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2010年3月19日 (金)

フランク 交響曲 コンドラシン指揮

Seikouudoku

「晴耕雨読」・・・・、人生かくありたいもの。
でもそんな日が自分にやってくるとは思われない。
悲しすぎるよ、いまのニッポン。
晴耕雨耕曇耕雪耕雷耕・・・・・。

こんな口当たりまろやかな芋焼酎は、ちぃ~と、飲んだことない。
でもしっかり芋してるんだ。
だいぶ前に鹿児島に行った時、担いで帰ってきたもの。
後生大事に保管してあったけど、家計逼迫して、ついに開封。
しばしの幸せに浸ることができましたねぇ。
明日も耕日ですな。

Kondoraschin_brso_franck

バイエルン放送交響楽団60周年ボックスから、歴代指揮者順に聴く。
今回は、その死で未就任に終わった旧ソ連の名指揮者キリル・コンドラシン
1982年に主席指揮者就任予定だったが、81年に心臓発作で急逝してしまった。
この人の死も痛恨でありました。
モスクワ・フィルの指揮者として爆演系のイメージをもっていたけれど、マーラーやブラームスを得意にし、70年代中ごろから西側のオーケストラにも客演を盛んに行うようになり、そのイメージが変わっていったものだ。

 そしてついに亡命し、コンセルトヘボウとのあの奇跡のような名演「シェエラザード」でもって、ニュー・コンドラシンを世界に印象づけた。
ロシア系とのレッテルがいかに間違った印象を与えていたか。
知的なアプローチとオーケストラドライブの巧みさ、オケの持ち味を生かしたヨーロピアンサウンド。

ハイティンク離れをしつつあったコンセルトヘボウが主席客演指揮者の称号を与え、さらにバイエルン放送響が指名をし、ウィーンフィルも接近。各地のオケでもひっぱりだこ。
80年にはN響にも客演して、私はテレビ・FMにくぎ付け。
その時の曲目は、ブラ4、チャイコ1、プロコ5、ラフ3(中村紘子)、リャードフなどで、いずれもクールな名演だった。

そのコンドラシンが、バイエルン放送響と何回共演したかは不明なれど、初共演が80年で、即、主席指揮者決定だったわけで、どんなに相性がよかったか。
そして、急人気で取り合いになる前に確保したかったオーケストラ側の実情もあるかもしれない。
音源としては、ショスタコーヴィチの13番がやたら凄い演奏として残されているほか、本日のフランク交響曲もフィリップスから一時発売されていたはず。
当時、そのレコードを欲しかったけど、未入手。

そして、このボックスのハイライトともいうべき1枚を、いまこうして聴いてみて、驚くほどの素晴らしい演奏に目からウロコ状態なのだ。
 予想に反して、渋いフランドル調の木目感ただよう渋い演奏で、フランクの交響曲好きにはたまらない内容になっている。
アゴーギグのかけ方が絶妙で、ここはこうして欲しいというところで、ちゃんとそれが決まったりして、聴き手の波長ともばっちり。
オーケストラの明るく、柔らかな響きも、まさにフランクに相応しい。
でもオルガン的な重層的な分厚い響きはなく、どこまでもクリアーなところが、コンドラシンの指揮の知的なところ。
ロシア指揮者と南ドイツのオーケストラという、おおよそフランクとは結びつかないコンビによる、破格の名演だと思うのだ。

堂々たる1楽章からしてその見事な佇まいに目を見張ることになる。
何度も姿を変えて現れる循環主題それぞれにとても味わいがあって、リズムの刻みも見事。暗さとは無縁ながら、悲劇性も漂わすことに成功してる。
終結部のタメ、テンパニの一撃も極めてかっこいいい。
 明晰で正確極まりないピチカートに乗って歌われるコールアングレの歌は、思いのほかスッキリと流れるように歌われる、そんな第2楽章の始まりなのだが、中間部へ向かってだんだんとホットになってゆき、その緩やかな熱に聴いていて徐々に巻き込まれてゆくことになる。終わりの方では、テンポを落として、かなり歌い込むのが印象的。
 終楽章は、浮ついたところなく、かなり渋い。
でも音の出し入れが絶妙にうまく、テンポの揺らしも感興にのっていて自然で、ついつい引き込まれちゃう。最後は深い感動に包まれるのだ。


というわけで、ようやく巡り合えたコンドラシンのフランク交響曲。
私の21種類目となる同曲CDのなかで、もちろん相当上位です。
録音も音楽的で極上の素晴らしさ。
コンセルトヘボウとの放送ライブもあるみたい。

67歳で亡くなったコンドラシン。もう少し存命だったら、このコンビでマーラーやショスタコーヴィチ、ベートーヴェンなんかも聴けたのに。残念。

 

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コメント

yokochanさんならご存知だと思いますが、コンドラシンの名演の一つにコンセルトへボウとの「ボロディン/第2番」がありますね。急速テンポにもかかわらず、ピタっとついてくるオケの巧さは実に圧巻です!!暗殺説もあるようですが、実に惜しい指揮者をなくしたものです。記録によると亡命以前にベルリン・フィルに客演したようで、その時のソリストにギレリスも登場したそうです。プロは不明ですが、音源が残っていればぜひ聴いてみたいですね。

