« プッチーニ 「ラ・ロンディーヌ」~つばめ~ ジェルメッティ指揮 | トップページ | シューマン 「ばらの巡礼」 ① »

2010年6月 7日 (月)

オルフ 「カルミナ・ブラーナ」 神奈川県民ホール開館35周年記念 

Yamashita_park_4 
陽光あふれる、山下公園のばら園。

今日、日曜日は、開港記念バザールや、Y151(?)のイヴェントで、湾岸地区は大賑わい。
県民ホールでのコンサートは、関内から歩くことにしてるので、余裕をもったつもりでも、今日の山下公園方面へのルートは、人で一杯!!。
休日コンサートは、家族への負い目もあったりして、ギリギリの行動なので、よけいにひっ迫した動きをしなくてはならず、並みいる方々を押し分けつつ、ゴメンなさいよ、と思いつつ、突進。
それでも、ちゃんと想定内に到着し、公園内を散策するゆとりも。

Yamashita_park_2
今日は、山下公園でもイヴェントたくさんで、ボート競技もやってたし、これは任意かもしれませぬが、怪しげなセーラー・コスプレ軍団もいましてね、彼ら、彼女らがヴァイオリン持ってたんですよ。
いったい、なんだったんでざましょ。

Img

そんな賑やかなヨコハマベイにある、神奈川県民ホールでは、ホール開館35周年/神奈川国際芸術フェスティバルの、素敵なコンサートが行われたのでございます。

日本晴れの初夏の日曜日。
気温は26℃。
ともかく、ちょっと汗ばみつつも、2週連続、気分良く35年目のホールに到着。

   団 伊玖磨      素戔鳴ファンファーレ

   ショスタコーヴィチ 祝典序曲

   ストラヴィンスキー 組曲「プルチネルラ」

   オルフ        世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」

       S:幸田 浩子    T:高橋 淳
       Br:堀内 康雄

      現田 茂夫 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                   神奈川県民ホール特別合唱団
                                       小田原少年少女合唱隊
                  合唱監督:近藤政伸
                  合唱指導:岩本 達明、桑原 妙子
                  練習ピアニスト:平川 寿乃、藤井 美紀
                    (2010.6.6 @神奈川県民ホール)

 

当日気がついた団伊久麿のオペラのファンファーレ。ずらり勢揃いの圧巻ブラス。数えましたよ、トランペット12、ホルン8、トロンボーン4、テューバ2の偶数。
若い人たちだし、華やかなもんです。
でもって、次のショスタコに向けて、オーケストラメンバーが出てきてからも、26名さまは、そのまま。
ははぁ~ん、やる気だな。中身の薄めな曲も、こんなことされたら、面白くて、しょうがないじゃないか
それよりも、先週、音像が遠く感じたホールとは思えないくらい、音がよく響き、耳にびんびん届いてくる。
先週は1階中央、今回は2階左の一番壁より。
上には、3階部分が被さってる。
不思議なホールであります。

ホールのことは置いといても、ショスタコの第一声から明るめで、きらめくような神奈川フィルらしい音色が響いたのですよ。
一週間前の、金さんマーラーの時は、こじんまりしたなかにも、清々しい響きを聴かせてくれたのに、今回は、曲目や編成のことは棚にあげても、豪奢で輝かしい音がする。
 台の上の指揮者によっての違い、面白いもの。

マーラーは、作曲家の術中に見事ハマってしまい心に感動を落としこんでくるような音楽だけど、今宵の曲目、まさにオルフなどは、五感をそれぞれに刺激されてしまうような、気持ちのいい感覚の音楽だったわけで、現田さんのもっとも得意とする分野ではないかと。

さて、プルチネルラは、5人の弦の主席がソリストのように、舞台前面に出ての演奏。
なるほど、こんな風に書かれていたんだと納得。
2年前のシュナイトさんの濃密な凄演を聴いてしまっているだけに、比較のしようがないのであるが、すっきりといかにも新古典風のさわやかなストラヴィンスキーでありました。
欲を言えば、もう少し編成を刈り込んで、軽やかに演奏して欲しかった気もしますけど。

メインのカルミナ・ブラーナは、合唱350名がステージにギッチギチ乗って、見るからにゴージャス。
展開された、この日のカルミナは、華麗で色彩があふれ、リズムも抜群。
単純なだけに、思わず指が、体が動いてしまう。
まわりの合唱団のお友達関係とおぼしきご婦人がたも、ゆらゆらしてましたよ
中世の俗的な原色感や、湧き出す生命のエネルギーというようなものとはちょっと縁遠い、ビューティフルな肯定的な中世観といったところ。
ともかく楽しい、賑やか、派手。
まったくもって気分がよろしくなるカルミナだ。
実演だと、打楽器や音板楽器、2台のピアノやチェレスタなどの大活躍を観察する楽しみもありだし。

 私の好きな高橋淳さんの、キャラクターたっぷり入れ込みの歌唱は、演技も伴い、客席から笑いがおこる名唱。この方は、表現の幅が極めて広く、ミーメやムツェンスク、ルルなどでいつも感心してしまう一方、アリアドネでバッカスまで歌ってしまう人。
日本のオペラの舞台にはなくてはならない方です。

