くとき、ショパンのような表題性はないものの、普通にここに展開されるピアニズムを楽しめば、メカニカルでも無機的でもない、お馴染みのドビュッシーの響きが見えてくる。
ちょっととっつきは悪いけれど、前奏曲集や映像、各組曲などと、同列に聴くことができるようになってきた、今日この頃。
何度も聴いていたら、キース・ジャレットやチック・コリアなどのいわばジャス抒情派の曲の先駆としても聴くことができるようになってきた。

2巻からなり、それぞれ6曲、計12曲。タイトルも付いている。
①5本の指のために、②3度のために、③4度のために、④6度のために、⑤オクターブのために、⑥8本の指のために・・・の第1巻。

第2巻は、⑦半音階のために、⑧装飾音のために、⑨反復音のために、⑩対比的な響きのために、⑪アルペジオのために、⑫和音のために。

それぞれのタイトルと、曲を結び付けて、その印象を述べるまでには、わたくし、まだ聴き込んでおりませなんだが、第2巻などは、音楽理論・実際演奏素人のわたくしでも、その雰囲気はアリアリと感じとることができます。

デイム・ミツコ・ウチダ
内田光子さんの緊張をはらんだ演奏を聴くと、いつもハラハラしてしまう。
そんなに根をつめて、凝縮し、透徹した音楽づくりをしていて、大丈夫なのかと・・。
このドビュッシーもそう。
曖昧さの一切ない、明快そのもののクリアーなピアノ。
一音一音が、考えつくされ、研磨しつくされたすえに選びとられた、厳しいまでのピアノ。
モーツァルトもシューベルトも素晴らしくて、おいそれとは日常聴けないくらいに凄いし、室内楽やリートの伴奏でも同じように、深い世界を切り開いてしまう内田さん。
ピアニストの概念を超えたピアニスト。
日本的なもの、とかなんじゃらなんて通念もとっくに通り越した人間存在・内田光子。
今年秋のクリーヴランド管との共演や、その時おそらく開かれるピアノコンサートは必聴でありましょう

|

« ドビュッシー 「月の光」 フランソワ | トップページ | 東京交響楽団 名曲全集第53回 飯森範親指揮 »

コメント

お月様シリーズ、素敵ですね。わたくしもこれからCDの中にお月様を探して聴いてみることにいたします。 
先ほどラジオで言っていましたが、今夜の満月は今年最も地球に近付くので一番大きく見えるそうです(午後6時5分) 
部屋の電気を消して月明かりを楽しみたいです♪

投稿: moli  | 2010年1月30日 (土) 09時22分

こんばんは。私はチッコリーニとポリーニを持ってます。
チッコリーニはフランスのエスプリが出ています。ポリーニのは「ピアノ・ソナタ」(ベルク)が併録されていて、この類は何か、現代音楽の象徴ともいえる部分が出ているような気がします。
ショパン、リストと「練習曲」を書いている人。ピアノを習う時、ピアノのレッスン曲=練習曲(練習する曲)。そう思ってませんか。バイエルからツェルニーへの早いステップはさすがについていけないですね。

投稿: eyes_1975 | 2010年1月30日 (土) 21時26分

moliさん、こんばんは。
月と音楽、いいですよね。
太陽と音楽は、絵になりませんけど(笑)
昨夜は、某所で酔った目で見上げておりましたが、たしかに、キレイで大きく見えたような気がしました。
酔いのせいかも、ですが・・・。
関東は毎日晴れて、月も毎日見れるのがよいですね!

投稿: yokochan | 2010年1月31日 (日) 10時08分

eyes_1975さん、こんにちは。
ポリーニのこの曲のCDは欲しい1枚です。
ベルクとのカップリングが、いかにもポリーニらしいところですよね。
 練習曲というと、たしかにピアノのレッスン曲というイメージを持ちますが、ショパンやリストは、ちっとやそっとじゃ弾けない超越技巧の曲ですね。
うちの娘もピアノを習ってますが、とうていそこまで辿りつかないのが見えております(笑)

投稿: yokochan | 2010年1月31日 (日) 10時17分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドビュッシー 練習曲集 内田光子:

« ドビュッシー 「月の光」 フランソワ | トップページ | 東京交響楽団 名曲全集第53回 飯森範親指揮 »