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2010年6月26日 (土)

ブラームス 交響曲全集 アバド指揮

Azumayama4
まぶしい新緑。
緑は雨を経てどんどん濃く、美しくなる。
暑くなると、空の青はぼやけて薄く見えるけど、緑はどんどん濃厚に。

でもこんな色合いは、本格的な夏前のいまだけ。
真夏の青い空は、いやになるくらいに青くて見上げる気力もなく、緑も暑さに疲れてきちゃう。
四季は人生みたいですな。
ただ人生は繰り返しがなく、一度きりだけど。

Brahmas_sym 

アバド週間

そして、今日6月26日は、1932年生まれのアバドの誕生日であります。
いつまでも若々しい音楽をつくるアバドには、ずっとずっと元気でいて、ニコニコしていて欲しいものと、心から願っております。

いつも書くことで恐縮ですが、アバドのファンになったのは1972年頃、アルゲリッチとのショパンで聴いてはいたが、ボストン響とのレコードを購入して、そのかっこいい音楽造りに一度で好きになってしまった。
そして、翌年のウィーン・フィルとの来日公演をテレビで観て、アバドファンへの道は決定的となりました。
以来38年間、アバドをずっと聴いてきました。
音源は、ほぼコンプリート、でもコンサートは、結婚したり子供が出来たりで遠ざかっていた時期があって、その来日公演を幾年か聴くことが出来なかったのがかなり残念。

ワーグナーの鑑賞歴も、ほぼアバドに同じ。
この二人は、ずっと私の人生と共にあるのです。

Abbado1
そのアバドが、1972年前後に録音した1回目のブラームスの交響曲全集

こちらは、なんと4つのオーケストラを振り分けた録音なのだ。

73年から74年にかけて、DGが企画した交響曲大全集。
DGのアーティストによる、さまざまな交響曲全集の集大成。
みんな作曲家の顔をあしらった豪華な組物ジャケットで、収集の喜びをも満たしてくれる大企画だった。
ドイツの大レーベルが、ブラームスに、若いイタリア人指揮者を起用したことに、当時の音楽業界は驚いたものだ。
 ちなみに、大全集のラインナップは、ハイドン(ヨッフム)、モーツァルト(ベーム)、ベートーヴェン(ベーム)、シューベルト(ベーム)、メンデルスゾーン(カラヤン)、シューマン(カラヤン)、ブラームス(アバド)、ブルックナー(ヨッフム)、チャイコフスキー(ムラヴィンスキーetc)、ドヴォルザーク(クーベリック)、マーラー(クーベリック)、シベリウス(カラヤン、カム)
 こんな具合で、いまならニールセンやショスタコーヴィチ、V=ウィリアムズなども名を連ねることでしょう。でもなんたって、ショスタコは15番が出来たばっかりの頃ですからね。

アバドのブラームス全集は、発売間もなく買ったけれども、先のウィーンフィルとの来日公演での批評と同じく、日本の先生方からは散々なご評価を賜り、私は一人憤然としていたのであります。
でも、このレコードと来日公演を高く評価した方が数人。黒田、三浦、出谷、小石、岩井の5氏の方々。
ですからして、ワタクシ、その5氏の皆さんのことは、アバドを常に高く評価するオペラの高崎さんともども、非常にご信頼申し上げた方々なんです。
ファンとはこういうもんなんです。

Wpo_2
交響曲第1番は、ウィーンフィルとの72年の録音。
久しぶりに聴いてみて、その出だしからびっくり。
ピッチが高く感じるほどに、音色が明るく明晰。
ブラームスの熟考を重ねたしんねりむっつりとした重厚サウンドはまったくなく、軽快でかつ爽快。
繰り返しをすべて行うこだわりをみせ、テンポも中庸で、どちらかといえば遅めなのだけれど、早めの部分はすいすいと進行して、あっというまに終楽章の晴れやかな結末を迎える。
 私は、こんなブラームスが好きだnote
ブラームスの1番、ブラ1の固定観念から遠いところで、こんな演奏をウィーンフィル相手にやってしまったアバドの大胆さがよくわかる。
評論家氏は、これをウィーンフィルに乗っかっただけで、アバドの顔が見えないと評したが、私はオケの美音と手を携えつつも、歌に注力し、細部はやや甘いまでも流線的な流れのいい美しいアバドのブラームスを作りあげたものだと、いまでも思っている。
2楽章は、さすがにウィーンの美音が満載で陶然としますよ。こりゃマーラーみたい。