投稿: EINSATZ | 2010年3月19日 (金) 22時03分

こんばんは。さまよえる様。晴耕雨読ですか。私は自営業をやっています。今の仕事を始める前に妻といろいろ相談しまして次の条件を満たす仕事がないものかと一緒に考えました。①自宅でできること。②仕入れにお金がかからないこと。③お客さんが昼だけ来る仕事であること。④近所からも友人からもそこそこ評価される仕事であること。⑤若い女性、できたら女子大生とかがお客さんとしてくること。そういう仕事ってない?と妻に聴いたら「あるわけないじゃん!」と一喝されました。。。
しかし!今現在、私の仕事はいずれもクリヤーしています。現役女子大生(なんとなくイケナイ響きがあります)も毎日来てくれています。月謝も払ってくれています。世の中まだまだ捨てたもんじゃないですね!
フランクの交響曲を聴きながら投稿しています^^
カラヤン&パリ管の、まあ、BGMにもってこいの演奏です。

投稿: モナコ命 | 2010年3月19日 (金) 23時05分

こんばんは。大相撲は日本人力士の活躍が目立っていない。その上、朝青龍のことばかりが報道され、反省の色がなく、日本批判ばかり。
コンセルトヘボウはシャイーの時代になってからハイティンクの口から「メルゲンベルク、ベイヌムとオランダ指揮者によるコンセルトヘボウの響きは失われた。もう、戻らないだろう」と出たらしい。近年はヤンソンスがフランクの「交響曲」をネット配信してるくらい。シャイーのラテン的な響きだって悪くはないが・・・。
ドイツのオケでフランクの「交響曲」はジュリーニ、ベルリン・フィルのが出来上がりすぎてるのか、私には重たすぎる。期待しなかった録音(失礼)だが、アシュケナージ、ベルリン・ドイツ響の方がサウンドがハートフルでちょうどいいくらいのフィーリング。カラヤンがパリ管で名演になってるのもうなづけますね。フランスのオケを選んだのが正解だったと思います。フェチ曲でもあります。

投稿: eyes_1975 | 2010年3月19日 (金) 23時41分

EINSATZさん、こんばんは。
ボロディンはまだ聴いたことがないのですよ。
あのシリーズはすぐに廃盤になってしまいましたので。
暗殺説も聞いたことがあります。
今では想像できないソ連の闇ですね。
ひっぱりだこだったコンドラシンの録音が、もっと発見されるといいです。
ベルリンフィルとの共演なんてすごいんでしょうね!

投稿: yokochan | 2010年3月20日 (土) 00時38分

モナコ命さん、こんばんは。
まぁ、なんて素晴らしいお仕事じゃありませんか。
5つを満たすもの、あれこれ想像しちゃいますが、羨ましくて目尻が下がってしまいます。。。
 秋田ラーメン・ツアーを組んで、つぶさに拝見したくなります(笑)

カラヤンのフランク。レコードで散々聴きました。
EMI特有のムーディな録音ですが、かなり好きですね。
このコンビのチャイコフスキーやラヴェルなど懐かしいです。

投稿: yokochan | 2010年3月20日 (土) 00時45分

eyes_1975さん、こんばんは。
大相撲は、悪役レスラーがいなくなっちゃったら、意外とつまらなくなっちゃいましたね(笑)
伝統に則ったハイティンクの気持ちも痛いほどよくわかります。
シャイーやヤンソンスは、その伝統を活かしつつも、オランダのオーケストラではない、ヨーロピアンな存在に変えつつあるのかもしれません。

ご多分にもれず、カラヤンが私の初レコードで刷り込みです。ベルリンで再録音をしなかったのは、ホントはこの曲、好きじゃなかったんじゃないかと思ってます(笑)

投稿: yokochan | 2010年3月20日 (土) 00時55分

こんにちは、コンドラシンですが、私はN響に客演したときのプロコのキージェ中尉が忘れられません。当時のN響のビオラの人から聞きましたが、「コンドラシンは、練習中にあるソロパートがいつも同じ箇所でうまくいかなくなると、必ずその場所で止めて最初からきっちりやり直した。」そうです。だから、キージェ中尉の最後のほうは、数回通しただけで本番に臨んだとのこと。
また、岩城さんが、外国オケに客演した折、「音程がよく、バランスがよく、音色も澄んでいてすばらしいね。」と褒めたところ、実は、直前の演奏会の指揮者がコンドラシンだったからだ、と言われたそうです。コンドラシンはオーケストラの掃除人みたいだと言っていました。

投稿: 上野 | 2010年3月23日 (火) 09時01分

上野のおぢさんさま、こんばんは。
コンドラシンの興味深いエピソード、ありがとうございます。
耳がよくて、そして効率的な練習ぶりがうかがえますね。
おもえば、モスクワ・フィルは、当時、ソ連オケの中では緻密なアンサンブルだったように思います。
N響とのプロコフィエフを始めとする一連の共演は、いまもたまに聴いております!

投稿: yokochan | 2010年3月23日 (火) 20時28分

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