ハーティ ヴァイオリン協奏曲/ピアノ協奏曲
とり蕎麦。
鶏は意外なほど出汁が出る。
その出汁で、作るお雑煮が大好きなんだ。
それはともかく、ネギと柚子がほんわかとしてとてもおいしかった。
温まりましたねぇ。
サー・ハミルトン・ハーティ(1879~1941)いきます。
ハーティといえば、どちら様もヘンデルの「水上の音楽」の編曲者として、その名前はご存じかもしれませんね。
ヘンデル作曲、ハーティ編曲、組曲「水上の音楽」。
大オーケストラによる豪奢なヘンデルは、往年の名指揮者たちの演奏でたくさん取り上げられたけれども、今やオリジナル回帰で、あんまり演奏されなくなってしまった。
そう、ハーティは編曲の達人であり、オーケストレーションの匠でもあった。
そして当然に作曲家として、いくつもの作品を残している。
加えて指揮者としても高名で、ハルレ管弦楽団の指揮者を務め、英国初演曲も多く手掛けているなかなかの音楽家なんだ。
アイルランドに生まれ、アイルランドを愛したハーティは、音楽にも母国にちなんだフォークソング的メロディをちりばめ、ノスタルジックな曲を書いた。
同時にカッコイイくらいにオーケストラを鳴らせてみせるような、見事な作風ももっていたので、決して多くはないその作品のいずれにもハマってしまうんだ。
私のお気に入りは、華麗なオーケストレーションではなくて、詩情あふれる静かな部分。
今日のふたつの協奏曲も、そうした魅力にあふれているんだ。
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
Vn:ラルフ・ホームズ
ピアノ協奏曲 ロ短調
Pf:マルコム・ビンズ
ブライデン・トムソン指揮 アルスター管弦楽団
ヴァイオリン協奏曲は、ほかの管弦楽作品に強くみられるアイルランド・テイストはやや後退していて、ヨーロッパ伝統の協奏曲のスタイルを踏襲している。
ドヴォルザークやブルッフにディーリアス風な雰囲気を感じさせる。
1908年、シゲティのために書かれ、シゲティもこの作品を大きく評価したらしい。
なんといっても、ノスタルジー溢れる2楽章がステキだ。
英国系音楽に特有のすっきり感と、茫洋としたとりとめなさが同居していて、夢みる雰囲気にあふれている。泣きのヴァイオリンが聴かれる。
ワタクシ、この楽章だけ、取り出して寝る前なんかに聴くこともあります。
ファンファーレ風に始まる冒頭楽章、終楽章の親しみやすい旋律も、ハーティならではで、一度聴いたら耳に残る旋律であります。
1楽章の冒頭と、終曲最後のティンパニが決め手。
一方、1922年に書かれたピアノ協奏曲の方は、哀愁たっぷり。
アディンセルのワルソー・コンチェルトみたいで、日曜洋画劇場の雰囲気。
解説にはラフマニノフ風とあるとおり、極めてロマンテックでほの暗い要素ももってる。
第1楽章は、まさに映画音楽を思わせるメランコリックなものでふたつの主題ともに、オーケストラとピアノでそれぞれ泣き節のように奏でられる。
カデンツァはショパンみたい。最後は荘重にエンド。
第2楽章は、これまた緩やかで散文的な美しい音楽で、徐々に熱くなっていくさまがとてもよい。こうしたとらえどころのない音楽はダメな人はまったくダメなんだろうけど、ワタシはもう長く親しんできた世界だから、無性に好きで、これの世界があるから英国系音楽がやめられないのです。
第3楽章は、アイリッシュきてます。
ダンスの「ジグ」のリズムでとても民族調で活気に満ちている。
アイリッシュ・ソングの「The Wearing of the Green」が懐かしい雰囲気で出てくる。
知らないはずなのに、どこか郷愁を感じるメロディ。
終盤、まるでラフマニノフの協奏曲のような場面も出て印象的に曲を閉じる。
シャンドスに本場アルスター管と、ハーティを集中的に録音したB・トムソン。
すっきり・ブルー系の音色のオケとともに共感あふれる演奏。
英国ものに抜群のホームズのヴァイオリンも悪かろうはずがなく、あまり知られていないビンズのピアノもクリアーな音色がとてもよい。
この人、英国作品をたくさん録音してるようなので、探してみたい。
ハーティ、次はオーケストラ作品いきます。
| 固定リンク
コメント
今日は。病院から一時帰宅しております。
今月末か来月中旬には退院できそうです。
明日の夕方には病院に帰らなければなりません。
まとめてコメントさせていただきます。
矢代の交響曲は、私もナクソス盤で愛聴しています。
バタ臭い曲だと思います。私は伊福部や芥川のような
土俗的な音楽が好みです。土俗的かどうか分かりませんが、別宮貞雄の交響曲もいいですね。
カレリア組曲は親父ヤルヴィの旧盤で愛聴しています。
アシュケナージ&フィルハーモニアももちろん好きですよ。
ハーティというと恥ずかしいことに名前しかしりませんでしたね。ハーティの管弦楽作品や協奏曲まで聞いておられる造詣の深さはさすがブログ主さまです。
それではまた!
投稿: 越後のオックス | 2010年2月19日 (金) 12時57分
シャンドスの30周年記念BOXにハーティのもろアイリッシュな一枚が入っておりました。浸っているだけで幸せな気分になる素敵な音楽です。コンチェルトもぜひ聴いてみたいと思います。
投稿: 白夜 | 2010年2月19日 (金) 22時34分
越後のオックスさん、こんばんは。
一時帰宅中のコメント、どうもありがとうございます。
退院の目途がたってよかったですね。
あと少し、しっかり養生してください。
矢代作品は、ほぼ初。そんな私には、適度なバタ臭さがよかったですが、よく分析すると洋の基本に、しっかり和のテイストを乗せた名曲ではないかと思ってます。
土俗臭も聴いてみますよ。
ハーティは、シャンドスレーベルと故ブライデンのおかげで、結構前から聴いてました。
聴きやすい、いい音楽ですよ。
お大事にどうぞ。
投稿: yokochan | 2010年2月19日 (金) 23時54分
白夜さん、こんばんは。
BOXに入ってるのは、おそらく、アイリッシュ交響曲だと思います。
もろの曲ですが、モロ加減がとても郷愁に満ちていて好きです。
シャンドスレーベルのごく初期の録音でなかったかと思います。
協奏曲もどうぞ。
あと、ロンドンデリーのラプソディが最高に泣かせます。
投稿: yokochan | 2010年2月19日 (金) 23時57分