ベートーヴェン 祝祭劇「献堂式」序曲 アバド指揮
今日は、大寒。
暦の上では、今日から立春まで、とても寒いですよ、という日。
でも皆さん、びっくりこかれましたように、春を思わせる気温で、昼休みは、東京は上着なしでも気持ちよかった。
夜は風が出たけれど、それでも寒くなく、家へ帰る途中、風に乗って梅の花の香りがただよっておりましたよ。
そして気になるこの画像は、12月3日に、ミラノのスタジオで収録された音楽対談番組。
発売された「音楽の友」でもレポートされていたし、いつもお世話になっている、アバド・ファンのサイト「con grazia」の掲示板でもご紹介があったもの。
そして、その映像をしっかり拝見しましたよ。
おりからスカラ座で上演された「カルメン」を、スタジオ内に並んだスカラ座フィルをバレンボイムが指揮して、楽曲紹介。観客も入ってます。
このスタジオは、もしかしたら、DGの数々のヴェルディのオペラを収録した場所ではなかろうか!!
そして、驚くほどイタリア語が堪能なバレンボイムのインタビューに続き、マエストロ・アバドがスタンディングの敬意を表され、登場。
バレンボイムのピアノで、ベートーヴェンの3番の協奏曲の終楽章を指揮。
スカラ座フィルを指揮するのは、いったい何年ぶりになるのでありましょうや
きたるべき、マーラーの前哨戦ともいえる感動の組み合わせ。
朋友バレンボイムも、ピアノを弾きながら、思わず腕がうずうずしちゃってる。
こんな二人に睨まれて、オーケストラは大変だ。
イタリア語だからさっぱりわからないけれど、和気あいあいとした対談に続き、もう一人の朋友ポリーニが登場して、さらに対談が進み、ポリーニはピアノは弾かなかったものの、劇若のブラームスの協奏曲の映像が背景に流れて、いい雰囲気の巨匠3人組でありました。
こんなすげぇ番組は、DVDにでもしてもらいたいですな。 こちらは、15年ぐらい前のアバドのジャケット。
壮年の覇気に満ちております。
いまや、好々爺然としておりますが、相変わらずその表情は若々しい。
そして納得したこと。
先だって、神奈川フィルの主席チェロの山本さんを囲む会で、小澤征爾さんの目力のすごさ、というお話を氏からお聞きした。
それと同じような人間の目の力というものを、先の巨匠3人にも感じた。
目の力の雰囲気は、三者三様なのだけれど、人を動かす力とでもいいましょうか。。。
今日も、ベートーヴェンの後期を意識しつつ、しかもアバドということで、音楽を選択してみた。
祝祭劇「献堂式」序曲 作品124。
ひとつ前の作品123が「ミサ・ソレムニス」、あとの作品125が第9交響曲。
巨大な作品に挟まれて、あまり有名でもなく、交響曲にカップリングされている程度で、地味な作品なのであります。
祝祭劇とあるからには劇付随音楽なのであるが、大作作曲中に依頼を受けたうえ、納期も短かったため、劇音楽のほとんどを、作品113の「アテネの廃墟」から転用して、序曲と第8曲目のバリトンと合唱の音楽を付け加えて間に合わせた。
ウィーンのヨーゼフシュタット劇場のこけら落し用の音楽なのでありますが、当時は過去作の転用とかアレンジなんてことは気にせず、おおらかなものだったのだろう。
ちなみに、この劇音楽、すなわち「アテネの廃墟」には、そっちの方の序曲もあるし、両方に超有名な「トルコ行進曲」が入っております。
アバドとベルリンフィルという超豪華な演奏で聴く「トルコ行進曲」は、キビキビとしたもので、ある意味快感を呼び起こしてくれますぞ。
さて、その序曲は、作曲時期からして、さぞや深淵なる音楽なのだろうと思いきや、堂々としていて、明朗快活な明るい音楽なのであります。
力強い和音の連続で始まり、荘重な出だしの前半は感動の兆しを予見させるが、続く主部は早いテンポの二重フーガで、にぎにぎしく、祝祭の雰囲気を盛り上げてゆく。
そのまま一気加勢に、ある意味楽しい雰囲気のまま曲は終結する。
深みはないが、昨晩のピアノソナタで書いたとおり、ベートーヴェンが簡潔さモットーにして書いたような感じで、わかりやすく、気分も高揚することで、祝典的な序曲としては、大変よく書かれているのではと。
アバドにこうした音楽を振らせると実にうまい。
気まじめなアバドが、ベルリンフィルを相手に、真剣にベートーヴェンに挑んでいるが、いつものように、スリムでしなやかな響きがそこにあるので、実に気持ちがよろしい。
