ジークフリート・ワーグナー アリア集 R・トレケル
豊田社長の涙は、日本人には印象的。
企業人としての想いを真っ直ぐに感じることができる。
でも米国内では、どうであったか?
不振の米車業界。
議員が情報開示に、イエスかノーか? 異常なまでに迫る姿。
欲しい技術、出る杭は打たれる・・・・。
写真は、豊田市の巨大な本社ビル。
地名もトヨタ町なのであります。
ワーグナー祭りの余勢をかって、今日はワーグナー・ジュニア。
ジークフリート・ワーグナー(1869~1930)は、大リヒャルト・ワーグナーとリストの娘、コジマとの間に生まれたサラブレッドで、音楽家になるべくしてなったはずだが、そうでもないし、父の才能には及ばず、いまや気の毒なくらいに地味な存在となっている。
大ワーグナーは、コジマとの間に娘二人がいたが、56歳にしてようやく生まれた息子に大いに喜び、おりから作曲中の「ジークフリート」の主人公の名前を付けた。
ちなみに、彼の姉ふたりは、イゾルデとエヴァだからおそれいりますな。
親父は、息子に音楽の道を進ませなかった。
イタリアには家族で始終行っていたし、ギリシア語も学んでいたから、おのずと建築家を志すようになったという。
でも、さすがに音楽家の素養は隠しきれず、イタリアにいたことからヴェルディの旋律を口ずさんだり、爺さんのリストの前で歌ったりとしたらしいし、フンパーディンクに学んだりもしている。
本格的に音楽家になろうと決意したのは、父が亡くなってから9年あまりたってから。
23歳のことだから、これまた凡人ではなしえないこと。
オペラ通いに熱を注ぎ、一方で裕福だったものだから、友人の商船で東南アジアなどにも長旅をしていた。そのとき、シンガポールの街中で、何故かバッハの「ヨハネ受難曲」を耳にして、電撃的な感銘を受けて、音楽家転向の決心をしたという。
なんだか、まるで作り話みたいだけど、ほんとの話。
やがて指揮者としてデビューし、父の作品の解釈者として一流の存在となり、同時に、自身で台本を書き、オペラの作曲も始める。
その数、19作品
父親のオペラ作品数は、リングを4として、13作品。
数では、父に勝った。そのほかにも交響曲や器楽作品なんてのもある。
でも、それらの出来栄えは、父親の足元にも及ばなかったのは、いままったくその作品が顧みられることがないことで立証されているわけだ。
むしろ、ジークフリートの功績は、劇場の近代的運営といまにつながるワーグナー演出を打ち立てたことにある。
母コジマを補佐しつつ、バイロイト音楽祭を盛り立て、母が引退後は、総監督として指揮も行いつつ、民間の劇場としてのバイロイトを軌道に乗せた。
演出面でも、具象的だが平面的・絵画的であった装置を、三次元の様式(アッピアの理論)に高め、光の効果的な使用なども実践し、これは戦後の新バイロイトにいずれつながる流れとなっている。
作曲家・指揮者・演出家・劇場運営者と、マルチな才能を発揮したジークフリートは、まさにオペラの人になるべくして生まれたわけであります。
親父ばかりか、息子にもスポットをあてなくっちゃ、「さまよえるクラヲタ人」の名がすたる。
毒食わば皿までだ。
手始めに、オペラのアリア集を取り上げてみよう。
実は、もう2年前から、このCDは聴いているんだけど、旋律は耳に馴染み覚えたけれど、全然こちらに入ってこないし、手応えが全然ないんだ。
いいメロディラインはあるし、親父ばりのかっこいい場面もそこそこあるけれど、それらが感銘を与えるまでにいまのところ至らない。
バスバリトンのアリア集だからか、歌唱部分も地味の感は否めない。
ヒロイックな歌も、高貴さ、甘味さもない(ように感じる)。
でも、大ワーグナーそっくりの旋律や歌が出てくると、一瞬感違いをしてしまうのも事実で、親父の作品の試作品的に聴く分には、未知の世界が開けたようで、極めてうれしい。
いまのところは、こんな印象しか書けませず、申し訳なく。
ローマン・トレケルの真摯な歌と、その馴染み深い声、独語のなめらかな美しさなどについては特質もの。
この手の知られざる音楽の大家、アルベルトの指揮もうまいものだ。
「木を見て、森を見ず」的な現在。
やはり、オペラ全曲を味わってみないことには話にならない。
オペラ1作品を入手済みなので、年内にはなんとかモノにして記事にしてみたいと思っております。
1.「太陽の炎」、 2.「熊の皮を着た男」 3.「いたずら好きの公爵」
4.「コボルト(小鬼)」 5.「陽気な仲間」 6.「バナディートリヒ」
7.「黒鳥の王国」 8.「異教徒の王」
9.「マリーエンブルクの鍛冶屋」 10.「ラインウルフとアデラシア」
以上10作品からのモノローグやアリア。
Br:ローマン・トレケル
ウェルナー・アルベルト指揮 ケルンWDR放送交響楽団
最後に、ワーグナー家の人々のお顔を
リヒャルト・ワーグナー、息子ジークフリートに若い妻ヴィニフレット、孫ヴィーラント
孫ウォルフガンク、曾孫カテリーナとエヴァ。
彼女たちの二頭体制でバイロイトはこれからも生き続ける。
みなさん、意思の強そうな(手ごわそうな)お顔をしてらっしゃる。
ジークフリートは、ものすごく「いい人」だったらしい。
大ワーグナーの強烈さは、曾孫さんにしっかり伝わっているみたい。。。
ワーグナー大会、ひとまずオシマイ。
| 固定リンク
コメント
こんばんは。浅田真央選手がキム・ヨナ選手に大差をつけられ、銀メダルとなりましたが、素晴らしい演技でした。安藤美姫選手、小塚崇彦選手が所属している会社はトヨタ自動車ですね。読み方になりますが、社長はとよだ。また、東京で中央線の駅はとよだ。でも、あるのはトヨタでなく、日野自動車なのね。
ワーグナー一族はバイロイト音楽祭を支えている。今年もカテリーナとエヴァでいくでしょう。リヒャルト・ワーグナーからジークフリートと作曲家や演出家とこうして子孫に受け継がれた。
五輪が4年に1度ならば、毎年、夏の恒例行事はバイロイト音楽祭。どれも共通していることが伺えられるような気がしないでもありませんね。
投稿: eyes_1975 | 2010年2月27日 (土) 21時34分
eyes_1975さん、こんばんは。
女子フィギア、終わってしまいましたが、満足のゆく結果でしたね。音楽もよかったけど、鐘は暗すぎたような気もします。豪快にワーグナーまたや、優美にバラの騎士でもよかったのではと思っちゃってます(笑)
そういえば、みなさん名古屋出身。
製造業は名古屋、フィギアも技術系で細やか。
いいですね。
私も名古屋経験がって、名古屋フィルの指揮者は当時、飯森さん。ワーグナーを何度か聴きました!
世襲のワーグナーに、しっかりした土壌をはぐくむ名古屋の風土、いいですよね!
投稿: yokochan | 2010年2月28日 (日) 02時17分