モーツァルト 「フィガロの結婚」 マリナー指揮
これ、なんだかわかりますか?
四角いキューブなお菓子。
なんと、シュークリームであります。
西宮にある、おどろ菓子「パティスリーブラザーズ」が作ってまして、梅田の阪神百貨店で並んで購入。
いろんな種類があるけど、すぐに売り切れてしまうらしく、夕刻あるものだけを手にいれ、ホテルの冷蔵庫に保管。朝一の新幹線だったので、家人をおどろ菓子て、食べさせることができましたぞ。
断面やなにかは、別館にてそのうちに。
ここはユニーク菓子が多くて、鮮やかなカラーバームクーヘンもたくさんあって、そちらの天然カラーも美味でした。
大阪らしいですなぁ~。
モーツァルトの「フィガロの結婚」を休日に聴く。
いやというほどの名曲。名旋律の宝庫。傲慢にも聴き飽きたなんて思ってた。
当ブログに初登場。本当に久しぶりに全曲聴いた。
そして、心洗われ、晴れ渡り爽快な思いに包まれた。
モーツァルトとはそういうもの。
マリナーの作りだす音楽もそう。
ルチア・ポップの歌声も。
アルマヴィーヴァ伯爵:ルッジェーロ・ライモンディ 伯爵夫人:ルチア・ポップ
フィガロ:ホセ・ヴァン・ダム スザンナ:バーバラ・ヘンドリックス
ケルビーノ:アグネス・ヴァルツァ ドン・バジリオ:アルド・ヴァルディン
マルチェリーナ:フェリシティ・パーマー バルトロ:ロバート・ロイド
ドン・クルツィオ:ニール・ジェンキンス アントニオ:ドナルド・マクスウェル
バルバリーナ:キャスリン・ホープ
サー・ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー管弦楽団
アンブロジアン・オペラ・シンガーズ
cemb:ジョン・コンステイブル
(1985.8@ロンドン)
フィガロの物語の前段にあたる「セビリアの理髪師」でもって初オペラ録音をしたマリナーは、ふたつめのオペラ録音に当然のように、得意とするモーツァルトの続編オペラを取り上げた。
劇作者ボーマルシェは、なかなかに破天荒な人生を送ったらしい。
セビリアでは2枚目伯爵が狂言回し的なフィガロとともに、ヒロインを色爺さんから助け出す喜劇だったが、フィガロでは、夫人がありながら伯爵は権力をかさに色仕掛けでもって、かねての仲間で今は従僕のフィガロの恋人を奪おうとする、イケない偉い人になってしまっている。
セビリアもモーツァルトがオペラ化したらどんなだったろう、と思わなくはないけれど、あれはやはり、典型的なブッフォとして痛快なロッシーニの音楽にこそ相応しい。
モーツァルトが選んだのは、貴族社会を揶揄したような、いわば革命的な内容のフィガロであったのだ。
いかにもモーツァルトらしく、ダ・ポンテの台本もここにこそ生きてくる。
ちなみに、ロッシーニのセビリアは1816年。フィガロは、1786年であります。
次々にあふれだす、名旋律の数々、それらを紡ぐ粋なレシタティーヴォ。
素直に楽しく、鼻歌まじりに聴くこともできちゃうけど、そこはモーツァルトの天才。
個性豊かな人物たちが一見単純なようでいて、それぞれに複雑な立場でもって、いろんな思いや感情を抱いてイキイキと存在している。