Bpo 
交響曲第2番は、ベルリン・フィル
こちらは新録音ではなく、70年に単独で録音した音源。
カラヤン以外(ゲルデスという超例外はあるけど)が、70年代にベルリンフィルを使って録音した久しぶりの出来事。
同じベルリンフィルとの後年の演奏はおろか、ブラームスの2番の演奏のなかで、もっとも好きな演奏でありますsign03
この曲にイメージするものが、過不足なく、それもあくまで自然体で伸びやかに演奏されていて、曲中のどこもかしこも「歌」があふれていて気持ちがいい。
 こうした「歌う交響曲」的演奏は、誰もなしえなかったやり方で、しかもただ歌うばかりでなく、この曲でも、繰り返しを律義に行いつつ、全体の構成感をしっかり持たせてまとめあげているところがアバドらしいところ。
しかも、終楽章では驚きの歓喜の爆発が待ち受けているのでございますnote
 カラヤンのもとで、首根っこを押さえつけられていたベルリンフィルのつわもの達が、のびのびと気持ちよさそうに演奏しているのもよくわかる。
オーケストラを知らず知らずに解放してしまい、独特なムードに引き込んでしまうのもアバドならでは。
イエス・キリスト教会での、明るくも響きの豊かな録音も素敵なものがあります。
Skd
ベルリンフィルとは、ばっちりの組み合わせだったアバド。
交響曲第3番では、ドレスデン・シュターツカペレとの共演。
レコードには収録されなかったハイドン変奏曲と合わせて、ドレスデンとの唯一無二の録音。72年、日本にウィーンとやって来る1年前の録音。
そう、この3番といえば、先にふれた私がテレビでアバドとウィーンフィルの演奏会を観たときの曲目。
ブラームスと英雄のふたつの3番の演奏会。アンコールは、青きドナウ。
英雄が終わったら、間髪いれずに、ものすごいブラボーが叫ばれた。
テレビに大写しになっていたアバドが、目の玉飛び出すくらいにびっくりしてた(笑)
 青きドナウでは、こともあろうにウィーンフィルの木管群が途中の出を間違えて、大トチリ。
アバドもウィーンフィルの楽員も、もうニコニコしっぱなしの感興あふれるコンサートだった。
思えば、このときに完全にアバドの人柄が好きになった。
 その思い出深いブラームスの3番。(ちなみに、この曲が大いに気に入り、すぐハイティンクのレコードを購入。以来、ハイティンク・ファンでもあります)

大きく歌に傾くアバドはここでもそう。
しかも1楽章ではかなりアッチェランドをかけたりして、揺らして劇的に走る場面があって、いかにも若々しい雰囲気。
だが、オーケストラがどこか抵抗してるような気がしなくもない。
もっと、一音一音じっくり弾き込みたいというオケと、歌と劇性に傾く指揮者。
でも2・3楽章では、ゆったりと構えて大らかな指揮ぶりなので、ドレスデンの美しい木管や落ち着いた弦の持ち味が楽しめる。
このふたつの楽章は、ルカ教会のお馴染みの音色も手伝って、極めて素晴らしい。
終楽章は、指揮者とオケが歩み寄ったかのように、克明でありながらも、しなやかな歌が聴かれるのが面白い。

実は、爆演堂さんに聴かせていただいた同時期のバイエルン放送響とのライブ録音が、ドレスデンよりもフレキシブルで、明るい音色でよかったりします。
いまのドレスデンなら、アバドとの相性もいいかもしれないnote

Lso
交響曲第4番は、つねにアバドの手兵であったロンドン交響楽団とのもの。
72年録音。ロンドン響は、プレヴィンと蜜月の頃。
アバドも60年代から客演を続け、相思相愛の間柄で、後年、プレヴィンの後を継ぐことになったことは誰しも納得の人事だった。
当時、ウィーンフィルのパーマネントコンダクターとスカラ座音楽監督でもあったアバドが、本当に気が許せて自分のやりたいことを心置きなくできたのがロンドン響。
ウィーンとスカラは、もう少しあとに完全掌握。