そして幸田浩子さんの繊細な高音にもシビレました。わかってはいたけれど、こうして聴かされちゃうと、たまりせん。
わたしの愛しいひと、では涙が出そうになった。オーケストラの繊細極まりない背景にも耳をそばだててしまった。

出番の多い堀内康男さんも孤軍奮闘。大合唱に見事対峙してましたね。

そして、その合唱団もだんだんと熱を帯びていって、歌いながら感動を高めていってるのが、手に取るようにわかる。たくさん積んだ練習が、素晴らしい成果となっていました。
最後の怒涛のエンディングで、ホールは大喝采の仕儀とあいなりました

Aichiya_1
白鳥を喰らう、流れで焼き鳥に行こうとしたものの、満席だったり休みだったりで、横浜では有名な「かに屋」さんに連れていっていただいた。
今宵は、「かに」で、勝手に応援する会の定例会
「愛知屋」さんというお店です。
安い、うまい、家庭的。驚きのカニ屋さんでありました

Aichiya_2
カニ食うと、無口になると言うけれど、今夜は違う。
みなさん好きな音楽のこと、神奈川フィルのこととなると、あーだ、こーだと口が止まらないんです。
それもまぁ、神奈川フィルを応援しようという大いなる心意気なんですから。
お疲れさまでした。

|

« プッチーニ 「ラ・ロンディーヌ」~つばめ~ ジェルメッティ指揮 | トップページ | シューマン 「ばらの巡礼」 ① »

コメント

こんばんは。
「プルチネルラ」は組曲はマリナー、アカデミー室管。バーンスタイン、イスラエル・フィル。やはり、新古典主義作品は小編成スタイルですね。合唱入り原典版はアバド、ロンドン響を持ってたが、最近、ハイティンク、ベルリン・フィルをタワレコで購入。やっと増えたって感じです。
「祝典序曲」もプレトニョフ、ロシア・ナショナル管。アシュケナージ、ロイヤル・フィルと最近になって聴いた。共にピアニスト出身です・・・。
「カルミナ」あれこれになってしまいます。
メータ、ロンドン・フィルは廉価盤1000円で購入した初「カルミナ」スミ・ジョーやコヴァルスキのカウンター・テナーと通俗的。決定盤はヨッフム、ベルリン・オペラでしょうか。マイ・ベストです。これを越えられる名演はなかなかないですね。プレヴィンはドイツのオケこそ存在してないようだが、ウィーン・フィルでライブ録音だし、ボニーやウィーン少年合唱団と歌唱陣も豪華。ヨッフム以上に臨場感があります。まだまだありますが・・・。
蒸し暑い中、通勤電車やオフィスに冷房が入り、体が冷えてしまいました。屋内は上着は必要です・・・。

投稿: eyes_1975 | 2010年6月 8日 (火) 00時04分

先日はご一緒させていただきありがとうございました。
メイン・ディッシュの「カルミナ・ブラーナ」の豪華な演奏はさすがでしたが、前半もなかなか聞き応えがあり、大変盛りだくさんのコンサートとなりました。前半もなかなか良い演奏でしたし、あれだけでも充分満足して帰ってしまいそうになりましたが…(笑)。
カルミナ・ブラーナの説得力は声楽の充実でしょう。オケも良かったのですがそれ以上に独唱をはじめとする声楽の充実があの出来映えに繋がったと思います。
しかし、シュナイトさんの指揮で聞いたプルチネルラが懐かしいですね。あれに比べるとちょっと…でしたが、K氏し現田茂夫氏の役者の違いと同時に、シュナイトさんとも役者が違うということなのかも知れませんねぇ…。でも私は結構楽しみました。

投稿: Schweizer_Musik | 2010年6月 8日 (火) 08時33分

コメント有難うございましたm(_ _)m
ご挨拶も出来ずに大変失礼しました。
カルミナの実演に初めて触れたのですが、それは見事なものでした。高橋さんも初めてで、芝居心の持った歌い手さんが日本にもいたんだ!!と、嬉しくなりました。今後注目していきたいと思います。

投稿: 佐都 | 2010年6月 8日 (火) 15時15分

先日はありがとうございました。
どんな曲でも現田さんらしさが表れてしまうのが流石でした。
聴きたかった音がここに!
yokochanさんも認めるソリスト陣についても素晴らしかったですね~。
幸田浩子さんについては12月のフォーレでもご登場らしいので、今から楽しみです(^^)

投稿: syllable | 2010年6月 8日 (火) 21時44分

eyes-1975さん、こんばんは!
三曲ともに、名盤ひしめく近代作品を現田さんは、鮮やかに振り分けてました。都内のオケでは、聴くことのできない、ユニークともいえる豪奢な音色でした。
あの音は、しいついえば、プレヴィンの演奏でした!カルミナには、名演がたくさんありますね。
CDも絞りこめません〜