モーツァルトのオペラの常ではるが、フィガロは当時革新的な内容だっただけに、モーツァルトの筆が冴えているように思える。
そんな人物たちのなかで、私が今回注目したのは、バルバリーナであります。
え、何故かって、わたしのアイドル的歌手パトリシア・プティボンの2回の来日で、どちらの公演でも、そのはかなげなカヴァティーナを歌っていたし、CDにもおさめられている。
普段埋没しがちなこのカヴァティーナ「失くしてしまったの・・」は、4幕の冒頭、伯爵夫人とスザンナの手紙を留めたピンを探して歌うもの。
バルバリーナは、庭師アントニオの娘でケルビーノの恋人。好きものの伯爵をも手玉にとるような、おきゃんな娘だけれど、プティボンは、失くしたピンを大切な恋人のようにも思わせる深い感情表現でもって歌ってくれたのだった。
そのカヴァティーナのあとに歌ったのが、スザンナの「はやくおいで美しい歓びよ」だったもんだから、一環したちょっとしたドラマとなっていて見事なものになっていたんですよ。
こちらのCDでは、英国歌手のキャスリン・ホープ。ごく普通にきれいに歌ってます。
このように聴き馴染んだオペラも、ちょっと視点を変えて聴いたり観たりするのも楽しいもの。
そして、どこをとっても、しっかりモーツァルトしてるところが、モーツァルトの素晴らしいところの所以なり。
さわやかマリナーのオペラは、モーツァルトでは、このフィガロや魔笛に最高の適正を見出すことができる。端正で、でしゃばらずに素直にモーツァルトの音楽のみを聴かせることで、このオペラの愉悦に富んだ人間ドラマが語りつくされているように感じる。
そしてポップの伯爵夫人。
名スザンナから伯爵夫人へとステップアップしたポップの歌は、過ぎ去った幸せの日々を思い、貴族の立場の悲しみも思う深い歌いこみを見せていて、あまりにも素敵だ。
そう、彼女がゾフィーから元帥夫人に役柄を一段上げたように。
ここにポップの伯爵夫人が録音され残されたことに感謝しなくては。
ヘンドリックスの頭のよさそうな機敏なスザンナも、彼女ならではの心くすぐる歌声ではあるが、私にはちょっと歌い過ぎかとも思われるが贅沢なものいいか。。
ダムのお馴染みのフィガロもうまいものだが、真面目すぎで、天衣無為的な兄さんてきな雰囲気が欲しいところか。これまた贅沢なはなし。
ライモンディの威力ある伯爵は小憎らしくてユニーク存在になっていて面白いし、バルツァのケルビーノも定評あるところ。
80年代、最高の歌手を揃えたフィリップスの名録音のひとつでありました。
手持ちフィガロは、好きな指揮者ばかりが揃っていて、このマリナーに、アバド3種、ハイティンク、ベームといったところ。
休日の午後、外は晴れ、空は薄めのブルー。
フィガロで気持ちよく過ごせました
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コメント
こんばんは。
ポップのロジーナは、以前生で聴きました。でも、この時は、スザンナの方が聴きたかったのです。まあ、聴けたからいいか。
手持ちのフィガロのディスク、私のと、まったく重ならないのが不思議です。
神々の黄昏、すごく、良かったです。(涙!)