ほかの3つのオーケストラに比べ、なんで4番がLSOなんだろ。
と、当時は思ったけれど、後年よく聴きこめば、ここでもまた歌謡性に富んだユニークなブラームスが聴かれることに気付いたのだ。
2楽章のゴシック風の緩徐楽章は、甘さとは縁遠い思いのほか渋い演奏。
だが個々の楽器が、フレーズをほんとによく掴んで歌っている。
この楽章、各楽器が重層的に重なり合って、LSOのニュートラルな音色が、楽譜をそのまま音ににしたみたいで、ほんとに美しい演奏なんです。
この楽章だけでも価値ある4番の演奏かもです。
 ほかは、ベルリンの再録音がどうしても素晴らしいのでありますが、ブラインドテストしたら、アバドとロンドン響のブラームスだなんて、絶対にわからないくらいに本格的。
難点は、それも大きい難点は、録音の悪さ。
EMIアビーロードスタジオでのもので、音がこもりぎみで、すっきり抜けきらない。
それが残念だけど、不思議に愛着ある4番の演奏であります。
 
Abbado2
以上、1番は曲が昨今苦手なのであっさり聴いてしまったけれど、ほかの3曲は好きなだけに長くなってます。
そして、2番と3番は、アバドによってその音楽を知り好きになっただけに思い入れある演奏であったりします。
いずれも手に入りにくいCDかもしれませんが、アバドのいまでも若々しい音楽の本質が味わえる希少なブラームスだと思います。
 ベルリンとの再録音から20年近く。
そろそろ、最新のブラームスが聴きたいですねぇーーーnote

オーケストラは、マーラー・チェンバーでどうでしょうかsign03
熱烈に望みたいです。

Azumayama6
すっきりさわやか。
何事もこういきたいですねぇ~

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コメント

こんにちは

私はアバドの格別なファンではありません(^^ゞ
が、エアチェックして聴いたアバド/ウィン・フィルによる4番の交響曲が凄く気に入って何度も聴いていた時があります。

yokochanさんの記事に付け加えることはありません。
新鮮な響きと流れるようなテンポによる終楽章がことの他秀逸であったように記憶しています。
確か70年代前半だったと思います

投稿: 天ぬき | 2010年6月26日 (土) 14時20分

こんばんは。実は恥ずかしながらアバドはブレンデル、ポリーニやベームによる「ピアノ協奏曲」しか聴いてなく、「交響曲」「管弦楽曲」は比較的新しい時期でした。
私はベルリン・フィル盤の「全集」が手元にあります。「管弦楽曲」や「アルト・ラプソディ」などの「歌曲」が併録されています。マニアックですがシャルムによる「ヴァイオリン協奏曲」ありとアバドのブラームス愛を再認識しました。

投稿: eyes_1975 | 2010年6月26日 (土) 22時18分

>ポリーニやベームによる「ピアノ協奏曲」
ポリーニの初録は「第1番」がベーム。「第2番」がアバドと共演。失礼致しました。

投稿: eyes_1975 | 2010年6月26日 (土) 23時55分

アバド特集、ありがとうございます?!
毎日楽しみに拝見しておりました。
パヴァロッティとのCDは知らなかったです、アバド好き、失格(笑)。

そしてまた、実は、このブラームスの旧全集、持っていないのです・・・
ぜひ聴いてみたいのですが、今、入手困難じゃないですか?悔しい・・・。

私がクラシックを聴き始めたとき、ちょうどベームが亡くなり、カラヤン、バーンスタインが最晩年で神々しい演奏をしていた頃です。
そんな中、颯爽とした風貌と音楽で若かりし?私を魅了してくれたのがアバド(とムーティ)でありました。
なけなしのお金で聴きに行ったアバド&ヨーロッパ室内管弦楽団、ムーティ&フィラデルフィア管の演奏会は、忘れることができません。
なので私の中ではこの2人は永遠のアイドルであります(?)。

アバドのブラームスはベルリン・フィルとの交響曲全集はもちろんのこと、
上に挙げられていますように協奏曲の伴奏も素晴らしいものが多いように思います。特にブレンデルのピアノ協奏曲、
ムローヴァ、そしてシャハムとのヴァイオリン協奏曲は、いずれも若々しく、且つ熱気のこもった見事な伴奏付けだと思います。

ああ、やはり語り出すととまらなくなりますねぇ~(苦笑)。


投稿: minamina | 2010年6月27日 (日) 00時18分

まずはマエストロ、お誕生日おめでとうございます!

