シューマン チェロ協奏曲 グートマン&アバド
先週の夕暮れ。
夏至の日でした。
夕焼けの後は、晴れるけど、春や梅雨時は天候の変化が激しいから、翌日はたいてい雨。
でもね、この次の日は梅雨なのに晴れてむしむし、暑かったですよ。
なんだか、わからない日本の天気。
気象も亜熱帯・東南アジア系の日本。
選挙カーや街角演説もかまびすしい。
若者を中心にワールドカップは、日頃の不平不満や不安を忘れさせてしまう吐け口となっている。
ヨーロッパの強豪の衰退ぶりと、新興国の躍進。
でも、このサッカー熱狂は、一時的に麻薬みたいなもんで、社会情勢は、そんなことお構いなしに進んでいるわけで、強弱の格差はますます広がりつつあるし、物の売れない社会は、売り手の側からすると深刻な状態。
そしてなにより、政治の話題がお留守になってしまう・・・・。
気が付いたら、民主・自民の大連立に野党は少数政党のみなんてことになりかねない。
ワールドカップもほどほどに・・・。
まだやってますよ、アバド特集。
イタリア人アバドも、サッカーは大好きで、サッカー小僧が指揮者になったようなもんだ。
小澤さんはラガーマンだったし、一慨にはいえないけれど、優れた指揮者はやはり身体能力が優れていて、スポーツマンなんですな。
アバドが、若い音楽家を愛し育てるのはご承知のとおり。
30代の若いころからそうした傾向はすでにあって、各地のユースオケを好んで指揮してたりしたけれど、ここにアバドがタイトルを持ったオーケストラをまとめてみた。
間違ってたらご指摘ください。
楽 団 | 任 期 | |
1 | ミラノ・スカラ座 | 1968~1986年 |
2 | ウィーンフィル | 1971~1991年 |
3 | ロンドン交響楽団 | 1979~1988年 |
4 | EC(EU)ユースオーケストラ | 1978~1990?(創設者) |
5 | ヨーロッパ室内管 | 1981~?(創設者) |
6 | シカゴ交響楽団 | 1982~1985年 |
7 | ウィーン国立歌劇場 | 1986~1991年 |
8 | ベルリン・フィルハーモニー | 1990~2002年 |
9 | マーラー・ユーゲント・オーケストラ | 1996~ (創設者) |
10 | マーラー・チェンバー・オーケストラ | 1997~2003年 (創設者) |
11 | ルツェルン祝祭管弦楽団 | 2003年~ (創設者) |
12 | モーツァルト・オーケストラ | 2004年~ (創設者) |
超一流と若者オケ。
こんな経歴を持つ大物指揮者って、かつてない存在であります。
南米ベネズエラまでその視野に入っているから驚き。
何度も言うけど、アバドが無能だとか優等生だとかいうまえに、こうした経歴をつぶさに見て考えて欲しい。
こうしていつまでも若々しい音楽造りができるのですな。
この中に、もしかしたら、ニューヨークフィルやパリ管も入っていたかもしれない。
ニューヨークは、ウィーンのオペラのオファーがなければ、メータの後任として、本人もその気だったらしいから!
さてさて、現在のルツェルンのオケの主体となっているマーラー・チェンバーとのCDから、これまたルツェルンの贅沢なオケのチェロ奏者でもあるナターリヤ・グートマンと共演したシューマンのチェロ協奏曲を聴きましょう。
グートマンのチェロはとても繊細で味わいが深い。
豊かなチェロの音色も堪能できるけれど、内向的で渋いシューマンの協奏曲の本質を突いたかのような美しくもじんわりと心に響くような木質感ただよう音色。
アバドの敏感かつ鮮烈なバックに乗って、シューマンの難解で取りとめのない音楽を丁寧に、ひも解いてくれるような演奏なんです。
でも、短い第2楽章にほとばしるのはロマンティシズムの境地です。
1850年、シューマンの後期の作品は、演奏によっては難解で、なにも残らずに、はかないまでにあっさり終わってしまう、そんなとらえどころのなさもある曲。
気心の知れたアバドとグートマン、そして鋭敏な若いオーケストラのつくり出すシューマンは、一日の終りに、お酒じゃなくてコーヒーを飲んで、自分の内面とじっくり向き合いつつも、心を安らかにしてくれるような効能にあふれているのでありました。

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