チャイコフスキー 交響曲第5番 メータ指揮
トンネルの先は桜。
都心部でも数少ない山、そしてトンネルは、愛宕山でございます。
港区に山があり、トンネルがあるんだもの。
残された東京の不思議。
山の上にある愛宕神社。
急な男坂と緩やかな女坂があって、こちらは男坂。
出世坂と言われておりますよ。
おばあちゃん、大丈夫かい?
わたしも、これはきつかった。
そして出世なんぞも遥かに遠くなってしもうたわい。
今日は何故だか、チャイコフスキーの交響曲第5番が聴きたくなって、このエントリー。
ケンタッキー・フライドチキン、吉野家の牛丼、マクドナルドのチーズバーガー、日清カップヌードルなど、何故だか無性に食べたくなる味ってあるでしょう。
みんな、メタボにゃ毒だけど、おいしい。
それとおんなじ感覚が、チャイコの5番。
名曲だけど、運命や田園、悲愴や新世界ともちょっと違った無印系の名曲。
誰もが大好き。嫌いな人はいないと思う。
でも、B級グルメ的な存在なんだよなぁ。
だって、おいしすぎるんだもん。
心くすぐる調味料の数々。今思えば、味の素なんて最高の隠し味だったし。
さらに、でもですよ、昨今は隠し味なしに、作品のシャープな魅力を浮き彫りにした秀演が多いのです。
手垢にまみれてしまった有名曲に新しい解釈を施すって、決して奏法などの手法の問題だけじゃないですね。
手先じゃなく、音楽をどれだけ感じて、その感じた通りを再現できるかです。
奏法はその手段のひとつにすぎません。
作曲された譜面を作者以外は、その思いをどう再現し、いかに思い通りに近づけるしかないのですが、その作者の思いは100%他人が復元できませぬ。
だから難しいこと考えずに、感じたままを音にしている演奏のほうが、人を感動させ、説得力が強かったりするんですな。
メータの演奏を70年代から聴いてきて、この人の当時の演奏が今でも決して色あせないのは、そのゴージャスな色使いと、いまや渋さを感じるまでの楽器の使い方がずっと新鮮であること。
チャイコ5番においても、その爽快・前向きな推進力が聴く者に「かっこよさ」を印象づけるとともに、これまで聴いたことのないような意外なまでのスピーディさが清新なイメージを強く聴き手に与えてくれるんだ。
だから、音楽って、小難しいことを考えなくてもいいんだと思う。
愛する神奈川フィルも、袋小路に入り込んでしまった。
めんどくさいことはおいといて、普通に、そう、感じたまんまを聴かせて欲しいもんだ。
メータのチャイ5には、この1977年のロサンゼルフィルとの全集録音のまえに、イスラエル・フィルを振った60年代末の録音があって、そちらの復活を私は熱望してるんだ。
この曲は、テレビで視聴した岩城・N響の70年頃の演奏がすりこみで、すぐあとにカラヤンのレコードを購入。
同時に、雑誌でみたメータのレコードがやたらと気になっていたんだ。
それから40年以上。
未聴のこの演奏、無性に聴いてみたい。
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コメント
こんばんは。メータ、ロサンゼルス・フィルによる「第5番」持ってます。ポップ乗りで爽やかさが加わっているのか、カフェテラスのようです。手持ち「全集」はカラヤン、ベルリン・フィルだけですが、「後期交響曲」を含む「第5番」になれば割と持ってます。カラヤンのウィーン・フィルはベルリン・フィルに比べ、テンポが遅めになっているのか、歌謡曲寄りですね。アシュケナージ、フィルハーモニア管やムラヴィンスキー、レニングラード・フィルはまさにド演歌のような名調子。バーンスタイン、ニューヨーク・フィルハーモニック(再録)は人生の集大成でバラエティに富んだ濃い内容です。ファミレスのように和洋折衷でしょう。
チャイコフスキーは敵なしの作曲家であることは間違いないようですね。
投稿: eyes_1975 | 2010年4月20日 (火) 22時59分
eyes_1975さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
これだけの名曲ともなりますと録音の数も山のようにありますね。
そしてその演奏もそれぞれに特徴があります。
あげられた演奏の数々、いずれも言い得て妙です!
うまいこといいますね!
メータ盤はテンポ感が一番速くかんじます。
オケも明るくてまさにウエストコーストであります。これもまた、好きなチャイコです。
投稿: yokochan | 2010年4月21日 (水) 20時26分