なんか、もうyokochanさん、かぶり過ぎ~~(^^ゞ
アバド先生との出会いは同じ頃ですし、当時住んでいた所もスグお隣だし。

私は人生初のライブがアバド先生の初来日だったんですよ。
安サラリーマンの父が大枚はたいてコドモのために並んで取ってくれたチケットでした。
私はその夜、興奮のあまり高熱を発し、以来アバド先生以外、目もくれなくなってしまったのです。

そして初めて自分のお小遣いで買ったレコードがLSOとのブラームスの4番。
思い入れが強いせいか、後年のBPOとの名演より、こちらの方が今でも好きです。

NHKの放映も観ました。
懐かしいですね。実に若々しかったマエストロ。
演奏とともに、あたたかい人柄にも惹かれました。
なんて、きれいな笑顔をする人なんだろう!と。

評論家諸氏に酷評されたのも憶えています。
なんで~~?!と、クラヲタのコドモは一人憤慨してました。
評価していた黒田先生や三浦先生は大好きでした。
もう一人、映画評論家の荻昌弘さんもアバドにとても好意的でしたね。
渡辺学而さんがFMで「クラウジオ・アバード」と呼んでいたのを覚えておられるかしら?

昔話は尽きないですねぇ。

1994年の来日時、私は無謀にもコドモの頃に受けた強烈な感銘を手紙に書いてアバド先生に渡しました。
そうしたら・・・なんと、ご丁寧なお返事をくださったのですよ!
一生の宝物です。

投稿: lilla | 2010年6月27日 (日) 01時41分

天ぬきさん、こんにちは。
アバドだらけで熱狂ぶりをお見せしてしまい申し訳ありません。

ウィーンとの4番のライブは、たぶん75年のものだと思います。
私もカセットテーから板起しして持ってます。
やはりアバドは若い頃もライブが一番だと思います。
いい演奏でした!

投稿: yokochan | 2010年6月27日 (日) 11時34分

eyes_1975さん、こんにちは。
アバドはブラームスがよっぽど好きで、ほぼすべての作品を何度も録音してます。
ドイツ的なずっしり感はないものの、歌心にあふれたブラームスですね。

シャハムとのブラームスはいいですね。
協奏曲では、ムローヴァとミンツとも録音してます。
ほんと、好きなんですね。

投稿: yokochan | 2010年6月27日 (日) 11時38分

minaminaさん、こんにちは。
アバド好きが次々に登場しますね(笑)

この1回目の全集は、まとめてCD化はされておりませんで、バラバラで揃えました。
もう20年以上前です。
アバドの音源は、こうして全部揃えていったのでした。
FM音源もたくさんあって、何番の何年物・・・、なんてワインみたいに楽しんでますよ。バカですね(笑)

わたしは、ちょっと古めなもんですから、ムーティ登場前からのアバディアンですので、ムーティがことごとくアバドとかぶって、まるで挑発するかのような存在になっていったので、「ムーティの野郎」って感じでしたよ。
そのくせ、初来日も聴いたりしてるんですがね。
でも、アバドが病に倒れたとき、エールを送ったり、ミラノ復帰を誘ったりで、その男気に涙が出るほどの感動しました。
いまや、ムーティ様ですよ(笑)

アバドはベートーヴェンよりも、ブラームスの方がお似合いだと思います。
もう一度、今のアバドのブラームスが聴きたいですねぇ!

アバドを語ると記事もコメントも長くなります(笑)

投稿: yokochan | 2010年6月27日 (日) 11時48分

lillaさん、こんにちは。
思わぬ同郷の同胞に、とてもうれしゅうございます。
77歳のアバド、これからもますます元気でいて欲しいと思います!

私の初生アバドは、スカラ座との来日ですが、90年代のベルリンとの来日は一度も行けませんでした。
で、なんですと、クラウディオ様のお手紙をお持ちでらっしゃる!
それはホント、お宝ですね。いいなぁ、もう額縁ものですね。

>なんて、きれいな笑顔をする人なんだろう!<
大賛同。あの若き日のテレビ放送、そして今年のイタリアのテレビ放送、みんな同じ素敵な笑顔で、ちっともかわってない。
あの笑顔こそ、アバドの音楽の若々しさと、音楽への無垢な情熱なんでしょうね!
そして、サッカー好きですから、イタリアの惨状を無念に思ってるかもです。

かつては、アバードと表記されましたね。
そうそう、渡辺学而さん、FMでザルツブルクやウィーンのライブをよく担当されてましたね。覚えてますよ。
そして荻さんも、アバド好きでしたねぇ!

ともあれ、ずっとアバド好きで、ぶれずによかった。
正しかったと思う今日この頃であります。

もう少し、特集続きますので、お楽しみに!

投稿: yokochan | 2010年6月27日 (日) 12時05分

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