« 「エルガー 弦楽セレナード ヒコックス指揮」&「旭川紀行」 | トップページ | ヨゼフ・シュトラウス 「天体の音楽」 ボスコフスキー指揮 »

2010年5月16日 (日)

ライプチヒ弦楽四重奏団 演奏会

Musashino_hall
きれいな、いやちょっと豪華すぎのシャンデリア照明。
これは、昨晩行った武蔵野市民文化会館のロビー。
でもコンサートの内容は、このような華美なものとは縁遠い渋さとロマンの溢れる充実の極みでございました。
そして、小ホールは、正面にパイプオルガンが据えられ、親密な雰囲気のとても会場でありましたね。
 
Leipziger_st
それは、シューマンの3曲ある弦楽四重奏曲の連続演奏会。
ゲヴァントハウスのトップ奏者たちからなるライプチヒ弦楽四重奏団の演奏。

いつもお世話になってます、シューマン愛のはるりんさんがチケットを手配くださり、聴いてきましたよ。ほんと、ありがとうございました。
なんたって、チケットが@1500円。
しかも、はるりんさんが、武蔵野文化事業団の会員さんなので、さらに1割引き。
こんな破格値で、世界の一流奏者の演奏が聴けるなんて素晴らしすぎ。
都心郊外の自治体だからできること。
市民は文化度が高く、行政も的確な芸術支援を行って、とてもいい効果を生んでいると、羨ましくも感じた次第。
さらに、今回はドイツ文化センターの強力な支援もあったそうです。

シューマンの四重奏曲は、まったく未聴の分野。
1番のみ、出かける前にネットで聴くことができたけれど、捉えどころがないままに、不安のうちに三鷹駅まで。
はるりんさん、golfさん、初めてお会いするdokuohさんと、4人並んでの鑑賞とあいなりました。
音楽好きで満員の会場。おっ、最前列にはいつでもどこでも拝見するあの方の姿も・・・。

シューマン31歳の1842年の室内楽の年に短期間に書かれた3曲。
前年の交響曲の年にもあるように、古典の形式や先達を意識したこれらの作品。
初めて聴いて、ベートーヴェンの厳格さやメンデルスゾーンの伸びやかさも感じることができ、後に聴き進むにつれて、シューマンらしいロマンの芳香と複雑なる内面をも感じるようになる。
ひとりの作曲家が短期に書いた作品群を連続聴きすることの意義は、極めて大きく、初ものなのに、私は集中力を切らさず、大いに楽しみ、聴き惚れたのでございました。

 シューマン 弦楽四重奏曲第1番 イ短調
        弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調
        弦楽四重奏曲第3番 イ長調

      ライプチヒ弦楽四重奏団
           (2010.5.15@武蔵野市民文化会館小ホール)


1番:イ短調の憂愁と激情の交差するドラマテックな曲。
幽玄な出だし、2楽章のスケルツォの面白さ(ちょっと壊れかけてる・・・)、3楽章のロマン。

2番:牧歌的なおおらかさ。メンデルスゾーンみたい。
変奏曲形式の2楽章にうっとり。1番や2番の交響曲の終楽章と同じようなフレーズを感じさせる最終楽章。

3番:全体に漂う幻想味。この曲が一番、われわれが思うシューマンらしさあり。
自由なスタイルで、1楽章から自在さただよう。
2楽章は、こちらも変奏スタイル?、曲想やテンポも揺れ動き、とても印象的だ。
3楽章の緩徐部分。明滅するかのようなロマンがあふれる素晴らしい楽章。
終楽章は、とりとめなさが魅力。これもまたシューマンらしい。

こんな印象を帰りの電車のなかでまとめてみたシューマンの四重奏曲。

まさにゲヴァントハウスの面々で初演されて、ずっと演奏されてきたその伝統をしっかり受け継いだ本物の方々による演奏。
完璧極まりない名演奏。
美しくブレンドした音色に、インティメートな同胞意識の漂う統一感が溢れる。
みんなライプチヒ出身か、同じ学校。
 でも、古きよき伝統に乗っかってるんじゃなく、いまの潮流にのり、スマートで機能性も鋭さも充分兼ね備えた四重奏団に感じましたね。
4人のなかでは、ビオラがとても美しく存在感がしっかりありました。

いやぁ、よかった。
シューマンの四重奏曲たちが、こんなにステキないい曲だったなんて。
オペラや重厚長大、世紀末系・英国系が主体のわたくし。
室内楽や器楽の森は、まだまだ大きくそして広いです。

Watami_5
アフターコンサートは、三鷹駅近くの居酒屋で、そう、クラヲタ分科会を開催。
いいコンサートのあとは、いま聴いた音楽のこと、みんさんの好きな音楽のこと、そしてこの夜は、日が日だったですからね、シューマンのことなどで楽しく歓談。
ゼブラーマンフェアと、九州フェアをやってましたよ。
それで、左下はトルコライスの石焼き。ドライカレーにナポリタンにチキンカツ。

みなさん、おつかれさまでした。

|

« 「エルガー 弦楽セレナード ヒコックス指揮」&「旭川紀行」 | トップページ | ヨゼフ・シュトラウス 「天体の音楽」 ボスコフスキー指揮 »