93年の録音。 一方、アバドは89年にウィーンフィルと序曲全集を録音していて、この序曲もそこに含まれている。
どちらも、オーケストラの持ち味が活かされた、とてもいい演奏だが、切れ味で勝るベルリン盤の方が今は好きかも。
明日も、一日の半分、暖かいらしい。
体調を壊しませんように。
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コメント
お早うございます。
私はジンマン&チューリッヒ・トーンハレで献堂式序曲を愛聴しております。アバド&ウィーンフィルの序曲全集は図書館にあったはずなので聴いてみます。
投稿: 越後のオックス | 2010年1月21日 (木) 08時04分
おお!アバド先生にバレンボイム卿に巨匠ポリーニ様ではないですか!しかも3人同時にそろい踏みとは。。。
すごいショットです。日本で言ったらさしずめ北島三郎と五木ひろしと八代亜紀の3人によるディナーショーといったところです。さまよえる様、守備範囲が広いですね。ワグナーとかオペラだけじゃないんですね。え?祝祭劇「献呈堂」??この曲、私知りませんでした^^;あはは。。。この程度なんですよ、私のレベルって。そういやバレンボイムのピアノって最近聞いていませんでした。初心に返って聞いてみます。デュプレと一緒に弾いてるブラームスのチェロソナタあたりを10年ぶりくらいに聞こうかと計画中です。
投稿: モナコ命 | 2010年1月21日 (木) 12時57分
こんばんは。まず、本題からです。残念ながら私はカラヤンしか持っていません。かつて2枚組「全集」として出たようですが、今は「交響曲」にフィルアップされる類が1枚に入るくらいのしか出てないようです。アバドのも廃盤かしら。
朝から昼までは暖かかったのに今は超寒い・・・。
続いてはgolf130さんのブログですが。yokochanさんや他の皆様方にぜひ、見てもらいたいので入れておきます。
http://blog.goo.ne.jp/golf130/e/85789cb6acf4e11ae4972abb0a75989c
日本の政治についての悪口が書かれ、全く記事と関係ないレスでした。日本はゴミのようだ、とか。私がレスしたところ、奇遇なのか、とっさの判断で削除してくれた。注目は順番を前にしてくれた。
昨年から悪質なレスが絶たないのか、皆様方に知ってもらいたいので追加しました。
投稿: eyes_1975 | 2010年1月21日 (木) 21時03分
ちょ、ちょっとなんですか、この番組は・・・?!
こんな取り合わせって、ありなんですねぇ。ポリーニとアバドの協演はよく聞きますが(日本での協演を聴きましたし)バレンボイムとアバドの協演なんて、私が知っている限り初めてのような。そもそも仲良かったんですかねぇ?ってかんじです。無知ですいませんm(_ _)m。
まして最近ではほとんど弾かなくなったバレンボイムのピアノですか・・・。さらにアバドが、スカラ座のオケ?!うらやましいぜ、イタリア!(笑)。
目力、というか、サインを頂戴するときにじろっ!とにらまれて凍り付いたのは後にも先にもムーティだけ。ああ、これが指揮者のオーラなのかなぁ、と高校生ながら感じ取りました。アバドはああいう人を威圧するようなオーラは控えめだけれど、指揮台に立ったときの燃え上がるような情熱が一番感じられる人ですね。そして特にここ数年は恐ろしいばかりの気迫。
ああ、生でアバド、また聴きたい聴きたい・・・
投稿: minamina | 2010年1月21日 (木) 23時30分
越後のオックスさん、こんばんは。
ちょっとしたベートーヴェンシリーズになってます。
ジンマンの演奏でしたら、快活で元気がよさそうですねぇ。
アバドで、ふたつのオーケストラを比較して聴くことができましたら、録音の違いもありますが、全然印象が違いますよ。
投稿: yokochan | 2010年1月21日 (木) 23時37分
モナコ命さん、こんばんは。
こりゃまた笑えますねぇ。
演歌3人衆を比較されるとは。
ここに集まった巨匠たちは、老いて解脱の域に達しつつありますが、演歌軍団は濃厚そうですねぇ(笑)
バレンボイムは、ご覧のようにちょっと横に太ってます。
