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2010年6月24日 (木)

「知られざるヴェルディ」 パヴァロッティ&アバド

Shiho_2
魚介のマリネ。
きれいでしょheart01
そして、素材を活かしたソース。
美味であります。

こちらは、別館でもまだ未公開の、我が郷里のちょっと有名なフレンチ、「指帆亭」の一品。ほんとの身内だけで、亡父の法要をすませたあと、食事しました。
海が見えるすてきなレストランだけど、ここは、私が通った中学校に隣接する場所。
いつも遊んでました。
子供の頃からの遊び場は、海の周辺で、えらく恐ろしい廃墟洋館もありました。
そこはいまは整備されて、これまた有名なイタリア・レストランになっております。
そこそこ田舎だし、土地も安いし、海が見える立地はこうしたレストランに人気。
いくつもあります。
変貌する故郷です。

Pavarottiabbado
アバド特集開催中。

アバドの故郷といえば、ミラノであります。
ミラノに生まれ、ヴェルディ音楽院の校長・ヴァイオリニスト・指揮者・音楽学者であったミケランジェロを父に、ピアニスト・作家のマリアを母に、完璧なる音楽一家のもとで指揮者になるべく育ったクラウディオ。
 父が指揮をして、自身がピアノを弾いたアルバムが、EINSATZレーベルから復刻されておりまして、私もいち早く記事にしてますし、不肖ながらCD解説まで書かせていただいております。

母からピアノを学び、兄ととものにドビュッシーの「夜想曲」を聴いて、指揮者になる決心をした少年アバドであります。
ウィーンでスワロフスキーに学び、イタリア各地で指揮活動を開始し、ニューヨークでコンクールを撃破。
バーンスタインやカラヤンからも厚遇され、スカラ座とザルツブルクでマーラーの「復活」で鮮烈な成功を飾るのが65年。

こうして檜舞台に躍り出たアバドが、当然の帰結として、故郷ミラノのスカラ座の音楽監督に就任するのが68年。
のちに芸術監督となり、前に記したように辞任騒動も繰り返し、最終は音楽監督として86年までスカラ座の顔として君臨した。
65年のデビューからウィーン転出による辞任まで、21年間であります。
そして、アバドの功績は、スカラ座フィルというコンサートオーケストラを創設したこと。
ただでさえ優秀な座付きオーケストラが、超立派なコンサートオーケストラであることを示した。

一流ポストを歴任したアバドであるが、こうして、ミラノとウィーンが一番長い。

リコルディ社が録音に乗り出していた時期に、アバドはいくつかのスカラ座との記録を残した。
そのひとつが、パヴァロッティと共演した「知られざる未出版のヴェルディ」と題された1枚。
 改定され埋もれてしまったオリジナルアリア、特定の上演に際してある歌手だけのために書かれたアリア、未完のオペラの一部のアリア・・・・などなど、文字通り珍しい知られざるアリアや序曲が選ばれ録音されたものなんです。

 「シモン・ボッカネグラ」前奏曲
 「エルナーニ」第2幕~「我が誓いを聴きたまえ」
 「アッティラ」 第3幕~「おお、苦しみよ」
 二人のテノールと管弦楽のためのシェーナ「私は彼女を見た」
 「二人のフォスカリ」第1幕~「もっとも遠い流刑地から」
                  「おお、わたしは聞いた、神がお呼びになる・・・」
 「シチリアの晩鐘」第4幕~「愛した君へ」
 「アイーダ」序曲

   T:ルチアーノ・パヴァロッティ
   Br:ジョセッペ・モレージ
   Bs:アルフレート・ジャコモッティ
   T:アントニオ・サヴァスターノ

 クラウディオ・アバド指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団
                    (1978、80 @ミラノ)