コメント

こんにちは。yokochanさん。
無事にお帰りできたかと心配しておりましたが、よかったです。
なにぶんド辺鄙なところにあるホールなものですから。

それにしてもすっごい演奏会でしたよね。
渾身のシューマン!!!
なんというかドイツというよりザクセン出身の同胞意識って言うのかしら。共通の音楽感だけでなくて、脈々とした価値観とでもいうのか、それが伝統なんでしょうね。
なんか「シューマンを聴いたー」という感じがすごくした演奏会でした。

もう私は幸せで幸せで、家に帰ってからも心ここにあらずで至福のひと時の余韻に浸っておりました。


投稿: はるりん | 2010年5月16日 (日) 16時17分

はるりんさん、こんばんは。
昨日はどうもありがとうございました。

都心では味わえない雰囲気ある環境で、シューマンの四重奏曲に開眼しました。
これが、サントリーあたりじゃこうはいかなかったでしょう。上野の文化会館小ホールが近いイメージでしょうか。

あの生真面目そうな4人の奏でるシューマンには、誰しも魅かれたでしょうね。
ほんと素晴らしかった。
そう、シューマンを聴いたっーー、ですよ。

はるりんさんの幸せも、我がことのようにわかります。
またよろしくお願いしますね。

投稿: yokochan | 2010年5月16日 (日) 21時26分

こんばんは。今回は参加できず、残念でした・・・(涙)。
武蔵野のホールは、1度だけ行ったことがあります。ツィメルマンの素晴らしいベートーヴェンのソナタ(31番)の演奏が耳に残っています。
が、こんなシャンデリア、あったっけっか?(笑)。

シューマンの演奏も実によかったようですね。なかなか3曲まとめてやる機会というのはないでしょうから、
やはり貴重な演奏会だったかも知れませんね。

そしてアフターコンサートもいつものように盛り上がったようですね!ぜひ今度はご一緒させてくださいっ!

投稿: minamina | 2010年5月16日 (日) 23時26分

minaminaさん、こんばんは。
行ってきました三鷹・吉祥寺。
私には横浜より遠い地でしたが、あまりに素晴らしい音楽に演奏に大満足でした。

アフターコンサートだと、そんなに飲む時間がないので、結構シラフで元気よく、計算しつくしながら帰れます。
しっかし、総武線は夜中なのに朝なみの混雑。
毎度不思議でならないですよ~

次の機会は是非とも!

投稿: yokochan | 2010年5月16日 (日) 23時56分

土曜日は有難うございました。そして遠いところをお疲れ様でした。

シューマンの弦楽四重奏という未知の作品を素晴らしい演奏で聴けて感動でした。

帰宅は、終バスが終わっていたので、最寄駅からタクシー代をケチって歩いたのですが、途中にラーメン屋が…。

足を止めてだいぶ悩みました。

しかし、グッと堪えて我慢。

無事に帰宅致しました(笑)。

川崎も行きたいですね!
スケジュール確認しなきゃ。

投稿: golf130 | 2010年5月17日 (月) 00時35分

golfさん、こんにちは。
その節はどうもお世話になりました。
飲みつぶれて、昨日は会社泊、こんなに遅くなってしましました(涙)
私も、タクシー乗り場の前に千葉名物のガード下ラーメンが数店あり、多大な誘惑を振り切って帰りました。
歩くと1時間30分かかりますので、徒歩を断念し、メーターをにらみながら、途中下車して徒歩、というセコイ行動に出ました(笑)

あ、本題のシューマンの四重奏、曲も演奏も、大いに気にいりました。
川崎、調整しましょう!

投稿: yokochan | 2010年5月18日 (火) 11時02分

ライプチヒ四重奏団ですか。うらやましい。。。私の街にも以前来たことがあった。。。んだろうか??私が聴いたのはゲバントハウス管弦楽団のトップの奏者による四重奏団です。これって同じメンバーですか?私の聴いたのはとにかくシブ専でして、ブラームスにシューマン、ベートーベンの作品群でした。でも弦楽四重奏を大好きな私には楽しいコンサートでした。シューマン!よいですね^^しかも!なんです!^^トルコライス!そうか。。。シューマンとトルコライスか。。チキンカツに名ビオラ奏者か。。。すごいマッチングですね。それにしても、ビオラの演奏にうなるとは!さまよえる様の音楽を聴く耳というか見る目というか!すごいんですねー。。。

投稿: モナコ命 | 2010年5月18日 (火) 16時18分

モナコ命さん、こんばんは。
この分野に疎いワタクシですが、当夜は心から感動しました。
1988年の創立、当初はゲヴァントハウスの主席級だった方々による四重奏団が、独立専念して今にいたる方々みたいです。
モナコ命さんが聴かれたのも、渋いコンサートですね。
 今回もヲタク好みの一夜でした。

そう、トルコライスうまかったですよ。
そしてビオラのツィーツーという音色が歌声のようで好きなんです。

いいコンサートでした!

投稿: yokochan | 2010年5月18日 (火) 23時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ライプチヒ弦楽四重奏団 演奏会:

« 「エルガー 弦楽セレナード ヒコックス指揮」&「旭川紀行」 | トップページ | ヨゼフ・シュトラウス 「天体の音楽」 ボスコフスキー指揮 »