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2010年4月29日 (木)

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 カラヤン指揮

Kakuda_kouzouji
水車のある風景。
昨年画像で恐縮です。
5月の東北は宮城県角田。つつじ満開でしたね。

Karajan_beetoven6
このグリーンのジャケット。
録音何度目かの「カラヤンの田園」でしょうが、わたしが小学時代に手にしたレコードがこれ
オーケストラはベルリンフィル
まだそのまま持ってますよ。
クリスマス・プレゼントで買ってもらってから、40年。
ジャケットはカビも生えず、しっかりしてます。
後年買ったのレコードはもう痛んでるけど、この当時のものの数々はしっかりした装丁でありながら現在でもきれいだし、経年劣化が全然ないのだ。
 レコードも重量感あったし、すべてにおいて手抜きなしの芸術品的なまでの存在がレコードでありました。
Karajan_beetoven6_a
ジャケットを開くと、いわゆる見開きで、ハイリゲンシュタットの雰囲気ある写真。
Karajan_beetoven6_b
カラヤンのかっこいい写真と、詳細な解説。

いまの世の中は、無駄を最小限に、ニーズの吸収も最小限に。
事業仕訳よろしく、「そんなものいらない(だろう)」よろしく、すべてカット。
こうして、潤いのない世の中がますます切り詰められていくのでありました。

お金のかかるクラシック業界。
世界的な観点からも、既存の大御所的存在世界からも、きっとおそらく手を付けにくい業界でありましょう。
 でも、これでもって戦後築かれてきた音楽業界でありましょう。
枠組みを変えずに、仕組みを変革することで生き残り進歩していって欲しいものと思いますね。

あらら、カラヤンのベートーヴェンと離れてしまった。

いまでも重厚でかつ、キビキビし、そして明快。
そんなカラヤンのべートーヴェンはオールマイティで、田園らしい麗しい歌も行きわたった濃密な演奏なのでありました。
 彼らコンビは、何度も何度も演奏しつくした音楽でありましょうが、聴く側に強い説得力を植え付けるのは、彼らプロの音楽家の日々の精進のたまもの。
それがそのまんま、録音に刻まれたわけで、こちらもその一例だし、カラヤンとベリルリンフィルの永年のつながりの賜物が残された録音の数々のひとつですな。

中学生時代に聴いた、本格田園がカラヤンのこのレコード。
1962年の録音とは思えない鮮明さ。
当時は普通だったけど、その後早すぎ・都会的すぎ、と感じたカラヤン田園。
でも、いまや普通に「田園」じゃありませんか!
ベートーヴェンのイメージ、田園のイメージ、それらすべてが最大公約数で満載じゃありませぬか!
カラヤンのいいところは、このあたり、音楽の本質をあやまたずに、確実に捉えて、それをスタイリッシュに再現してしまうところ。

終楽章なんざ、泣けますねぇ~

Karajan_59 カラヤンといえば、映画。
同じ小学生時代、カラヤンの音楽映画が、生コンサートに先駆けてのクラシック音楽初ホール体験。
クルーゾ監督のモノクロ第5と、自身監督、ヤノヴィッツ・ルートヴィヒ・トーマス・ベリーの豪華第9。
 これまた40年前。
その会場が、新宿の厚生年金会館だったんだ。
先月末に閉館となってしまった、こちらのホールは、クラシック音楽の名演も数々刻んだホールで、まったくもって悲しくも寂しい時の経過を感じる出来事でございました・・・・。

わたくしも、古い人間でございますね。

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コメント

こんばんは。カラヤンはベートーヴェンと大変、縁が深い。また、オーディオ面にこだわりを持ったことも有名ですね。SPやステレオ期、デジタル期。そして、CD開発では鶴の一声で1枚74分に収まるようにしたのは第九の演奏時間に合わせたからだそう。EMIよりドイツ・グラモフォンの方がオーディオ面に優れているのでしょうかね。
いいね~。「田園」は。カラヤンにいくつか存在する中では1970年録音の「全集」からですが、これからの季節にぴったりですね。また、第九はトモワ=シントウのソプラノ。それに近いのはハイティンク、コンセルトヘボウによる「全集」「エグモント」序曲が併録され、第九はポップのソプラノによるもの。コンセルトヘボウとのベートーヴェンは多数ありますが、1980年代後半に録音されたこのコンビによる響きは1960~1970年代のカラヤンの真似をしたのかな、と疑いたくなります。(それにしてもハイティンクにもベルリン・フィル録音は多数ありますね)
フィリップス消滅。歌舞伎座も閉館されました。これも時代の流れでしょうか。新しい歌舞伎座は斬新なものだったりして・・・。

投稿: eyes_1975 | 2010年4月30日 (金) 20時25分

eyes_1975さん、こんばんは。
毎度ありがとうございます。

カラヤンの録音はほんとに多いですが、ベートーヴェンが随一でしょうね。
意外や朝比奈さんもそうなんですが・・・・。
何度もある録音は、基本は同じに感じますが、こちらのDG1回目は、腰が座っていて、そしてイエスキリスト教会の録音がまた素晴らしいです。
EMIじゃなくって、ほんとよかった!