投稿: yokochan | 2010年6月 8日 (火) 23時06分

schweizer Music先生、こんばんは。
昨晩はどうも、お世話になりました。
久々の神奈川フィルの音色に堪能いたしましたねえ変なのも聴いてしまってますので、昨日のプログラムによる演奏会は、それは楽しく気持ちよいものでした。
シュナイトさんとの比較や、まださだまらぬ金さんとの比較を、現田さんの演奏を聴いてできるのも、思えば贅沢なものですね。
また次の機会を楽しみにしております。

投稿: yokochan | 2010年6月 8日 (火) 23時21分

佐都さん、こんばんは。
こちらこそ、気がつきませんでした、ごめんなさい。
曲も演奏も、現田ワールドでした!
あの高橋さん、いいでしょう。
東京二期会なので、関西にはあまり登場しませんが、ここのところ、主要な
舞台には、必ずでているみたいです。去年、びわ湖でも拝見しました。
ぜひ、チェックしていただきたい歌手のひとりです。
では、また、次の機会に。

投稿: yokochan | 2010年6月 8日 (火) 23時29分

syllableさん、こんばんは。先日はどうもでした。
神奈フィルも現田さんも、そしてカニもまた、美味でゴージャスなものでした

やはり、歌ものは、うまいものですね。現田さんは!
わたしも、秋の定期、楽しみにしております〜

投稿: yokochan | 2010年6月 8日 (火) 23時34分

どうも遅くなりすいません。
いろいろと悩ましげな情報が飛び交い、そんな中で実際こうも結果の違いを見せ付けられるとなんとも複雑ですね。
でもそうは言ってもこの演奏会は出色でしたよね。
また気を悪くなさる方もいようかと思いますが、神奈川フィルトーンは現田トーンでした。
ショスタコーヴィチのあの序曲の繊細でファンタジックな弦は今でも耳に残っていますが、あの音は神奈川フィルですから誰が指揮しても出るのでしょうが、あれだけ絶妙な歌で聴かせる事が出来るのはやっぱり現田さんしかいないように思います。
金管もそうでした。
プルチネルラでもいつもの彼ですからなんてことはない、何の変哲もない演奏なのですけど、これはもうあのトップの5人はもちろん、オケがいいです。っていうかよさが全開でした。
カルミナに至ってはあの通りでしたからね。声楽を盛り上げ包みこむあのデリカシーは他の人では聴けないのではないでしょうか。
カッコいい指揮者ですよね。そしてオケも。
そう思いました。

投稿: yurikamome122 | 2010年6月 9日 (水) 14時16分

yurikamomeさん、毎度お世話になりました。
演目的にも、私のヒットゾーンでしたし、演奏の素晴らしさもいわずもがなでした!
現田さんを、皆様ほど多くは聴いておりませんが、神奈川フィル以外のオケで聴いても、現田トーンは明らかですね。
これもまた、不興を買うかもしれませんが(笑)
あんなに楽しく、まばゆいカルミナはちょっとないです。私のまわりのご婦人がたも、ほんとに楽しそうに聴いておられました。
月曜にこちらの記事を書いていたら、現田さんの奥様のテレビ番組を放送しておりました。
さらに、見た目のゴージャスさが、パワーアップしておりました!
ある意味、すごい夫婦ですね。

カニには参りました!
また美味しいものいきましょう。
とんかつも開拓しないといけませんねぇ!

投稿: yokochan | 2010年6月 9日 (水) 19時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: オルフ 「カルミナ・ブラーナ」 神奈川県民ホール開館35周年記念 :

» 神奈川フィルによるカルミナ・ブラーナを聞いてきた [鎌倉スイス日記]
昨日は神奈川県民ホール開館35周年記念公演で、現田茂夫指揮神奈川フィルによるオルフの「カルミナ・ブラーナ」を聞いてきた。良い演奏というか、ずいぶん派手な演奏で、説得力満点だった。音の輝きがいつもの神奈川フィルで、なにもあんなことまでしなくても…と思うようなところも無くはないが、全体としては聞かせ上手な楽しい演奏だった。 しかし、ホールに乗りきらないほどの人数を集めての豪華絢爛たる音の洪水は、説得力満点で、あんな音の洪水の中ではオケの人たちも自分の音どころか、どうなっているのかも聞こえず、大変だった... [続きを読む]

受信: 2010年6月 8日 (火) 08時24分

» カール・オルフ「カルミナ・ブラーナ」 神奈川県民ホール開館35周年記念 [yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真]
カール・オルフ「カルミナ・ブラーナ」 神奈川県民ホール開館35周年記念 公演日:6月6日(日) 開場:15:30 開演:16:00 会場:神奈川県民ホール大ホール 指揮:現田茂夫 ソプラノ:幸田浩子 テノール:高橋 淳 バリトン:堀内康雄 ※共演:フェスティバル・ファンファーレ隊(特別編成) 管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団 合唱:神奈川県民ホール特別合唱団(一般公募・混声約350名) 小田原少年少女合唱隊(指導:桑原妙子) 合唱監督 原語指導:近藤政伸 合唱... [続きを読む]

受信: 2010年6月 9日 (水) 14時23分

« プッチーニ 「ラ・ロンディーヌ」~つばめ~ ジェルメッティ指揮 | トップページ | シューマン 「ばらの巡礼」 ① »