投稿: にけ | 2010年3月22日 (月) 17時15分
yokochanさん、こんばんは。
マリナーのフィガロは最近購入しました。
安くなるのを待っていたのですが。。。
まだ二幕しか聴いていません(^^ゞ
マリナーの音楽が実に気持ちがいいし
ポップの声も素敵です
録音が良いのも○です
投稿: 天ぬき | 2010年3月22日 (月) 18時16分
こんばんは。マリナーの「フィガロ」を持ってなくて申し訳ありません。手元にあるメータ、フィレンツェ五月音楽祭。アバド、ウィーン・フィル。カラヤン、ウィーン・フィルを調べてみました。
カラヤンのはフィガロがヴァン・ダム。存在するなかでスザンナがトモワ=シントウ。ケルビーノがシュターゼとなってるもの。メータのは3枚組5000円で購入した私にとって初「フィガロ」バリトンのガッロはアバドがフィガロでメータがアルマヴィーヴァ伯爵を演じています。そんな主要キャストです。
カラヤンはお国物。ザルツブルク出身が物を言うのか、流麗で極上の仕上がり。メータはがニューヨーク・フィルハーモニックでスランプに遭ったが、客演しているベルリン・フィルや歌劇場指揮者と原点に戻ってから立ち直った。ヨーロッパの方が環境に合っているみたい。ヴェルディ、プッチーニを指揮したようなカラッとした仕上がり。
「フィガロの結婚」はブッファ形式のイタリア・オペラに入るのか、イタリア演奏家が割りと多いみたいです。
ちなみにアバド、ロンドン響は「セヴィリャの理髪師」も取り上げて、こちらは決定盤でしょう。
投稿: eyes_1975 | 2010年3月22日 (月) 23時20分
贅沢ですね~その配役。
私はフィガロに関してはずっと、子供の頃テレビで観た
ザルツブルグ音楽祭の映像が頭に刷り込まれてしまっていて、
他の配役だと誰のを聴いても何となく違和感を覚えてしまう病に
かかっておりました。
(アルマヴィーヴァがトーマス・アレン、フィガロがフェルッチョ・フルラネット、
スザンナがドーン・アップショウ、ケルビーノがスザンヌ・メンツザー・・・etc)
が。
こんなに贅沢な配役の録音があるんだったら、聞いてみようかな~。
ちなみにシュークリームも、いいですね~~。。。。
チューリッヒはシュークリーム、売ってないんです。信じられないことにっ。
ドイツ語圏だからかもしれないけど、
スイス人お菓子の概念が分かってないと思います。(-_-;)
日本ってステキ・・・。
投稿: 恋するオペラ | 2010年3月23日 (火) 08時21分
にけさん、こんにちは。
ポップのロジーナをご覧になったとは羨ましい!
スザンナは、晩年歌わなくなってしまいましたね。
名歌手は短命であります・・・。
今回は、ディスクがかぶりませんでしたか(笑)
アーノンクールやガーディナーも聴いてみたいと思ってます。
わたしの黄昏は30日です。
体調管理万全に努めます!
投稿: yokochan | 2010年3月23日 (火) 12時44分
天ぬきさん、こんにちは。
天ぬきさんもお聴きですかマリナー盤。
豪華配役陣とマリナーの指揮、そしてフィリップスらしい優秀録音は、聴いていて、ほんと気持ちがいいですね。
休日向きのディスクです!
投稿: yokochan | 2010年3月23日 (火) 12時46分
eyes_1975さん、こんにちは。
カラヤンのフィガロは欲しいのですが、昔のザルツブルクライブの自家製CDで我慢してます。
カラヤンのスタイリッシュなフィガロもいいですね。
ウィーンフィルだし!
あとメータも気になるところです。
ガッロはアバドの二番煎じかと思っていたら、伯爵歌ってるんですか。
ガッロは、新国の常連で何度か観てますが、歌も演技もさっそうとしていて、かっこいいですよ。
メータはDVDも出てますね。
よほど、フィガロが好きなんですね。
アメリカではオペラを振る場所がなかったからでしょうか、まさに復調ですよね。
アバドのセビリアは、もう最高ですよ!
投稿: yokochan | 2010年3月23日 (火) 13時02分
恋するオペラさん、こんにちは。
スイス、というかドイツ圏にはシュークリーム売ってないのですか!
やはり、お菓子はフランス系何でしょうか?
以前、ウィーンでザッハトルテをや、木苺かなにかのデザートを食べて、あまりの甘さとボリュームに泣きそうになったことがあります(笑)
やはり、日本はステキですよ(笑)
和洋のお菓子に、和食も洋食もみんな美味しい!
スイス人に教えたいですねぇ〜
ご覧になった映像は、ハイティンクの指揮によるものかと思われます。
懐かしいです。
こちら、マリナー盤も気持ちいいモーツァルトになってますよ。
投稿: yokochan | 2010年3月23日 (火) 19時44分