このテレビでは、ピアノも弾いてますが、その指も丸っこくて大丈夫かと思われるくらいでしたが、ちゃんと弾いてました。
デュプレの旦那だったんですよね。
いいコンビでした。
投稿: yokochan | 2010年1月21日 (木) 23時41分
eyes_1975さん、こんばんは。
ほんと、寒いですね~
今朝通勤途上、golfさんのブログに、冗談半分で、「暑いですね」とコメントしたのに、信じられない変化です(笑)
アバドの2枚組は、いまは廃盤かもしれません。
交響曲全集には入っているでしょうか。
ウィーンフィルの魅力が味わえる名盤でもあります。
golfさんが、削除される前のものを今朝読みました。
何じゃこりゃ的なコメントでしたね。
情報どうもありがとうございました。
何が楽しいのでしょうか。
こまめに対応するしかなさそうですね。
投稿: yokochan | 2010年1月21日 (木) 23時47分
minaminaさん、こんばんは。
そうなんすよ、このトリオが一堂に会してしまうミラノの放送局。
N○Kなんて、目じゃないですぜ。
アバドとバレンボイムは、ニューヨークやウィーンでの勉学時代に接点があったようです。
あとはロンドン時代は、エディンバラで。
共演も多くて、ベートーヴェンやブラームスの協奏曲をFMで聴いた覚えがありますよ。
今年はスカラ座で、当初は千人だったのですが、復活に変更され、マーラーを指揮するようです。
眼力を鍛えて宝くじあてて、みんなでミラノとルツェルンに行きましょうよ。
そうそう、ルツェルンじゃ、マーラーは第9ですよ。
すさまじい超名演が生まれること必須です!!!!!
投稿: yokochan | 2010年1月21日 (木) 23時54分
お早うございます。過去記事に書き込み失礼いたします。私の無礼極まるメール、ブログ主様のところに届かなかったようで胸をなでおろしております。読めなくてすんませんと仰って下さいましたが、マジでお詫びしなければならないのは、この越後のオックスめのほうです。
アバドの献堂式、ウィーンフィルのCDを入手しました。序曲全集です。易しくて情感に富んだ、しかもオケの実力をフルに引き出してしまうアバドの指揮に改めて感服した次第です。ブログ主様はジンマンはあまりお好きでないかもしれませんが、アバド、ジンマンとも私の一生ものの愛聴盤になりそうです。アバドのベートーヴェンと言ったら交響曲のCDがあまりにも有名ですし、ポリーニと組んだコンチェルトも素晴らしいですが、91年のエグモント他のライブも最高ですよね。オケがアバドとベルリンフィル、それにキーシンとスチューダーとブルーノ・ガンツが出ているという夢のようなライブCD。劇音楽エグモントはカラヤンとボンガルツのも持ってますけど、私的にはアバドが一番でしょうか。
一身上に今非常に辛いことがあって打ちのめされていますが、Shushiさんやカッシーニさんが私を励ましてくれています。いい友達を持って越後のオックスめは幸せ者だと思う今日この頃です。私と同じく辻邦生先生を父とも師とも仰ぐShushiさんは「辛い時こそ辻先生を読んでください。読み手を強い人間に変えてくれる作家ですから」と言って下さっております。読もうと思います。ブログ主様にとってのアバド氏にあたるのが同氏と私にとっては辻先生ですから。戦上手でギリシア哲学者で高潔な人格者でもあったローマ皇帝を主人公にした大長編「背教者ユリアヌス」などは、長いですが、面白くて読みごたえは抜群です。ブログ主様は三国志と、父君の蔵書の坂の上の雲を老後の楽しみにしたいと何時か仰っていましたが、ユリアヌスも是非!!いつものことながら長文乱文をどうかお許しください。
投稿: 越後のオックス | 2015年12月24日 (木) 09時26分
越後のオックスさん、こんにちは。
年も押し迫ってきましたね。
いつもコメントありがとうございます。
思わば、アバドは、ベートーヴェンの作品を、荘厳ミサとミサ、かんらん山以外、全部録音をしたはずです。
ファンにとってありがたいことです。
件のCDは、ジルヴェスターコンサートのライブでして、ビデオテープでも保存してあります。
そして、次の指標ができてしまいましたね。
ユリウスですか。
死ぬまでになんとかしたいと思います。。。
よいお年をお迎えください。
投稿: yokochan | 2015年12月31日 (木) 13時56分