アバド得意中の得意、「シモン」。
まさにアバドが執念のように上演をかさね、この地味な傑作オペラを不動の存在にしてしまった、シモンからしたら大恩人のアバド。
通常私たちが耳にしてきたのは、中期以降にヴェルディが改定した版なので、プロローグの前に置かれた波のさざ波のような渋い短い前奏曲だが、オリジナルは、3分を要するなかなかにダイナミックな音楽だった。
まるで別物の音楽。
あの印象的な波の音色はなく、活気に満ちた出だしと、オペラ内の旋律からなる。
その旋律は、父と娘の邂逅の感動的な二重唱と、群衆の暴動の音楽。
これらが絡み合う前奏曲なんです。
まさに、ミニ「シモン」の3分間なり。
で、「アバドのシモン」といえば、史上最強のヴェルディ演奏であり、アバド&スカラ座の実力をクライバーとは、まったく違った次元でまざまざと聴かせてくれた来日公演。
いまだに、その光景と音は、私の脳裏に刻まれているのであります。

オーケストラ作品としては、最後に「アイーダ」序曲が取り上げられている。
アバドは、ロンドン響とも同時期に録音している。
カイロでの初演後、ミラノでの上演のさいに序曲を用意したヴェルディだが、リハーサルを聴いてすぐに引っ込めてしまい、初演時=現況時のままでイタリア初演を行った逸話がある。
オペラの中の名旋律を駆使した11分の華やかな序曲は、人間ドラマに深く食い込んでいた充実気のヴェルディとしては、やはり異質な存在と感知したのであろう。
正しい選択ながら、おかげで、この序曲は長く埋もれてしまい、トスカニーニが見つけ出して演奏した経緯があるものの、ずっとそのまま。
それを甦演したのが、アバドとスカラ座のコンビなのであります。
 このあとに、「清きアイーダ」が始まるとうイメージはあまりに想像しにくく、これはこれで、シンフォニック・アイーダともいうべき単独作品としてとらえた方がいいみたいだ。
ロンドン響の方がうまいけど、こちらはキリッと引きしまった鮮やかな演奏だ。

あとは、全盛時のパヴァロッテイの独演会note
異なる上演機会に、歌手のスタイルによって書き分けられたアリア。
その歌手たちは稚拙だったり、悲劇性が強い声だったり、はたまた技巧派だったりするので、それこそいろんなスタイルのテノール・アリアが聴かれるのだ。
それらをやすやすと歌いこなすパヴァロッティに、雰囲気豊かな背景を司るアバドとスカラのオーケストラ。
有名旋律はありませんが、こんな耳の快楽とご馳走はありませぬよ。

珍品は、「フォスカリ」からのカヴァレッタで、ヴェルディが想定した歌手が、高音域がものすごく、しかもファルセットも駆使する技巧派だったとのことで、解説によれば、パヴァロッティもその通りに、3点変ホをファルセットボイスでクリアしているのが驚き。
ヒャぁ~って感じですよ(笑)

もう二度とあり得ない組み合わせによるCD。
正調ヴェルディがオーケストラと歌手にしっかり聴かれる、いまや希少な1枚でございます。
次期スカラ座のボス、ムーティと、戦後の低迷期から黄金時代を導きだしたアバド。
この二人は、イタリアオペラ界の偉大な指揮者として長く名前が刻まれるはずだ。
原典にこだわり、ヴェルディの音楽本来の力感とダイナミズムを生き生きと表出したムーティ。
愛国心や人間心理へ踏み込んだヴェルディのドラマ性を、精緻にとらえ、歌心の中に解放してしまったかのような無垢なアバド。
どちらのヴェルディも素晴らしいです。
いま、ヴェルディを彼らのように、ハイグレードに聴かせる指揮者は皆無。
ガッティもルイージも、ワーグナーは面白く聴かせても、ヴェルディはまだまだかも・・・

今日は、ミラノのアバドでした。

Shiho_b
「指帆亭」へのアプローチ。
右は海。左はすぐに中学校のグランド。
その境目はなにもないから、このあたりは自由自在に遊んでましたねぇ。
いろんな思いでがあったりしますね・・・・・。

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