ハイティンクとコンセルヘボウは、まるで一筆書きのような芸術品ですね。
カラヤンのこちらDG盤とも、そういう意味では似てます。
ハイティンクには、ロンドンフィルとの70年代の録音もありまして、私的にはそちらが美しいベートーヴェンだったと記憶してます。
復活して欲しい候補ナンバーワンです!

過去のものを、おいそれと捨ててはいけませんね・・・・。

投稿: yokochan | 2010年4月30日 (金) 23時37分

同じ音源か分かりませんが、とても懐かしいですね〜。

カラヤンの田園は、実家で最初に購入したクラシックLP。

私がクラシックに興味を持ち出した頃、母親が「実は、家にもクラシックのレコードが1枚あるのよね〜」と風呂敷に包まれた(もしかしたら、そうじゃ無かったかもしれませんが、記憶の中のイメージ的には風呂敷に包まれていました)LPをタンスから出して来ました。

それが、カラヤンの田園。
ジャケットが違う(黒っぽいデザインのグラモフォン盤)ので、もしかしたら違う録音年の物かもしれませんが(カラヤンに疎いので…)、比較的初期のステレオ盤でした。

カラヤンの第9の映画も見ました。格好良いカラヤンの指揮姿をさまざまな角度から写した映像が、今だに記憶の中にあります。

その後、比較的最近までアンチカラヤン道をひた走ってしまった私ですが、とても懐かしい音源です。

最近、後れ馳せながらカラヤンを再評価しており、これも是非再聴してみたいです。LPは今でも持っていますが、プレイヤーがダメになってしまったので、ブックオフCD250円物を狙います(笑)。

投稿: golf130 | 2010年5月 1日 (土) 11時21分

golfさん、こんにちは。
わたくしも、アンチのクチでして、アンチ暦相当長いですが、これもまた同じく再評価中のカラヤンです。
巨人・大鵬・カラヤン=誰しも通る道かもです。
その分アンチになると、徹底してしまうんですな。

風呂敷からあらわれ出でた田園。
きっと同じ音源です。
DGには、これが1回目の録音のはずでして、カップリングを変えて何度も発売されていたと記憶します。
 映画もそうですが、最近、昔を懐かしむ自分の心根に老いを強く感じます(笑)

音源発見、成功をお祈りします!

投稿: yokochan | 2010年5月 1日 (土) 12時58分

 今晩は。過去記事に書き込み失礼いたします。
カラヤンの田園は、70年代のベートーヴェン全集に入っていたのと80年代の最晩年の最後の録音しか聴いたことがないです。最初に聴いたのが最後の録音で、高校時代のことでした。最近DGのカラヤン・シンフォニーエディション38枚を購入し、全部聴きました。やはりこの人は希代の大指揮者だと思いました。特にブルックナー全集は恐るべき出来栄えですね。00番と0番が入っていない全集ですが、どうして録音しなかったのかカラヤン本人に尋ねてみたくなりました。ライバルと言われることが多かったカラヤンとレニー。昔はレニ一一辺倒だったものですが、最近はカラヤン&ベルリンフィルの豪華華麗な響きに陶然となることが多くなりました。アンチ・レニーになったわけではもちろんありませんが。
 ブログ主様は本当に過去の思い出の品を大切にされる方ですね。62年録音の田園のLPをこれほど立派な保存状態で今でも持っておられるのには驚きです。

投稿: 越後のオックス | 2010年8月 8日 (日) 22時55分

越後のオックスさん、こんにちは。
暑いですね。

わたしは、過去の思い出に生きている、といっても過言ではありません(笑)
ですから、カラヤンも70年代なんです。
古めのカラヤンを見直して、80年代を聴けたらいいと思ってますが、ほかに聴くものがたくさんあってたどりつきません。
すごい、全集を購入されましたね。
1枚1枚聴くよりは、まとめて揃えたほうがいいのかもしれません。
レニーもニューヨーク時代が好きだったりします!

投稿: yokochan | 2010年8月 9日 (月) 13時04分

「田園」って歳を重ねるごとに好きになっていく曲です。
解説に、ベートーヴェンの自然賛歌は厭世観の裏返しとありますが
マーラーもそうかも知れません。
終楽章は「涙の後には虹も出る」って言ってるみたいです(笑)

「ベートーヴェン200CD」という本によると、この曲は「指揮者殺し」だとか。
「第5」と同じくリズムが重要な曲だからでしょうか?

投稿: 影の王子 | 2011年11月13日 (日) 00時42分

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