ヴォジーシェク 交響曲 ヘンゲルブロック指揮
2月1日の夜は、関東地方でも雪が積もった。
それでも1cmの積雪なんだけど、電車は少し乱れ、首都高も橋のあるところは通行止め。雪に慣れてない首都圏。
さらに降ってしまうと、翌朝は怪我人続出。靴の裏がツルツルの都会人の靴なのであります。
かく言うワタクシも、若い頃、北海道に初めて雪の季節に普段の靴で行ってしまい、まったく歩行困難になりました。滑り止めを市内で手に入れようやく歩けるように。
でも、夜飲んで、滑らな~いなんて、調子乗ってほいほい歩いていたら、見事にすってんころりん。
今では、雪道を歩くと、慎重のあまり筋肉痛になります(笑)
今日は、古典から初期ロマン派にかけての音楽を。
ヴォジーシェク(1791~1825)の交響曲と、シューベルト(1797~1828)の交響曲第1番がカップリングされたCD。
ヴォジーシェクなんて知らん!
そう、私もまったく知らない作曲家で、この1枚でその名前を知った。
シューベルトと生年・没年を比べて見てください。
ともに34歳、31歳と早世している。
そして、ともにウィーンで活躍しているのも同じで、シューベルトはヴォジーシェクに幾多の影響を受けているともいう。
そのヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェクとは、どんな人なのだろう。
いかにもボヘミア系の名前。CD解説によれば、プラハに学び、かなりに実績を積んでからウィーンに移住し、フンメルに学び、ベートーヴェンとも知己を得てウィーンでも要職を得て第二の故郷として活躍するも、肺結核で亡くなってしまう。
オペラ以外の多彩なジャンルに曲を残したとされるが、交響曲はこの1曲。
ベートーヴェンに褒められたこともあって、その影響が大きいようで、シューベルトよりもよりベートーヴェンよりなところが面白い。
強烈なアタッカで推進力のある第1楽章に、ベートーヴェンの緩徐楽章のようにメロディアスな第2楽章、でもこの楽章の中間部では意外なまでに短調の厳しい響きが登場したりする。そしてスケルツォの3楽章の切れ味の鋭さとトリオのゆったり感。
ピリオド奏法で演奏するヘンゲルブロックの造りだす先鋭さばかりでなく、音楽そのものにも強さが感じられる。
シューベルトに一番似ている箇所かもしれない。
終楽章は、第1楽章の旋律が回帰されるなど、斬新なところもある朗らかで快活、明るいフィナーレである。ベートーヴェンとシューベルトを足して割ったような感じといえばよいかしら。
埋もれさせておくには惜しい名作だと思いますぞ。
マッケラスやビエリフラーヴェクも録音してるみたい。
対比して、シューベルトの若書きの交響曲は、抒情的な反面、背伸びしたかのような重厚感が微笑ましく、一方で素直にシューベルトの歌心に感じ入ることができる桂作。
こんな考えぬかれた組み合わせのCDを造るトーマス・ヘンゲルブロックは、1958年生まれ。おや、馴染み深いお歳だこと。
これからますます注目のドイツの指揮者。
ヴァイオリストとしてキャリアをスタートさせ、ドイツカンマーフィルのコンサートマスターも務め、ウィーンコンツェルトムジクスでも弾いたという。
若手演奏家たちと古楽オケや合唱団を創設したり、ルトスワスキやドラティらのアシスタントも務める一方、あらゆる芸術分野にも造詣を深めていった。
古楽出身と一言で割り切れず、現代音楽までも普通にこなす、マルチ指揮者は、まさにこれからの指揮者のあるべき姿のひとつの典型かもしれない。
ここで指揮しているドイツカンマーフィルの芸術監督のあと、ウィーンフォルクスオーパーの音楽監督を経て、フェルキルヒ音楽祭の監督、さらには来年からドホナーニの後を継いで、北ドイツ放送響の音楽監督に就任する。
さらに来年はまた、バイロイト音楽祭にデビューして、「オランダ人」(順番から推測して)を指揮することになっているから驚きだ。
ちなみにバイロイトの指揮者は、急速に若手器用を深めていて、今年はネルソンス(ローエングリン、ノイエンフェルスの恐怖の演出・・・)、2013年頃のペトレンコ(リングとの噂)などで、いま旬の指揮者たちばかり。
ヘンゲルブロックのはつらつとした、イキのいい音楽を聴いていると、先週聴いたミンコフキのハイドンのような、一皮むけたような生まれたての音楽に接したようなフレッシュな感銘を味わうことができる。
単にイキがいいだけでなく、全体のバランスや構成感もあって、曲がしっかりとあるべきところに収まっている感じで、突飛なところは一切ない。
彼の音源は、グルック、バッハ、モーツァルトや協奏曲の伴奏など。
ロ短調ミサやカンタータは是非にも聴いてみたいし、埋もれた名作の発掘にも力を入れたいと話しているので、これから面白いものがたくさん出てきそう。
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コメント
こんばんは。
関東の雪は大変ですよね、雪国の方から見たら滑稽なんでしょうけど…。
さて、ヴォジーシェクのこのディスク、自分も選曲のマニアックさ(と安さ)が気になってはいたんですけど、お持ちでしたか。
この記事をよんでから「ヴォジーシェク 交響曲」で調べてみるとかなり好評みたいですね。
「聴いてみようかな」って思いました。
とりあえず今日は手持ちのシューベルト1番を聴くことにします(^^;
↑あらためて聴いてみると、これはこれで面白いです。
勝手にさわやかシンフォニーシリーズ認定しちゃいます(笑)
投稿: ライト | 2010年2月 3日 (水) 21時55分
ライトさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
今夜も雪がちらつきましたね。ほんとに寒いです。
ヴォジーシェク、なかなかやるな、との印象でして、それ以上にヘンゲルブロックもなかなかの使い手と見ました。
この交響曲以外に録音はみつからないし、ヘンゲル氏のバッハもなかなか見かけません。。
1000円は魅力の1枚ですよね!
今日タワレコを巡回していたら、ハンス・ツェンダーのシューベルト全集が。1990円で売ってました。躊躇しつつも買わなかったのですが、いかにもユニークそうなシューベルトに触手が動いております。
1番はいい曲ですね。まさにさわやか(笑)
投稿: yokochan | 2010年2月 4日 (木) 00時36分